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引き継ぎをスムーズにするには【現場考】
「ちょっと図面を見てくれないか」、「もっと削りやすい砥石を知らないか」。顧客から高い信頼を得ている営業が現場に向かうとよくこんな声がかかる。ある販売店ではこうした技術や知見を持つ営業を多く抱えることで、顧客の信頼を得てきた。
しかし、時として強みは弱みに転じることがある。そのきっかけの一つが、世代交代やそれに伴う担当変更だ。顧客から信頼が高ければ高いほど、担当が代わることで、提供するサービスのギャップで顧客が離れてしまうことがある。
先の販売店の50代の営業部長は「ベテランが相次いで引退を迎える。段階的に引継ぎをしているが、なかなかスムーズにいかない」と悩む。「若手は頑張ってくれている。しかし、長年培った関係を引き継ぐのは難しい」。
人間関係などの暗黙知を継承する難しさは製造業に限らず、営業も同じだ。むしろ、機械化やデジタルに置き換えられない分余計に難しい。次の担当者による新たな関係構築を期待したり、そういうものだと割り切ったりするのも一つの手だ。
しかし、スムーズに引継ぎを行う仕組みづくりは管理職の重要な業務だ。ある商社では「詳細な引継書」の作成を義務付けているという。その資料の精度の高さは評価に直結する仕組みにした。
内容は同一フォーマットにし、人間関係、過去実績、トラブル、訪問頻度など綿密に記載する。「これを読むだけで新人が安心して訪問できるレベルまで作り込む」。最近は、作成の手間を減らすため、週報などの情報と連携するようにした。
しかし「この引継書だけでは十分ではない」とも。何度も一緒に訪問したり、時には伴走に1年をかけたりするという。「資料はあくまでベースでしかない。どんな会話をして、情報を得ているかなどは体感してもらうしかない。むしろ教育の一環として引継ぎには時間をかけるべきだ」。
日本産機新聞2026年3月20日号
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