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日本機械工具工業会 超硬工具のリサイクルガイドラインを改定、国内還流の強化へ
日本機械工具工業会(佐橋稔之会長・住友電気工業常務取締役)は6月2日、超硬工具のリサイクルガイドラインの改定版を発表した。超硬工具素材のタングステンの調達難や価格高騰に対応するため、超硬スクラップの国内還流を強化する。合わせて「タングステン原料委員会」を立ち上げ、リサイクルや調達の強化を加速させる。

今回改定したのは「超硬工具スクラップのリサイクル促進に向けた選別・保管・処分に関するガイドライン」。ユーザー業界に広くガイドラインを周知し、リサイクルの国内還流を促し、リサイクル率を高める。
タングステンの国内リサイクル率は3割から4割程度と言われている。ユーザーや販売店が買取価格の高い回収業者に依頼し、そうした事業者が海外に転売するなど国内で還流しづらい状況が背景にある。また、中国への依存度が高いことも調達難に拍車をかけている。今回の改定ガイドラインではこうした動きに歯止めをかけ、国内還流を後押しする。
まず、ユーザーに工具の選定を正確にしてもらうために①超硬工具②サーメットなどの工具③ハイス④その他—の4つに分類するなど社内ルールの制定方法を明文化した。
引き渡し先の選定では、国内循環を適切に行っている「リサイクル窓口業者リスト」を作成(6月下旬に公表予定)。さらに、回収業者が超硬工具メーカーにタングステンが還流できる仕組みを持っているかどうか確認できるように「超硬工具スクラップ回収時の国内循環に関する確認票」を作成した。
タングステンの調達やリサイクルに関するワーキンググループを格上げした「タングステン原料委員会」も設置。メンバーや活動方針は未定だが、早急に体制を固め、リサイクルの強化や安定調達に向けた活動を強化する。
佐橋会長は「貴重な原材料の超硬スクラップを海外に流出させないことが重要」と指摘。「改訂版ではリサイクルの方向性を明確にした。ユーザー団体にも働きかけ、国内還流を拡大する。業界を挙げて、リサイクルの機運を高めたい」と述べた。
経済産業省産業機械課の須藤千鶴課長は「経済安全保障の観点からも超硬工具に使われるタングステンのリサイクルは極めて重要。経産省としてもユーザー業界に周知徹底するなどして、国内還流の流れを後押ししたい」と述べた。すでに経産省ではユーザーが超硬工具の代替えに伴う評価費用の助成を行っている。
超硬スクラップの回収を巡って機械工具商が果たす役割は大きい。ある商社では、リサイクルに関するプロジェクトを立ち上げているほか、ある販売店では月2t近くを回収するなど、リサイクルを強化する動きが出始めている。
26年度の生産額の見通しは見送りに
先行きが読めないことから2026年度の生産額見通しは見送りとなった。超硬工具素材のタングステンの供給の不透明などが大きな理由で、佐橋会長は「動向を見ながら改めて発表したい」と述べた。
同工業会では毎年6月の総会で生産額見通しを発表している。6月2日開いた総会で、佐橋会長は「タングステン価格の高騰や供給不足状況が非常に読みづらい。現在の状況では見通しを発表しても景況感とかけ離れているため、公表を見送った」と述べた。ある工具メーカー社長は「各社の値上げの影響で流通やユーザーで駆け込み需要が発生している。実需が読みづらい」と話す。
一方、2025年度の実績については発表した。昨年6月に発表した生産額見通しを上回り4899億円を確保した。合わせて公表した会員へのDI調査では、足元ではマイナス23と減少するのもの、下期では改善するとの見方が強い。しかし中国によるタングステンの輸出規制やホルムズ海峡の輸出規制などから、完全回復は27年度以降になるとの見方が大半を占めた。
日本産機新聞2026年6月20日号
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