2026年6月28日(日)

工具流通にIoTの波

 機械や機器をインターネットでつなぐIoT機器を、機械工具販売店が積極的に販売する動きが出始めている。使い方の多様化や通信環境の改善を背景に、人手不足解消や生産性向上の手段として中小製造業が導入を進めているためだ。IoT時代を迎え、ユーザーニーズに応える新たな提案力をつけるため拡販への取り組みは広がりそうだ。

中小製造業で導入広がる

 販売店A社はある中堅部品メーカーからIoTシステムの引き合いを受けた。従業員数百人が働く工場の生産設備十数台の稼働状況をリアルタイムで監視し予防保全や効率改善に生かすという。

 そのシステムを実現するには光や振動、温度などのセンサや情報を受ける制御機器、その情報を集積し分析するソフトウェアを連動させる仕組みが必要。従前から扱わない商品やシステムなだけにIoT機器に強みを持つ商社やメーカーに協力してもらい受注した。

 工具販売店では多くの場合、不得意なためIoT機器を積極的に提案せず、引き合いがあっても商社やメーカーに頼ることが多い。しかしA社は競合が少ない今だからこそ取り組む。

 その工場で採用されたIoTのプロジェクトは成果を出した。同じシステムを別の工場にも水平展開する予定で、そのプロジェクトも担当するという。

 IoTは2011年、ドイツが提唱するインダストリー4・0の旗手として日本でも注目され始めたが、それ以前もあった。自動車メーカーなどの大手製造業は独自の社内ネットワークを構築し生産効率改善や人為的ミス削減に役立ててきた。

三位一体でシステム受注
まずはスモールスタート

 なぜ今、機械工具業界でも注目され始めたのか。それは大容量データ通信や無線通信などの環境が整い、様々なIoT対応機器が登場。政府も補助金などで導入を支援し、国内製造業の殆どを占める中小企業が導入に動き始めたからだ。

 その中には大規模なシステムではなく初歩的なものも。販売店B社の幹部は「プレス機にカウンタをつけてショット数を測る。これも小さなIoT。こうしたニーズは無数にあり、このレベルなら提案もできる」。

 ある調査会社によると日本のIoTの市場規模は2018年に6兆3167億円で、23年に11兆7915億円に達する見通し。このうち最も規模が突出しているのが製造業だという。

 国内製造業が横ばいで、機械や工具の国内市場規模が成長し続ける未来は描きにくい。しかしIoTが拡大するなら、機械工具の新たな領域を広げる開拓者となりえるかもしれない。

 ハードを大量に売るより、ソフトとの融合で解決策、いわゆるコトを売る時代。販売店B社の幹部は「ユーザーが求めているその一つがIoT。今はそれそのものの受注金額が少なくても、IoTの提案力を備えていれば、きっと周辺機器などの販売にもつながる」。

 

日本産機新聞 2019年11月5日

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