2025年11月18日(火)

長谷川工業の1日100台売れる脚立「脚軽」
長谷川義高副社長に聞く ヒットのカギ

長谷川工業 長谷川義高副社長
長谷川工業 長谷川義高副社長

ヒットのカギは「ありそうでなかった」

長谷川工業の「脚軽」
脚軽
 長谷川工業が2012年末に発売した、軽くて丈夫な脚立「脚軽(あしがる)」シリーズが4年半で16万台の販売を記録した。1日100台以上売れた計算となり、今も売れ続けている。ベストセラーになった理由は何か。開発を主導した長谷川義高副社長に聞いた。

―開発に至った経緯は。
 「元々『軽くて丈夫な脚立が欲しい』という声は多かった。一方で、安全性を追求すると重くなるという課題もあった。その意識を変え、シンプルに顧客の声に応えようと試みたのがきっかけ」。

―3割の軽量化に成功しました。
 「脚立ははしごとしても使えるのが当たり前だったが、調査すると10回に1回程度しか、はしごとして使用していないこともわかった。ならば、軽さを求めるために脚立のみでいこうと判断した。引き算の開発といえるかもしれない」。

―黒色も出すなどデザインや商品名も独創的です。
 「デザインにはこだわった。なぜなら手にとってもらわないと良さが伝えられないから。もちろん、デザインには機能性も含まれる。人が触れる部分は全てRがついており、服が引っかからず、片手で畳めるようワンタッチバーも採用した」。
 「商品名もこだわった。職人さんに誇りを持って使ってもらえるようなカッコいい名前にした」。

―ここまでヒットしたのはなぜでしょう。
 「ヒットのカギは『ありそうでなかったもの』だと思う。脚軽はまさに軽くて丈夫というありそうでなかったから売れたと思う。脚軽だけの製品発表会も開催し、露出を高めるため、販売店にのぼりを置いてもらう『脚軽ショップ』も設置した。職人が聞く時間帯にラジオCMの出稿なども奏功したと思う」。

―デザインを強化するメーカーが増えています。
 「当社に『魅せる脚立』というコンセプトの製品で『ルカーノ』がある。これは、椅子などの代用ではなく、安全のために脚立を使ってもらいたいからデザインを重視した。デザインは見栄えのように思われているが、結局は問題解決だと思う」。

―今後については。
 「当社のコンセプトは安心安全な商品づくり。性能とデザインを付加し、誰がみても『ハセガワらしい』とわかるものをつくっていきたい」。

日本産機新聞 平成29年(2017年)6月25日号

[ インタビュー ][ メーカー ][ 日本産機新聞 ] カテゴリの関連記事

【特集:ニーズ高まる品質管理・検査】

昨今、自動車業界の認証不正やリコールなど、日本のモノづくりの信頼性を揺るがす問題が多い。さらに、車のEV化をはじめ、電子・半導体、航空宇宙、医療など様々な産業で、新たな製品や技術開発が活発化しており、開発した製品の検査・ […]

帝国チャック 創業から100年を振り返る

NC旋盤用チャック、研削盤のダイヤフラムチャック、マシニングセンタのシリンダ内蔵チャックなど顧客ニーズに応じ最高の機能と品質を併せた特殊仕様「デザインチャック」を手掛けている帝国チャック(大阪府八尾市)は創業100周年を […]

全国Cominix会総会 より良い活動を目指し発展的に解散

第23回全国Cominix会総会が9月12日、リーガロイヤルホテル大阪(大阪市北区)で開催された。正会員や賛助会員など142人が出席した。 開催に先立ち東部Cominix会の大内宏会長(共立機材商会社長)が、Comini […]

トピックス

関連サイト