2024年4月20日(土)

【特集:自動車産業】注目9社の製品

電動車や自動化によって車づくりが大きくが変わり始めている。モータやバッテリー関連などの部品が増える一方で、エンジン回りの機械加工の減少が危惧されている。一方で、軽量化に対するニーズは変わらずに強く、アルミニウムや炭素繊維プラスチックといった材料の加工は増えるとみられている。こうした動きに対応するため、新たな加工に挑戦するメーカーが増えている。本特集では、次世代車で増える可能性の高い加工で必要となる機械設備や工具を紹介する。

PART1:エヌティーツール「洗浄工程を自動化」
PART2:オーエスジー「非鉄金属を高能率加工」
PART3:サンドビック「アルミ合金加工に特化」
PART4:帝国チャック「把握力減衰を抑制」
PART5:フクハラ「圧縮空気中の水蒸気を検知」
PART6:二村機器「シャフト加工を工程集約」
PART7:ブラザー工業「大型アルミ部品に対応」
PART8:三菱マテリアル「アルミ合金を高速・高能率加工」
PART9:明治機械製作所「水性塗料向けを発売」

PART1

エヌティーツール「洗浄工程を自動化」

Boost Master

従来、M/C加工後のワークに残った切屑は高圧洗浄機などで除去していたが、同製品はATC可能な高圧洗浄ツールで、主軸回転によりクーラントを増圧・吐出し、加工から洗浄までM/C1台に集約。生産性向上や大幅な省エネでカーボンニュートラルに貢献する。

特長は①切屑を狙い打ち除去(φ7㎜深さ100㎜穴底の切りくずも0.5秒で除去)②工程集約・作業改善を実現(高圧洗浄機レス、遊休設備の活用)③省エネ・省スペース化の実現(機外高圧ポンプ、冷却装置不要)。

主な仕様はBT、HSKなど各種インターフェースに対応、クーラント入力圧:7MPa以下、クーラント流入量:3ℓ/分以上、最大クーラント吐出圧:15MPa、吐出流量(15MPaの場合):1.23ℓ/分。標準ノズル孔径:0.4㎜。

PART2

オーエスジー「非鉄金属を高能率加工」

非鉄用底刃付き高能率スレッドミル「AT-2 R-SPEC」  

非鉄用底刃付き高能率スレッドミル「AT-2R-SPEC(ThreadRacer:スレッドレーサー)は、ヘリカル穴あけ+ねじ切りの同時加工でアルミニウム合金など非鉄金属の加工時間を劇的に削減する。

表面処理に厚膜タイプ「DLC-IGUSS(アイグス)コーティング」を採用。表面が平滑で摩擦係数が極めて低く、耐溶着性や潤滑性が求められるアルミニウム合金など非鉄金属の加工に抜群の威力を発揮する。

厚膜タイプのDLCコーティングのため、刃先摩耗を抑制し、長時間安定した加工精度が得られる。

位置精度が不安定で抜き勾配のある鋳抜き穴での加工位置ズレ対策にも有効。下穴がある場合は、切りくず細分化とDLCコーティングの溶着抑制効果によりエアブローでの加工も可能。

PART3

サンドビック「アルミ合金加工に特化」

アルミ合金専用 正面フライスカッター「M5シリーズ」

EV化によってアルミ使用比率が4割以上増加すると言われる。そこで、同社はアルミ合金加工に特化した工具を開発した。

アルミ合金加工の最大の課題である高送りでの生産性向上とバリ抑制の両立。径方向・軸方向のチップ位置を切り込み量と送り量に合わせて1枚ずつ異なる位置に最適配列するステップテクノロジーを採用。バリ発生を抑制し、切れ刃への負担を軽減し長寿命化も達成。

また、少ない刃数でも従来の送り速度を実現し、仕上げ加工面に触れるワイパー刃のみで他の刃は干渉せず刃振れ調整が不要で、チップ交換はトルクレンチ1本で完了。

ステップテクノロジーを採用した製品は仕上げ加工専用「M5B90」、中荒~仕上げ一発加工カッター「M5C90」、ロー付多刃仕様カッター「M5F90」の3種類。

PART4

帝国チャック「把握力減衰を抑制」

カウンターバランスチャック

従来、高回転での加工は遠心力により把握力が減衰してしまい、加工が安定しないという課題があった。

そこで、高回転でも安定した把握力を維持し、加工を安定させるために開発したのが「カウンターバランスチャック」だ。過去のトライ&エラーで得たノウハウをもとに、遠心力による把握力減衰を極小に抑えた三つ爪チャックで、高回転時でも安定した把握力を発揮できるため、加工径差が大きいワークでも一定の回転数で安定加工が可能。

さらに、薄肉ワークの加工でも威力を発揮し、把握力が回転によって左右されにくく、加工時の偏肉も起きにくいため、加工の高回転化による切削時間の短縮や仕上げの品質向上が期待できる。

