2026年10月7日(水)

マグネスケール 奈良で生産能力を増強、売上高300億へ布石

マグネスケール(東京都江東区、03・6632・7920)の奈良事業所(奈良県大和郡山市)が4月9日、稼働を開始した。当日行われた開所式には関係者約140人が出席。同事業所は、生成AI(人工知能)やデータセンター向けの半導体需要の拡大を背景に設立された。主力のレーザスケールの生産能力を年間6万軸の従来比約2・4倍に引き上げ、2030年には売上高300億円規模への成長を見込む。伊勢原事業所(神奈川県伊勢原市)でレーザスケールの開発・生産を行ってきたが、需要拡大に伴う生産能力の逼迫を見据え、新拠点の設立に踏み切った。今後は伊勢原を研究開発拠点と位置付け、量産機能を奈良へ段階的に移管する。

大野治社長は足元の事業環境について「掛け値なしで好調だ」と強調。売上構成は現状、レーザスケールとマグネスケールで約2対1の比率だが、半導体後工程の拡大を背景にレーザースケールの需要の伸長を見通す。奈良事業所ではレーザースケールだけで100億円規模の上積みを狙い、将来的には構成比を3対1まで変化させる狙いだ。

記者団の質問に答える大野治社長と田宮英明専務(左) 

奈良事業所の総工費には117億円を投じた。建物は地上3階、地下1階で延べ床面積は約1万7622平方㍍。地下にはコンクリート2重構造のシェルターを設け、温度変化や振動の影響を抑制。部材搬入や組み立ての動線をAMR(自律搬送ロボット)などを導入して自動化する。

BCP(事業継続計画)の観点も新拠点設置の背景にある。南海トラフ地震による富士山噴火時の火山灰の影響が懸念される伊勢原に対し、比較的自然災害のリスクが低い奈良で生産体制を構築した。

奈良事業所では自動化に力を入れ、人とロボットの動線の交錯を避けるレイアウトを構築する

レーザスケールはピコ㍍(1兆分の1㍍)の分解能を持つ位置検出センサーで、半導体製造装置の後工程を中心に採用されている。近年は半導体の三次元実装の進展に伴い、従来の一次元計測に加え、傾きや面内位置を高精度に捉える二次元計測へのニーズも高まり、同社は面計測に対応する製品開発を強化している。

開所式で挨拶をする大野治社長と森雅彦会長(DMG森精機社長)

開所式で大野社長は「この新拠点で安全と品質を最優先にし、お客様から信頼される製品を全世界に供給していく」と意気込んだ。同社会長でDMG森精機の森雅彦社長も出席し、「2030年に300億は必ず達成できる。現在は北海道や九州で精密半導体の生産が進んでいるが、その露光装置に使われるレーザスケールも将来的には全てここで作られる筋書きはついている」と強気の見方を示した。

日本産機新聞2026年5月5日号

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