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【インタビュー】アネスト岩田 執行役員汎用圧縮機部長 大丸 正徳氏に聞く
アネスト岩田(横浜市港北区、045-591-1111)は今年、脱炭素社会の実現に向けて、潤滑油使用「0(ゼロ)」メーカーを目指す方針を掲げた。オイルフリー式機器の低価格化や製品開発などに注力し、圧縮機と真空機器のオイルフリー化を推進していく。「競合各社の脅威になるのではなく、業界全体で脱炭素社会の実現に貢献していきたい。そのためには機械工具商社の力が欠かせない」と話す大丸正徳部長に具体的な取り組み、機械工具商社に求めることなどを聞いた。
オイルフリー化を推進
だいまる・まさのり
1976年生まれ、神奈川県出身。2001年にアネスト岩田入社し、国内営業部に配属。09年から中国子会社で圧縮機の販売に従事。12年に台湾子会社、15年に再び中国へ赴任し、中国圧縮事業を統括。21年から現職。
「脱炭素社会」実現へ
機械工具商社と連携
低価格化や製品開発に力
今年、潤滑油使用「0(ゼロ)」メーカーを目指す方針を掲げた。
潤滑油の製造工程では多くの二酸化炭素(CO2)が排出される。現在、当社が製造、販売する圧縮機の約6割がこの潤滑油を使用するオイル式だ。カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け世界中で取り組みが進む中、当社にできることは潤滑油を使用しないオイルフリー式を推進することだと考えた。
具体的にはどんな取り組みを進めるか。
近い将来、オイルフリー式の占める比率を現状の約4割から約8割まで引き上げる。これは当社の概算だが、年間90~100万ℓ(50m競泳用プール約1杯分)の潤滑油削減を意味し、環境改善に大きく貢献すると考えている。
オイルフリー式の推進に向けて課題は。
価格だろう。製品にもよるが、オイルフリー式は、オイル式に比べて、だいたい3割ほど高価になる。今以上にオイルフリー式を普及させるためには、オイル式の価格に近付けなければ難しい。そこで、本年度はオイルフリー式の価格をオイル式と同等レベルとするように柔軟な対応を行う。
収益性に問題は。
オイルフリー式の生産増による生産効率の向上、販売増加などによって、引き下げ分を吸収できると考えている。特に福島工場(福島県矢吹町)では生産効率を高めるプロジェクトを進め、多品種少量でも効率良く製造できる生産ラインを構築した。これまでより安く、早く製品を供給できるようになっている。
競合各社にとってもインパクトの大きい戦略だが、どう捉えているか。
競合各社の脅威となることは望んでいない。当社の動きに追従してもらい、業界全体で脱炭素社会、カーボンニュートラルの実現に貢献していきたいと考えている。また、それには機械工具商社の力も欠かせない。
機械工具商社に求めることは。
ユーザーへの投げかけをしっかりと行ってもらいたい。知っているか知らないかのわずかな差が環境に対しては大きな差となる。当社としては即日出荷などにも対応し、利便性を向上させている。一緒に脱炭素社会の実現に取り組んでもらいたい。
日本産機新聞 2021年8月5日
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