2022年6月27日(月)

卸商BCP提案を強化

コロナを機に広がるBCPの波

 山善やユアサ商事は感染症対策商品の開拓や、組織の見直し、サポート体制の強化など、BCP(事業継続計画)に関連する提案の幅を広げている。コロナの影響で、BCPの運用見直しや、感染対策商品へのニーズが高まっているためだ。コロナ収束が見えない中、ユーザーはサプライチェーンの見直しを進め、経済産業省はコロナに特化したBCP策定の指針を近く発表するなど、BCPに関するビジネスは拡大している。商社の取り組みを取材した。 

コロナ禍でニーズ拡大 –商品やサービス拡充–

 ユアサ商事は4月、建設マーケット事業本部の傘下にあったBCPなどを手掛ける部署をレジリエンス&セキュリティ室として成長戦略を担うグローイング戦略本部の直轄とした。全社横断的にBCP関連の提案に取り組むためだ。コロナ発生後には早速、関連製品の開拓を全部署に呼びかけた。「除菌装置など10商品以上が集まり、全社的に展開している」(江村武室長)。今後は「非接触やICTをテーマに商品を広げる」考えだ。

 山善もコロナ対策やBCP関連商品の開拓を強化している。機工事業部の岸聖マーケティング部長は「耐震や防振などに加え、今後は効率よく換気ができるアイテム、除菌・滅菌アイテム、飛沫感染対策としてデスクパテーションなどが考えられる」と話す。紫外線で殺菌する手指温風乾燥機を扱いに加える予定で、対策商品を拡充している。

 商品開拓に動くのは感染対策のニーズが高まっているためだ。しかし、BCPは事業継続が目的で、防災や感染対策は一部でしかなく、ハードだけでは完結しない。このため、両社はこれまで商品開拓だけでなく、コンサルティングなどソフト面を強化してきた。

 山善はBCPに強いコンサルタントと協業し「BCP.ERS(ビーシーパース)」を展開。BCP立案の相談から診断、策定をサポートする。「販売店様が継続的にお客様のパートナーとして貢献するためには、お客様が事業を継続させることが必要」(岸部長)と販売店と協同してユーザー支援に積極的だ。

 ユアサ商事もコンサルタントと提携し計画策定から支援したり、防災士の資格を持つ80人超をレジリエンスリーダーとして全国に配置したりしている。最近は、中小企業が策定した防災計画を経産省が認定すれば税優遇などが受けられる「事業継続力強化計画」の認定取得を薦めている。「BCP立案の入り口になるだけでなく、提案のきっかけにもなる」(機電本部商品企画室鐘尾太郎課長)からだ。

 両社がBCP関連に注力するのは社会的要請に加え、潜在需要が大きいためだ。帝国データバンクによると、20年のBCP策定企業は16・6%。一方、策定を検討する企業は53・9%に上り、市場拡大の余地は大きい。ユアサ商事は23年にBCP関連の売上高240億円に引き上げる計画で、山善の岸部長も「中小企業でのBCP策定は進んでない。BCP策定に製品は必要になるのでビジネスチャンスになる」と需要は拡大するとみる。

 政府の施策も市場拡大を促す。経産省は近くコロナに特化したBCP策定の指針を公表する予定で、中小企業にBCP策定の専門家を派遣する。東京都では中小企業のBCP対策の助成率

を最大5分の4、上限1500万円まで引き上げるなど、多くの地方自治体で補助金を増やしている。BCP策定の機運は高まり、販売店にとってユーザーへの重要な提案テーマとなりそうだ。

日本産機新聞 2020年6月19日

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