2026年7月3日(金)

引き継ぎをスムーズにするには【現場考】

「ちょっと図面を見てくれないか」、「もっと削りやすい砥石を知らないか」。顧客から高い信頼を得ている営業が現場に向かうとよくこんな声がかかる。ある販売店ではこうした技術や知見を持つ営業を多く抱えることで、顧客の信頼を得てきた。

しかし、時として強みは弱みに転じることがある。そのきっかけの一つが、世代交代やそれに伴う担当変更だ。顧客から信頼が高ければ高いほど、担当が代わることで、提供するサービスのギャップで顧客が離れてしまうことがある。

先の販売店の50代の営業部長は「ベテランが相次いで引退を迎える。段階的に引継ぎをしているが、なかなかスムーズにいかない」と悩む。「若手は頑張ってくれている。しかし、長年培った関係を引き継ぐのは難しい」。

人間関係などの暗黙知を継承する難しさは製造業に限らず、営業も同じだ。むしろ、機械化やデジタルに置き換えられない分余計に難しい。次の担当者による新たな関係構築を期待したり、そういうものだと割り切ったりするのも一つの手だ。

しかし、スムーズに引継ぎを行う仕組みづくりは管理職の重要な業務だ。ある商社では「詳細な引継書」の作成を義務付けているという。その資料の精度の高さは評価に直結する仕組みにした。

内容は同一フォーマットにし、人間関係、過去実績、トラブル、訪問頻度など綿密に記載する。「これを読むだけで新人が安心して訪問できるレベルまで作り込む」。最近は、作成の手間を減らすため、週報などの情報と連携するようにした。

しかし「この引継書だけでは十分ではない」とも。何度も一緒に訪問したり、時には伴走に1年をかけたりするという。「資料はあくまでベースでしかない。どんな会話をして、情報を得ているかなどは体感してもらうしかない。むしろ教育の一環として引継ぎには時間をかけるべきだ」。

日本産機新聞2026年3月20日号

[ コラム ][ 日本産機新聞 ][ 現場考 ] カテゴリの関連記事

FOOMAJAPAN2026を振り返る 機械工具商各社の食品産業向け提案、今年は検査工程の自動化が目立つ

6月2日~5日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれた食品製造総合展「FOOMAJAPAN2026」に多数の卸商社が出展した。各社AIを活用した検査システムや、搬送の効率化などを提案。食品業界は人不足の影響が強く、 […]

牧野フライス製作所が新工場を稼働、大型・5軸機の需要向けに生産能力を強化

牧野フライス製作所はこのほど、山梨県富士吉田市に新設した工場の見学ツアーを開催した。新工場では、大型MC(マシニングセンタ)や5軸加工機の生産能力を向上させ、生産リードタイム半減を目指す。航空や防衛、データセンター関連な […]

工作機械 2026年4月受注は45%増の1889億円で歴代2番目の受注額を記録

アジア地域は歴代最高額を記録 日本工作機械工業会(日工会、坂元繁友会長・芝浦機械社長)はこのほど、2026年4月の工作機械受注額が前年同月比45・1%増の1889億6700万円になったと発表。先月の1934億7000万円 […]

トピックス

関連サイト