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【インタビュー】サイバーダイン 新規事業開発部 中澤 泰士部長
作業負荷低減する装着型サイボーグ
重量物の持ち上げ・下げ時に腰や体にかかる負荷を低減する装着型サイボーグが作業者の安全を守る製品として様々な現場で注目を集めている。装着型サイボーグ「HAL」を手掛けるサイバーダイン(茨城県つくば市、029-855-3189)は、2014年に「HAL腰タイプ」の製造販売を開始し、介護施設や、物流倉庫、空港など幅広い現場の作業負荷低減に貢献してきた。最近では製品だけでなく、作業負荷を可視化できるサービスも提供する。新規事業開発部の中澤泰士部長に注力する取り組みや今後の展開などを聞いた。
なかざわ・たいし
2016年サイバーダイン入社。21年新規事業開発部部長に就任し、現在に至る。
作業負荷を可視化・適切な運用と作業環境の改善
「HAL」について。
「HAL」は生体電位信号を読み取ることで、装着者の意思に従った動作を支援する装着型サイボーグ。病院での機能改善治療や、介護施設での介護する側とされる側の両方を支援する。その他、様々な作業現場や災害現場での重作業支援などでも幅広く応用できる。用途や装着部位が異なる様々な種類の「HAL」があり、作業支援の用途では主に腰タイプが使用されている。
「HAL腰タイプ」の特長は。
本体重量3・1㎏のコンパクトな軽量モデルで、長時間の作業でも邪魔にならず、誰でも負担なく使用できる。装着性にも優れており、慣れれば10秒ほどで装着することが可能だ。物の持ち上げや運ぶ際の腰部への負荷を最大で約40%低減し、特にひねり上げる動作や中腰姿勢の動作に対してユーザーからの評価が高い。
現在注力している取り組みは。
新規分野の開拓だ。これまでは介護、物流、工場、空港、建設が主な導入現場だった。最近では消防や農業、災害現場など活用領域が広がっている。特にこの1~2年で様々な分野からの相談が増えた。既存分野に加え、こうした新しい分野への提案も強化していく。
他には。
単に製品を販売するだけでなく、数年ほど前から作業負荷を可視化するサービスを提供している。
このサービスでは、「HAL」をIoH/IoT(ヒトとモノのインターネット)デバイスとして活用することで、現場の作業負荷を数値化・グラフ化し、導入効果の検証や分析、改善などを行う。
「HAL」は運用が肝。上手く運用するためには、作業者一人ひとりに「何のために使うのか」を理解してもらう必要がある。このサービスで装着型サイボーグの有効性を示し、適切な運用と作業環境の改善につなげるサポートを提供していきたい。
今後の展開は。
作業支援と体幹機能を強化する自立支援の2役を1台でこなせるモデルを検討している。腰痛は国民病とも言われ、重作業者だけでなく、デスクワークなどの作業者でも腰に負担を感じている方は多い。今後は作業の負荷低減と作業者の健康増進の両方で役に立てるものを提供していきたい。
日本産機新聞 2021年9月5日
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