2026年10月6日(火)

【特集】労働安全の最前線 ー製造現場での労災の現状ー

死傷者数、ほぼ横ばい

製造業における労働災害による死傷者数は過去10年、2万5000人から2万8000人の間で、横ばいが続いている。一部では、ベテラン技能者の減少や、若年技術者への技能伝承や安全教育の不足が指摘されている。では、実際の製造現場では、どのような事故が多く起きているのか。厚生労働省の労働災害発生調査によると、2021年は「挟まれ・巻き込まれ」が最も多く、「転倒」、「墜落・転落」、ぎっくり腰などにつながる「無理な動作」、「切れ・擦れ」と続く。

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「挟まれ・巻き込まれ」が最多

2021年の製造業の労働災害による死傷災害数(休業4日以上)は2万8605人で、昨年よりも3000人近く増加した。死傷災害者数は、過去30年で右肩下がりを続けてきたが、この10年は、ほぼ2万5000人~2万8000人を水準で停滞している。

死傷災害が減らない理由について、安全労務対策に携わるベテラン技術者は「過去30年で、設備の改善が進み切ったことも理由の一つだと思う。また、高齢化でベテラン技術者が減り、若年技術者への技能伝承や安全教育が上手く進んでいないこともあるのではないか」と話す。実際に「若年労働者の労災が増え
ている」と指摘している。

では、実際にどのような事故が多いのか。厚生労働省の労働災害発生調査によると、21年は「挟まれ・巻き込まれ」(6501人)が突出している。プレス機に挟まれたり、旋盤に巻き込こまれたりという事故だ。様々なケースがあるが、コミュニケーション不足や、作業開始前の点検不足いった理由が多いようだ。

次いで「転倒」(5332人)。厚労省の分析によると、高齢者の事例が多く見受けられるという。「部品の上に乗ってしまった」や、「コードに引っかかる」といった軽微なものが少なくない。

3番目が、「墜落・転落」(2944人)。クレーンやエレベータの搬器からの転落など、重篤な労災につながることが多い。日々の安全点検不足などが原因となることが多いようだ。

4番目が「無理な動作」(2929人)。重い荷物を持ったり、無理な姿勢で動いたりして、ぎっくり腰につながるような労災。そして、ワイヤロープの切断や、回転中の研削砥石が当たるといった「切れ・擦れ」(2319人)と続く。

こうした労災に共通することはあるのか。労働災害に詳しい、中央労働災害防止協会の加藤雅章相談役は「労災が発生する現場は正しく部品が配置されていないなど、雑然としていることが多い」という。「まずは4S(整理・整頓・清掃・清潔)を徹底していくことが重要」と指摘している。2面以降では、事故が多い5つの代表的な事例をピックアップし、具体的な対応策をみていく。

日本産機新聞 2022年9月20日

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