2022年1月24日(月)

【特集】労働安全を考える 中央労働災害防止協会 安全管理士 加藤 雅章相談員インタビュー

安全は人と品質を守る

労働災害が発生すると、人が怪我をするだけでなく、休業などによって、生産計画や品質管理にも影響を及ぼすことがある。製造現場を支える販売店にとって、安全な労働環境を提案することも役割の一つだ。では、そのために販売店はどのような意識を持つべきか。「安全は人を守るだけでなく、品質向上にもつながる」と話す、中央労働災害防止協会の加藤雅章相談員に、安全を提案するべき際に留意することなどを聞いた。

1972年に旧労働省(現:厚生労働省)に労働技官として入省。労働災害の撲滅を目指し、数千件以上の現場で労働安全を指導。退官後、中災防安全管理士として、労働安全の相談に応じている。著書に「いちばんやさしい労働安全衛生法」(中災防)。

販売店は安全の架け橋

労働災害の実情は。

2020年の全産業の労働災害による死者数は802人で、過去20年で半減しています。一方で、休業4日以上の死傷者数は減っていません。全産業では20年は13万人超で、製造業だけでも2万5000人超の方が被害に遭っています。あくまで休業4日以上なので、実際にはもっと多く、労災保険の新規受給者は60万人を超えています。

事故理由は。

製造業の災害で多いのが「はさまれ・巻き込まれ」で24・2%、「転倒」19・8%、「墜落・転落」が11・5%です。意外に多いのが「動作の反動・無理な動作」で、いわゆる「ぎっくり腰など」で10・1%となっています。

そうした製造業をはじめ労災を減らすには。

安全は意識づけやルールづくりが重要です。例えば、建設業界では「吊荷の下に入らない」ことは当たり前の行為として認識されています。しかし、製造業では荷に近づいて作業することが多い。ルールを設けたり、職長が声をかけたりすることで、事故は減らせます。

また、事故が起きやすいのが、保守や定期点検後です。点検後に安全確認をせずに、安全設備・装置を復旧し忘れ、事故が起きやすい。したがって、定期点検後は試運転や動作確認まで含め安全チェックすることを考えるべきだと思います。

安全を提案する際に意識すべきことは。

まず前提として、きちんと労働安全衛生法令の適用や、対策の規制を受けた機械や機器を販売するのが前提です。そのうえで、いくつか留意すべきことがあります。

どういうことでしょう。

5つポイントを挙げたいと思います。1つ目が「メンテナンススペースの確保」です。狭い場所に無理やり設置してしまい、後々困ることはよくあります。2つ目が「配置マッチングを意識する」ことです。工程を無視した配置は安全面に加え、効率悪化につながります。

3つ目が「明るさを均一にする」ことです。明暗差が原因で、ぶつかる、作業ミスを誘発することが少なくありません。4つ目が定期点検を忘れないように「点検時期を正確に伝えること」です。5つ目が「動作音や振動」です。振動が大きくてボルトが緩むこともありますし、動作音が反響して、騒音問題になったりすることもあります。

安全を提案する効果は。

安全は人を守るだけでなく、品質の向上、ひいては事業の発展に直結します。事故が起きて、生産が止まると、遅れによって、どこかにしわ寄せが来ます。そして無理をして、トラブルや品質管理の悪化につながる。この負のサイクルを断ち切るために安全を意識することは重要だと思います。

販売店に伝えたいことは。

ユーザーとしてのメーカーが安全で品質の良い製品を作って頂く作業環境整備への架け橋のような役を担う存在だと思います。また、機械トラブルを未然に防ぐには、定期的なメンテナンスや点検が必要なことから、ユーザーと定期的な関係性構築にも役立つのではないでしょうか。

日本産機新聞 2021年9月20日

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