2024年11月25日(月)

〜ネット時代に挑む〜
フェイス&ネット 河邊 育子社長(高松産業社長)

販売店共同で企画会社

独自でウェブシステム

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 受発注や履歴の管理、図面の受け取りまでもネットでできる時代になった。ネット化のうねりに機械工具販売店はどう対応すればいいのか。自らシステムを創り未来を切り拓く―。昨年、中核となり販売店14社(現15社)で設立したシステム企画会社フェイス&ネットの河邊育子社長(高松産業社長)は、そう語る。独自の電子取引システム「USAGI」でネット化に順応し顧客とのつながりを守る、という。

顧客とのつながり守る

―販売店共同のシステム会社はこれまでに例を見ません。
 「フェイス&ネットは私が発起人となり地元四国や関西、中部の販売店に呼び掛け、昨年の夏、立ち上げました。目的は『販売店の販売店によるものづくり業界のための仕組み』の実現です。販売店各社が互いに干渉することなく顧客に対して独自に運用する仕組みで、かつ、その仕組みが連携し合うことにより顧客に新たな価値を提供できるシステムを考案し、参加企業の出資金をもとに作成しました」。

―USAGIとは。
 「顧客が、資材調達に関わる一連の業務をネット上で効率化できるシステム。見積もりや注文のほか、取引する複数の販売店への発注や履歴管理を一元化できます。今後は顧客の複数部門の発注管理を一元化し、メーカー・卸商の商品情報を閲覧できる機能も追加し、将来的に顧客間のビジネスマッチングまで視野に入れて使って貰えるようにしていく考えです」。
 「ちなみにUSAGIはUnit System And Good Itemの頭文字を綴ったもので、優れた販売店を組み合わせる仕組み。さらに顧客やシステムを組み合わせる仕組みを意味します」。

―なぜ販売店独自のシステムを。
 「顧客の技術革新を支援するため。ひいては日本のものづくりの発展に貢献するためです。ネット調達は業務の効率化やコスト削減に役立つのかもしれません。また多くの顧客がネット販売会社や卸商のシステムを利用し、調達を集約しようとしています。けれど長期的には、それが技術力低下を招く遠因になるのではと考えています」。

―それはつまり。
 「ネット化を進めるあまり、販売店との情報交換の機会が減ってしまうことです。販売店は日々、顧客を訪ね、要望を聞き、事業内容や設備、経営方針も理解し、調査、仲介、提案などの活動をしています。訪問、要望、提案の連鎖が次への課題発見、解決へとつながり技術の進化に貢献してきました」。
 「しかしネット化はこれまでフェイストゥフェイスで育んできた販売店とのコミュニケーションの場を崩してしまう。販売店にとっては顧客の調達の志向やトレンドが判りにくくなるため、顧客にとっては要望を伝え、的確な提案を受ける機会を損ねます」。

―USAGIはそうしたネット化の弊害を解消できる?
 「逆説的ですが、電子取引システムのUSAGIで、顧客とのフェイストゥフェイスを守りたい。顧客にUSAGIを利用して貰えれば業務効率化に貢献できるし、注文内容を把握して次の提案もできます。フェイストゥフェイスとネットの両輪で顧客の競争力向上に役立ちたいのです」。

―ネット化が進むなかで販売店にとってUSAGIの必要性は一段と高まりそうです。
 「まさにその通りです。利用する販売店はフェイス&ネット設立時に14社でしたが、参加を募り、このほど1社増えました。販売店の多くはこれまで、自律的にネット化の動きに対応してきませんでした。しかし、未来を勝ち抜くうえで必要です。日本の販売店が未来を拓けるよう、フェイス&ネットの輪を全国に広げていきたいと思っています」。


フェイス&ネット

 香川県高松市の販売店・高松産業の河邊育子社長が四国から近畿や中国・東海・関東の販売店に呼び掛け、昨年8月に設立。独自の電子取引システム「USAGI」をつくり、参加企業が利用する。最近1社が加わり15社に。継続して参加企業を募集している。
参加企業
 高松産業、サトー産業、山久、第一機工、浜田、生島機工、松岡商事、宮内、森哲、マルマン商事、イソナガ、橘、大東通商、こうら、マステクノ。


日本産機新聞 平成28年(2016年)2月25日号

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