学生時代の部活動などで理不尽な思いを抱いた人は少なくないだろう。前時代的だが、自身の経験でも「延々と走れ」とか「全員が目標をクリアできなかったからやり直し」など「なぜ?」と思うことは少なからずあった。そして大抵の場合、そ […]
失敗は隠さず、逆質問を繰り返す【現場考】
失敗を許容できる空気が人材育成のヒント
このコーナーを担当して管理職に課題や悩みをヒアリングするのが常になっている。最も多いのは育成や若手のサポートが難しいという声。管理職は40代以上が多く、昭和世代の上司に育成されてきた人が大半。ワークライフバランスが当たり前の今と、自らの若手時代のやり方とのギャップに悩む人は多い。
時代による世代間ギャップは常にある。「今の若い人は」というのは言われ続けてきた常套句だ。人の育成は時代に関係なく、普遍的な問題でもある。
一方、世代間の意識の差はあってもうまく人材を育成している会社もある。取材先の中小部品メーカーで、他社がうらやむほど20代の若手が育っている。経営者は60代後半なので、世代間ギャップも関係ない。
その企業の部長に育成のヒントを聞いた。まず、同社には経営者の意向で、売上目標はない。唯一あるのは「失敗件数」の指標だけ。「不良を発生させた」、「機械をぶつけた」など「失敗」を数値化し、それを減らすことだけが目標数字だという。
失敗した際に絶対に責めないことが不文律としてある。まずは「なぜそうなったのか」と問い、一緒になって失敗した原因を突き詰める。そして、「どうしたら防げたと思う?」と逆に質問を繰り返す。「こうしなさい」とは言わない。自らで対策を考えてもらうためだ。
「完璧を目指さないこと」も意識している。「完璧を掲げて委縮するより、動いて失敗するほうが重要だ」からだ。また、「失敗を隠さず、共有すること」もルールだという。「共有することで、全員への気づきにもなる。私も自らの失敗を積極的に発表している。失敗は恥ずかしいことではないと意識してもらわないと挑戦できない」。
人材育成の確実な妙手はない。しかし、「失敗してもいいんだ」という雰囲気を醸成することは、重要な要素になりえる。
日本産機新聞2025年11月20日号
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