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方針浸透させ、組織を動かす【現場考】
貫く姿勢 上にも下にも
中間管理職について考える「現場考」。そもそも中間管理職が期待されていることは何なのだろうか。メーカーや商社の経営者に尋ねた。多くの経営者が答えたのは、「担当する組織に会社の方針を浸透させ、それに基づき組織を動かして欲しい」。
仕事の目的や考え方、モチベーションは人によって異なる。属する組織の方針に対する理解度や好みも違う。経営者が望むのは、将来を見据えて考えた方針の浸透度合いや受け止め方が社内でバラバラだからだろう。組織が大きくなればなるほど隅々に浸透させるのは難しい。
会社は社員全員が漕ぎ手のボートに似ている。漕ぎ手が目指すところを共有し、息を合わせ、オールを漕げば、小さな力でも目的地に確実に近づく。しかし目的地を知らず、それぞれのやり方で漕いでも目的地に近づかないどころか前進しないこともある。
「方針に基づき組織を動かして」と求めるのは、組織に方針を根付かせるだけでなく、組織で実行して欲しいからだ。メーカーであれば、ある商品を、このコンセプト、このやり方で、ユーザーに提案し、生産性向上に貢献する。方針に基づくそうした一つひとつの活動の積み重ねが事業に推進力を生み出す。
「方針に基づき組織を動かす」は逆の意味もある。方針に基づかないことは組織にさせてはならない。業績に貢献することでも、士気が高まることでも、部下からの人気が上がることでも、させてはならない。認めてしまうとその組織の活動力どころか会社全体に影響を及ぼす。
それは役職の上下、部門の違いには関係ない。ある経営者は、「方針に沿わない指示を出してきたら、年上でも先輩でもそれを正せる勇気が欲しい」。中間管理職は、会社を構成する組織と組織の要でもある。上も下も関係なく、方針に合わないことはおかしいと提言できる。凛とした姿勢でいて欲しい。
日本産機新聞 2025年5月5日号
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