2024年12月11日(水)

【特集:自動車産業】カーボンニュートラル目指して

アイシン 生産現場の取り組み

アイシンは昨年、社内に「カーボンニュートラル戦略会議」を立ち上げ、2050年に製造時に排出されるCO2を実質ゼロにする生産CO2フリー化へのロードマップを示した。それによると、25年に13年比25%、30年に50%以上を削減し、50年に実質ゼロに向け、生産現場を改革し、自動化・省人化やエネルギーマネジメントに取り組む。25年にはeAxleを450万基生産や回生協調ブレーキなど生産体制を構築するため、今後5年間で生産設備に2700億円、カーボンニュートラル関連で1100億円を投じる。ここでは生産現場の取り組みを紹介する。

多機種混流対応ラインへ変革

ロボット1台で工程を集約㊦

2030年にCO2を50%削減

工場のゼロエミッションに向けて

生産CO2フリーを目指す

アイシングループの2020年の国内CO2排出量は1526万トンで、カーボンニュートラルを達成するには生産現場の省エネをいかに実現していくかが課題となる。同社は「動力源・熱源・無駄レス化」「発電・燃焼」「CO2再利用」「エネルギーマネジメント」の4テーマを軸に、技術開発や長年培ってきたエンジニアリング力を用いて、工場のゼロエミッション化を進めている。

工場のカーボンニュートラルを達成するには原料調達から製造、廃棄、リサイクルまでのライフサイクル全体を想定し、環境負荷の低減を図る必要がある。同社は生産時に排出されるCO2を削減する「生産CO2フリー製品」プロジェクトを開始。第1弾として安城第2工場(愛知県安城市)で生産しているトヨタ自動車の「MIRAI」やレクサス「UX300e」に搭載されたeAxleで生産フリー化を実現するなど生産現場の改革を進めている。

多機種混流対応ラインを構築

eAxle生産ラインは従来の大量生産向けの生産ラインと大きく異なり、カーボンニュートラルの実現や柔軟性に富んだラインとなっている。その理由として、機電一体型eAxleと同じ電動ユニットである1モーターハイブリッドトランスミッションなども混流生産しているからだ。現代の生産現場では、いかにムダを省き、省人化・自動化を進め、状況に応じて対応できるラインの構築が求められており、同社はそれを変種変量に対応した『多機種混流対応ライン』と呼んでいる。

まずは、既存のオートマチックトランスミッションのラインを転用し、機種ごとや数量変動に応じて対応できる仕組みを構築。さらに、製品の組立ラインはどの機種でも対応できる共通プラットフォームとしてメインストリームに配置。ここではアームロボット1台で3~5工程の組立(ギヤなど)を行い、AGV(自動搬送ロボット)を駆使し、組立から搬送までの自動化を実現。こうした複合ロボットを導入することで自動化・省人化を進められるほか、AGVを活用することでラインの無人化を図り、消費電力の削減につなげた。

こうしたロボット導入は生産ラインの面積縮小にも効果を発揮。省スペース化で照明や空調の使用量も削減し、ムダな電力消費を抑えられる。使用する電力も太陽光発電による再生可能エネルギーを活用するなど生産現場の改革を行った。

新たな技術開発も

同社は2030年に生産CO2を13年比50%削減する目標を掲げる。そのためにCO2を直接回収し、再利用する技術やアルミ溶解炉などの動力源・熱源・無駄レス化、原材料のリサイクル向上など様々な取り組みや技術開発が行われている。カーボンニュートラルは自動車産業にとって大きな課題。しかし、そこにはチャンスも溢れている。同社は「製品」と「生産」の両軸でカーボンニュートラル社会の実現に向けて歩み始めた。

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日本産機新聞 2022年9月20日

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