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超硬工具メーカーがリサイクル能力を強化、各社の動きを追う【特集:超硬サプライチェーンを守れ】
流通と連携し回収
超硬工具メーカーが、超硬工具の主原料であるタングステンのリサイクルに力を入れている。地政学的リスクに左右されずに安定して生産できる体制が必要と判断。工場を新設したり、商社や販売店と連携しスクラップの回収を強化したり。超硬をリサイクルするサプライチェーンの構築に取り組んでいる。
三菱マテリアルは世界中で超硬スクラップのリサイクル能力の向上を図る。欧州では1・5倍に引き上げ、国内でも増強させる。2030年度までにはタングステン製造拠点におけるリサイクル比率100%を目指す。
国内では、タングステン精鉱から中間材料のパラタングステン酸アンモニウム(APT)まで一貫生産できる子会社の日本新金属の秋田工場に80億円を投資し、APTの生産を現在の約2倍となる2400tにまで増強する。設備投資は26年度から順次行い、29年に操業を開始する。

海外でも、24年に子会社化したドイツのH.C.Starck社に約5000万ユーロ(約92億円)投資し、リサイクル能力を5割増強する。現在、約5000tの処理能力を7000tにまで引き上げる。28年の完成を予定している。
サンドビックは2050年までにCO2排出量ネットゼロに向け、超硬リサイクルサービスを強化している。25年の回収量は販売重量比85%で、直近では91%まで上昇。一方、日本の回収率は海外に比べ低く、国内の回収ネットワーク拡充が課題となっている。
そこで、商社・販売店経由のWebサービスを立ち上げ、オンラインで集荷依頼や買い取り価格の提示、CO2削減量の算出を可能にした。回収対象はメーカーを問わず、超硬ソリッド工具やインサート工具全般で、30年には販売量に対し100%回収を目指す。回収した使用済み工具はオーストリアのヴォルフラム社で精錬し、パウダーとして再資源化を図る。
現在、販売工具に占める再生原料の使用比率は50%以上。直近では米国のバッファロータングステン社を買収し、生産能力の強化を進めている。国内でも新たに再研磨サービスの拡充、サービス利用した履歴など可視化も検討しており、モノづくりにおける資源循環と環境負荷低減を訴求する。
住友電気工業は1980年代からタングステンのリサイクルに取り組んでいる。2011年に超硬工具スクラップからタングステンの中間原料・三酸化タングステン(WO3)を再生する技術を開発。これにより鉱石由来原料と同等品質の原料として再利用できるようになり超硬工具などへの活用を実現した。
現在、国内で販売する超硬工具のほぼ全量を自社でリサイクルできる体制を整え、回収した超硬スクラップを原料に再生している。ただ、タングステンの需要が拡大し、またタングステンの世界の供給地域が限られていることから、超硬スクラップ回収体制の強化やリサイクル技術の高度化を継続的に推進している。
その一つとしてグループ会社のアライドマテリアルが富山製作所の近くに工場を新設する。タングステン粉末や炭化タングステン粉末の安定供給体制を強化するのが目的で、工場新設と関連設備に約159億円を投資する。2028年度上期の稼働開始を目指し、製造能力を約1・5倍に引き上げる。
日本産機新聞2026年9月20日号
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