2026年7月26日(日)

特集 変種変量生産に対応するメーカーの技術提案

国内の製造業は変化の早さに柔軟に対応しつつ、熟練職人の高齢化や人手不足にも対応しなければならない時代に突入している。そこで注目を集めているのが変種変量生産(多品種小ロット生産)を実現する生産現場。常に変化する市場環境や素材・サイズ、加工用途の変化に柔軟に対応し、生産性を高めた現場づくりが主流になりつつある。変種変量生産につながるメーカー各社の最新技術を、開発した背景や特長などを交えながら紹介する。

イマオコーポレーション フレキシブルフィンガー「フレックスグリッパ」

イマオコーポレーションは簡単で導入しやすい自動化・省人化機器の提案に注力している。今回注目するのは、2月24日に発売したフレキシブルフィンガー「フレックスグリッパ」。ロボットアームの動きだけで簡単にフィンガー(爪)の位置変更ができる。もちろん、手動でも位置変更が可能だ。

フレックスグリッパ 3爪タイプ

製造現場への協働ロボット導入が活発化しているが、変種変量生産に対応するためには、ロボットハンドをワークサイズ毎に用意し、段取り替えの際に、ワークサイズに応じて対応するフィンガーに交換する必要がある。

「フレックスグリッパ」は、フィンガーの位置を移動することでハンドの開き幅を変更し、ワークサイズの変更にも柔軟に対応できる。ロボットによるフィンガー位置変更が可能なので(下図)、ロボットを停止して手動でフィンガー交換をする作業を削減できる。

同社営業部・山田真弘氏は「シンプルなメカ式機構なので、フィンガーの位置変更に電気やエアなどの動力源は不要です。簡単なティーチングで使用できます」と強調する。

「昨年12月に東京ビッグサイトで開催された国際ロボット展に、ロボットと組み合わせて参考出展・実演したところ、『すぐに資料を送って欲しい』『CADデータが欲しい』『早く使いたい』といった声を頂きました」(山田氏)と評価は抜群。

ワーク形状に合わせて2爪タイプと3爪タイプを用意しており、アタッチメントを付けることで各種形状に対応する。

同社ではこの他に、シンプルなメカ式機構のロボットツールチェンジャー「SMARTSHIFTロボットシステム」も用意。ロボットアームの水平移動だけで素早くツール交換ができる。こちらも電気やエアなどの動力源を必要としないので、面倒な配管設計をせずにロボットの導入効果を最大限に引き出す。3月には、素早くロボットのツール交換ができる手動のツールチェンジャー「ワンタッチツールチェンジャー」も発売する予定だ。

同社は、“自社でできる自動化”をコンセプトに、様々な工程短縮・省人化アイテムを提案しており、ロボット導入においてもコンセプトは普遍。“手軽に自動化”を考えるなら同社に注目したい。

ブラザー工業 SPEEDIO「R450/650Xd1」

昨今の製造現場は人手不足や需要変動に対応できる加工設備が求められているが、エンジニアが不足する中小製造業ではロボット導入は高価かつ専門知識が必要になるため、導入を見送るユーザーも多いという。

そこでブラザー工業はSPEEDIOシリーズの高速2面パレットチャンジャ—搭載モデル「R450/650Xd1」にセンタースルークーラント圧で先端の爪が開閉するワークハンド(ワーク搬送用ホルダ)を活用し、ロボットを使用せず自動化を促進させる技術の開発に注力している。

ワークハンドの活用でロボット無しの自動化を促進する

R450/R650Xd1は30番加工機で省スペースながら2面パレットチャンジャ—を搭載。加工室と段取り室の二部屋を設け、自動化及び生産性向上に最適な機種だ。そこへ工具マガジンに切削工具と共にワークハンドを装着。主軸に取り付けられたワークハンドが加工したワークを取り上げ、パレット入替後にワークをストッカーへ収納。ストッカーから次のワークを取り出し、治具にセットすることでロボットを使用せず、複数ワークを自動で加工でき、短時間の無人加工・夜間稼働を可能にする。

加工室と段取り室に分け、少量多品種生産に対応する

大きな特長は①NCプログラムで動作できるため、ロボット技術者不在でも自動化を実現②ロボットスペースがいらず機械本体スペースのみ活用(省スペース)③ロボットや関連する付帯設備が必要なく低コスト④加工室と段取り室を分けたことで切粉や刃物折損によるワークへの損傷防止⑤複数のワークハンド活用で少量多品種生産に対応⑥エアなど追加動力が不要(省エネ)。

同社は仕様検討~セットアップまで一気通貫での対応もしており、今まで自動化に踏み出せなかったユーザーの自動化促進につなげたい考えだ。

開発を手掛けたソリューショングループ・カスタマイズチームの西山典氏は「昨年のEMOショーでは評価も高く、パレットチャンジャ—付モデルを活用したことで競合他社には出来ない自動化提案」と自信を見せる。今夏以降、テクノロジセンター刈谷で常時展示するほか、より生産量を増やしたいユーザー向けに新たな技術も開発中で、商社・販売店への認知度を高め受注獲得を目指す。

日本産機新聞2026年3月5日号

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