2026年9月10日(木)

部下育てその能力昇華【現場考】

アイデアを否定しない

「部で市場調査やプロモーションを重ね、ヒットを目指し、考えた新商品の企画を役員に認めてもらい実現すること」。ある商社の商品開発部(仮称)の部長は自らの責務についてそう話す。部の代表者として部下の夢(企画)を叶える道を拓くことと捉えている。

新商品の企画は自身も考えるが、その主役はあくまで部のメンバー。企画はたくさんあり、魅力があるほど通りやすい。そこで力を入れるのが部下の育成だ。営業や営業推進、商品開発で30数年、培った知識やノウハウを教え、企画を考える基礎の力を養う。

ただ、上司が部下に知識や考え方を倣わせるというのとは少し違う。指導や教育というよりも伝えるというニュアンスに近い。基礎的な大切なことだから知っておくべき。

しかし、それを応用するかどうかは部下それぞれに任せる。教育を受けた部下のその後の展開に自由度が高い。

その理由は指導したことに縛られず、感性を生かして自由にアイデアを考えて欲しいからだ。高度成長の頃はある一定期間、売れ続ける商品が登場した。

しかし、市場が縮小し環境の変化が激しい中、製品のライフサイクルは短くなり、多様化するニーズを捉えないとユーザーに喜ばれる商品は見つけられない。

アイデアは原則、否定しない。新商品として成立するかメンバーとともに考え、最終的な良否は自分が責任を持って判断する。部下とともに調査して分析し企画を練り上げてきた。メンバーも自身も必ずヒットさせたいという熱い思いがある。役員には『必ずOKをもらう』という自信と気迫でプレゼンに向かう。

逆に、自らが率先垂範してその成功経験を指導するやり方はやめたという。市場の変化が激しすぎて過去の成功体験は必ずしも生きてこない。それよりも多様なアイデアの積極的な融合にこそ活路がある。

日本産機新聞 2025年6月5日号

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