2026年6月27日(土)

サンコーインダストリー 奥山  淑英社長「足元固めてねじを売る」【特集:商社トップインタビュー】

人手不足や自動車の電動化など、製造業を取り巻く環境は大きく変化している。時代の変遷に対応し、販売店やユーザーをサポートするため、卸商社は独自の戦略を強化する。新商材の開拓やコト売り、デジタルツール活用や社内体制の改革など各社で事業戦略の違いが鮮明になってきている。卸商社各社の戦略や具体的な取り組み、それに注力する背景などをトップにインタビューし、その考えを読み解く。

ばら売り・輸出で事業リスク分散

奥山  淑英社長

前期は過去最高の売上高を達成した。

単純にねじの価格が上がったことが要因だ。数量は前年比で5%減少したが、価格効果によって売上高は3%増だった。リソースはそのままに売上が増加したことは良いとして、数量減に対しての価格上昇をどう受け止めるかが難しいところだ。

今年取り組むことは。

ばら売りと海外輸出をメインに、事業リスクの分散を図る。

ばら売り強化の具体策は。

現在は東大阪の物流倉庫のばら売り対応エリアにロータリーラックを4基設置し、21万アイテムを取り揃えている。今後さらに2基増設し、26万点まで拡充する計画で、来年2月から稼働を開始する予定だ。

海外展開は。

海外の売上比率は現状、全体の0・8%ほど。中でもウエイトが最も高いのは東南アジアだが、北米やイギリスでも、現地販売店へのDM送付や英語サイトでの情報発信を通じてマーケティングを行っており、手応えを感じている。特に自動車のリペア・メンテナンス市場を視野に入れているが、割ける人員にも限りがあるため、ある程度国を限定して、海外比率は全体の1%程度で収まれば良いと考える。

関税政策の影響は。

輸出もばら売りでの小口取引が主流になる。ねじ1本あたりの単価が安く、顧客への負担も小さいため、関税の影響はほとんどないと見ている。

今後どう打って出るか。

ねじ業界は成熟気味で、これ以上の大きな成長は見込みにくく、シェア取り合戦になってきている。だが、ねじ以外の扱う商材をむやみに増やしたり、新規事業に手を広げるといった多角経営は目指さない。当社でも作業工具や安全靴を取り扱っているが、あくまでも「ねじのおまけ」という位置づけだ。1本からのばら売り対応で商社としての付加価値を高めつつ、リスクの分散で足元を固め、慎重にねじの販売に力を入れていく。

日本産機新聞 2025年7月20日号

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