2024年4月27日(土)

どうなるコロナ後の世界  –オンライン販売店座談会Part.2–

対面営業の強化を掲げる

 新型コロナウイルスの影響で機械工具業界も変わるのだろうか。そんな憶測が出てくる頃だが、機械工具販売店が強みとする「対面営業」に変わりはない。ただ、従来通りの対面営業かといえば、そうではない。今後、日本は人手不足で国内需要の低下や将来の担い手である人材確保が難しくなる。それは営業の担い手も少なるということ。そうしたことも踏まえ、座談会で有力販売店4社のトップに対面営業の強化で必要なこと、すべきことについて聞いた。

Part.1はこちら

出席者の紹介はこちら

原社長はいかがですか。強みである工作機械から切削工具までのワンストップサービスは技術的な打ち合わせが必要だと思います。

 機械の注文は経営層が決定しますが、運用するのは現場なので両方の打ち合わせが必要になります。現在、コロナウイルスの影響で現場に行く機会が減っていますが、再開時に対面営業でしっかりと打ち合わせをすることが重要だと思います。

対面営業に変化はないと。

 機械の更新はユーザーニーズを掴めないと進められません。ただ、動き出す前に仕込んでおくことも重要で、限られた時間内での事前打ち合わせが必要だと思います。

IT強化を図っている河邊社長はどうですか。

河邊 機械工具販売店は新規開拓も含めて対面での営業が基本です。これがなくなると生きていけないでしょう。ただ、この時期にネット通販企業が業績を伸ばしているのも事実です。ですから、対面営業を助けるシステムが必要になります。当社はUSAGIを活用していますが、システムで見積もりや注文を得ることはユーザーの利便性向上にもつながります。これからはITを使った良いサービスを提供することも考えるべきではないしょうか。

IT投資も必要ということですね。そのための人材や社内体制の変化はありますか。

河邊 特別ITに強い人材を採用しているわけではありませんが、カメラ付パソコンを購入するなどITインフラの整備は続けています。

野田 当社も時短のためにRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入など伝票処理の自動化やスケジュール管理、報告システムをクラウド化させました。今は企業や商品情報などのアーカイブ作りに専念しています。なぜするのかというと、新商品やPR商品を決めても全社員が同じ能力で売ることはできません。そこで、これまでの販売履歴や売り方といった営業の虎の巻のようなものを用意して、クラウド上で情報共有できるようにしています。

 今後を考えれば、不測の事態に備えた営業のバックアップ体制が必要になります。当社は1人の営業担当者が同じユーザーを担当する期間が非常に長いため、強い関係性を構築していますが、担当者が休んだ場合に備えた組織体制の構築が急務だと考えています。今は私が全ユーザーを回ってバックアップできるように努めています。

今年の取り組みは。

 緊急事態宣言解除を受けて、営業も通常業務に戻りましたが、いつコロナウイルスによって再度自粛になるか分かりません。そのために、社内にいなくても仕事ができるリモートワーク環境を整えようと準備しています。まだ必要な機器類が十分に足りていませんが、今回、ノートパソコンを全員に配布し、外部から基幹システムにアクセスできるようにしました。まだ社内でしか出来ない角印などハンコの問題もありますが、リモートワークに向けた準備は着々と進めています。

経理もテレワークに。

 経理は社内で処理する形ですが、事務系は伝票入力やまとめ作業がメインなので、パソコンさえあれば、自宅に持ち帰ることもできます。営業は外回りですから、見積書作成など基幹システムとつながっていればクリアできます。

これは働き方改革の一環ですか。

 そこまで捉えていませんが、社員からリモートワークの要望が多いとなれば、働き方改革の一環として取り組みます。

河邊 当社も外部から基幹システムへアクセスできる環境を整え、仕入れ伝票・売上伝票の作成といった業務も外部からできるような体制の構築を目指しています。セキュリティや社員の自宅のウェブ環境といった課題や予算の問題もありますので少しずつ進めたいですね。これは社内のコロナ対策にもつながります。それと、リーマンショックもそうでしたが、地方は都市部から遅れて影響が出てくるので売上が下がらないようにしたい。

下げないためには。

河邊 常に新しいことに取り組むことですね。例えば、1週間のショートセール実施や時代に合った商品を探して販売するなど。今でなら涼しさを感じるマスクでしょう。すぐに売れるのが通販の良いところです。常に発信し続け、変わっていくことが元気な企業の証明であると思います。

杉本 4月から新年度に入り、社内の基盤を整えていくことに注力したいと思います。売上は厳しい部分もありますが、経費削減など対策を行い、しっかり社員には賞与を出しつつ、人材育成を充実させたい。

基盤を固める年だと。

杉本 そういった意味で今年の新卒採用はチャンスかもしれません。コロナウイルスの影響で採用を絞る企業も多いと思うので、例年以上に良い人材を採用することができると思います。そこで、オンラインでの会社説明会や面接を始めました。

オンライン面接の難しいところは。

杉本 オンラインは1次面接のみで、2次以降は直接面談するようにしています。ただ、マスク着用で顔の表情を見ることができないのが問題ですね。現状3名内定を出していますが、今後はアクリル板を用意して、飛沫感染を防ぎながら面談する準備を整えます。

採用に関する変化はありますか。

杉本 条件に変更はありませんが、やはり機械工具販売店ですから明るく、コミュニケーション能力の高い人材を求めています。

Part.3はこちら

日本産機新聞 2020年7月20日

[ 座談会 ][ 日本産機新聞 ][ 特集 ] カテゴリの関連記事

【連載企画:イノフィス、次なる戦略②】折原  大吾社長インタビュー
作業や業界に特化した製品開発

イノフィス(東京都新宿区)は今年8月、腰補助用装着型アシストスーツ「マッスルスーツ」の新しいモデル「GS-BACK」を発売した。既存モデルの「Every」に比べ、軽量で動きやすく、これまで以上に幅広い現場での活用が期待さ […]

TONE 本社を河内長野工場に移転

TONEは、本社を同社最大拠点である河内長野工場に統合、移転した。9月26日から業務を開始した。 今回の統合により、開発、製造、営業企画、品質保証、管理の各部門と経営を一体化。部門間のコミュニケーション向上を図り、一層綿 […]

エヌティーツール 福岡県筑紫野市に九州事務所を開設

ツーリングメーカーのエヌティーツール(愛知県高浜市、0566-54-0101)は福岡県筑紫野市に九州事務所を開設し、九州地域での迅速かつ細やかなサービスを提供することで顧客の課題解決に応えていく。住所は福岡県筑紫野市原田 […]

トピックス

関連サイト