11月8日から始まるJIMTOFで世界初公開する予定だ。

PART5

フクハラ「圧縮空気中の水蒸気を検知」

検知器シリーズ

検知器シリーズは、圧縮空気中のオイルミストや水蒸気を検知するコンプレッサ周辺機器。圧縮空気が流れる機器の末端出口に接続することで、圧縮空気中のオイルミスト濃度、水蒸気量を簡単、短時間、低価格で測定できる。

「オイルミスト検知器」と「水蒸気検知器」の2製品を揃える。各製品とも内部の検知管に圧縮空気を当て、検知剤の変色レベルによって濃度を判定する。「オイルミスト検知器」で反応があれば、オイルミストが混入している可能性が高く、「水蒸気検知器」で反応数値が2000ppm以上あれば、ドレンが発生する可能性が高い。

価格は各検知器ともに検知器本体と検知管3本セットで1万5千円(税抜き)。現在、同シリーズは特許出願中。

PART6

二村機器「シャフト加工を工程集約」

ワークドライビングセンター

通常のシャフトワーク加工は主軸側でワークを掴み、心押し側からセンターで支え加工するが、チャック側で掴んだ部分を反転させ、再度加工する必要があった。

同製品は切削加工時にテールストックの推力でワーク端面に爪を食い込ませ保持する。そのため、シャフトワークの全外径切削が可能で、掴み代を必要とせず、ワンチャック加工を実現。これまで2工程必要だった加工が1工程に集約でき、ワーク反転もなく、加工精度向上や工程削減を実現。

タイプは球面座方式の「BD型」や従来から信頼性の高い油圧式「HD型」など豊富なラインアップを揃え、直径11~170㎜のワークに対応。

また、歯切りやスプライン加工、キー溝加工に最適な爪固定式「DK型」、複合旋盤やマシニングセンタなど特殊対応も可能。

PART7

ブラザー工業「大型アルミ部品に対応」

ユニバーサルコンパクトマシニングセンタSPEEDIO「U500Xd1」 

自動車のEV化で「アルミ部品の大型化」「加工ニーズの複雑化」「生産の変動など変種変量生産」への対応が重要になり、加工エリアが大きく、多方向の角度から加工ができる機械が求められる。

SPEEDIOシリーズ初の大型傾斜ロータリーテーブルを搭載した「U500Xd1」は、従来の高生産性を活かしたまま、多面加工の多いEV部品に対応した多面5軸加工機。ワークを把持する面以外の角度の面から加工できるほか、十分な加工エリアも確保。28本マガジンを搭載し、治具エリア最大φ500㎜と30番加工機の常識を覆し、大型化、多機能化が進むEV部品で能力を発揮、工程集約を実現。主軸最高回転数は1万6000回転/min、移動量X500・Y400・Z300㎜、工具収納本数28本(オプション)。

PART8

三菱マテリアル「アルミ合金を高速・高能率加工」

AXD4000シリーズ

アルミニウム合金・難削材加工用カッタ「AXD4000」シリーズに、工具管理が容易で、経済性に優れるスクリューインタイプを追加した。

ヘッド交換式のため、同一シャンクで複数のヘッドが使用可能。加工時に万が一破損してもヘッド交換のみで対応できる。超硬ストレートシャンクアーバ、BT30、BT40、HSK63Aシャンクアーバと組み合わせることで、ビビリ振動による仕上げ面の変化を抑制し、高能率加工を実現する。

同シリーズは2本のねじでインサートを工具本体に強固に固定する高剛性ダブルスクリュークランプ機構と、独自のインサート飛散防止機構を採用したことで、高速・高能率加工を実現。また、独自のねじれ刃の採用や高度なインサート研削技術により、高精度加工を可能にする。

PART9

明治機械製作所「水性塗料向けを発売」

自動車補修専用スプレーガン「Finer-force WB」 

水性塗料向け「Finer-force WB」を新たに発売。空気キャップや塗料ノズルを新設計し、塗料ノズル口径は2.0㎜、空気キャップは専用WBキャップを採用。高い吐出能力を誇り、スプレー効率の向上を図っている。霧化性能は水性塗料に特化しており、粒子径を大きい径で均一的に吹付けできるなど、ムラなくワイドパターンを少ない空気量で実現。作業性を考慮し、塗料調整ねじピッチは1.0㎜を採用した。

自動車補修専用スプレーガン「Finer-force」シリーズは、美しい流線形のボディに機能性を加え、塗装スタイルに合わせて選択できるのが特長。従来のソリッド塗装向け、メタリックパール塗装向け、オールラウンド対応の3種類に、水性塗料向けを加え、ラインアップを強化した。

※特集:電動化の未来を拓く はこちらから
※特集:カーボンニュートラルを目指して はこちらから

日本産機新聞 2022年10月5日

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