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フジ矢 新たな生産体制
更なる成長へ基盤構築
作業工具の総合メーカーへ
ペンチ・ニッパメーカー・フジ矢(大阪府東大阪市、072・963・0851)は、新本社工場に後工程引取りやセル生産など新たな生産手法を導入した。その狙いは、国内でのシェアアップと海外での市場開拓の基盤づくり。さらなる事業成長を目指し、新たな挑戦が始まった。
VICTORブランドの塩ビカッターなどの組立工程には、セル生産方式を導入した。
作業台の前にいくつもの箱が並べられ、作業者は箱から部品を選んで組み立てていく。作業手順があらかじめ決められていて、部品は確認しやすいように配置しているため、経験のない人やパートの女性でも組立てることができる。
誰でもわかり、できるようにする取り組みは、このほかにも見られる。匠の技が必要な刃付けの一部は一品一様の刃付けができる機械で加工し、高周波焼入れも半自動の装置で行う。「刃付けなどは今も熟練の技が要るが、できるところは機械化も進めていきたい」と佐藤部長。
佐藤部長は「人が足りない時には、ほかの工程の技術者が急きょサポートに回ることも。誰でもわかり、できるように見える化することを目指している」。
こうした多品種少量のものづくりや、経験の乏しい人が活躍できる生産現場の構築は、需要の変化や熟練工不足に対応するためだ。
そして、その先にあるのは、作業工具の総合メーカーへの道だ。フジ矢はここ数年、ペンチ・ニッパに加え、携帯バッグやモンキレンチ、ハンマーなどにも商品展開の幅を広げている。取扱商品を広げることで、より幅広い市場のニーズに応えるためだ。 ペンチ・ニッパの国内市場は推定40~60億円とみられ、ここ数年横ばいで推移している。その一方、社内や協力会社で高齢化が進み、刃付けや研磨、焼入れなどの高度な技能を持つ技術者が将来、足りなくなるとみられている。
フジ矢はこうした取り巻く経営環境の変化を捉え、国内では潜在需要を掘り起こしてシェアアップを、海外では新たな市場の開拓による事業成長を目指す戦略をとってきた。
国内では、見込める需要規模が小さくてもニッチなニーズに応える新製品を次々と開発し、それらの多種多様な製品を市場に安定供給する。海外では、現地生産するベトナム工場では本社工場で培った生産技術を活かして大量生産し、東南アジアを中心に市場を開拓する。今回の生産体制の改革は、その基盤を担う。
野﨑社長は「フジ矢グループ全体の年間売上高は現在20億円。これをいつか100億円にしたい。それを実現するためにも向こう3年、生産改革に取り組み、その土台をつくりたい」。
日本産機新聞 平成29年(2017年)2月15日号
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