切削工具メーカーの日進(堺市堺区、072・221・8081)は、難削材に特化した製品開発に取り組んでいる。「NISSIN FALCON ENDMILL」を武器にニッチな分野を切り拓く同社の尾野功騎社長に、自社の強みや描く […]
特集 成長する脆性材・樹脂・ゴム加工
機械や工具など技術開発が進む
直近、生成AIやデータセンターの投資が活発になり、半導体及び半導体製造装置の需要が急増。そのため、装置関連部材に活用される各種セラミックス(アルミナ、窒化アルミ、SiC)や石英ガラスなど脆性材料ほか、PEEKやPTFEといったスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)、さらにシリコーンやフッ素ゴムの加工需要が伸びている。
これらの材質は一般的な金属材料に比べ、切削加工が困難であることから「難削材」とされる。例えば、アルミナは高硬度、高耐熱性、優れた電気絶縁性、耐食性を持ち、半導体製造装置に活用されるが、衝撃に弱い特性を持ち、電着工具などでの加工では割れやチッピング防止を念頭に加工条件を考慮する必要があるほか、金属加工と異なり、粉状の切粉が発生するため切粉処理も課題だ。

スーパーエンプラは、耐熱性、耐薬品性に優れるが、熱伝導率が低く加工熱がこもりやすいため、寸法変形、加工面のバリやむしれの発生、切くず処理の対応が不可欠で、近年は耐薬品性に優れたゴム材料の課題も多い。これらの加工にはユーザー独自のノウハウがあり、機械や工具選定(自作)、切粉対策などで様々な加工依頼に対応してきたが、直近、様々なメーカーや商社が製品開発を進め、課題解決を図っている。

切削工具専門商社の山勝商会(大阪市)は10年前より脆性材や樹脂加工に着目。長時間加工が一般的な脆性材加工で工具の長寿命化や切れ味を両立した「ハイブリッド電着工具」ほか、樹脂、ゴム加工用工具を自社ブランド『YMKT』で発売。
オーエスジーはセラミックスや石英ガラスなど硬脆材用加工工具「6C×OSG」を訴求。放電や研削加工から切削加工に置き換えることで加工時間の短縮を提案する。
樹脂加工ではイワタツールが「ドリルミル」を使い、静電チャック向けに小径穴ではなく異形状の穴加工を提案。兼房は長い刃長と強ねじれ形状のPCD刃で面粗度や形状精度の向上を図り、栄工舎はオイルホール付きの超硬樹脂用リーマで切削熱の課題に対応。
伸縮・熱変形の多いゴム加工は寸法精度やバリの課題が多い。三洋工具は左ネジレ設計や独自の刃型でワークの変形を抑制しバリの発生を低減。ニチアロイは工具1本で左右回転が可能な特殊形状エンドミルでバリを抑制するなど工夫を凝らす。

工作機械のキラ・コーポレーションは脆性材部品の加工に特化した「グラインディングセンター」を開発。切粉や防塵対策を施した機械仕様で、機械トラブルの削減を図る。ブラザー工業は独自の加工負荷制御で欠けやすい脆性材料のチッピングを抑制。大型ワークや5軸加工にも対応し、コストパフォーマンス性を訴求。また、三共製作所は高速連続回転が可能な脆性材加工用円テーブルを開発。φ630と大型ワークにも対応し、高能率加工でコスト低減に貢献。
脆性材や樹脂加工では水溶性切削液が推奨され、機械周辺や機器のサビ問題が課題だ。エヌティーツールはツールホルダに防錆処理を施した「サビないホルダ」を提案し、金属加工油のブラザー・スイスルーブ・ジャパンはオイルフリーでフルシンセティックタイプの水溶性切削液で、高い潤滑性能と透明度を両立。
脆性材料などを手掛ける大手ユーザーの新工場建設発表が相次ぎ、加工ニーズは高まり続けることが予測される。今後、ワークの大型化や超精密化も想定しており、新たな加工技術の開発が求められる。
日本産機新聞2026年7月5日号
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