2026年11月2日(月)

厚地鉄工「自由自在な設計力でブラスト作業を自動化」【特集:メーカーの強さの源〜光る!スゴ技〜】

どんなワークでも均一な仕上がりを実現

バリ取りや下地処理を行うブラスト加工でも自動化需要が高まる。「アスコン」のブランド名で高品質なブラストマシンを製造する厚地鉄工は、特殊仕様の自動化設計に力を入れる。自動化といえば省力化のイメージが強いが、同社が重視するのは加工品質の安定。柔軟な設計力で顧客の難題を解決するのが厚地鉄工のスゴ技だ。

ロボットによる自動化だけでなく、搬送機構やブラスト設備全体を設計する自動化も得意とする。顧客の要望に合わせ、ワークのサイズやブラスト条件を基に最適な設備を提案する。

代表的なケースが直径5mの大型ベアリング用に製造したブラスト装置。ローラコンベア上にベアリングをセットし、回転させる。ワーク全体をブラスト機構で覆うのではなく、回転させながら一部分ずつブラストキャビネット内を通過させることで、外周全面を処理できる。巨大なベアリングを反転させることなく、自動でのブラスト処理を可能にした。

大型ベアリング用の自動化装置。ワーク自体を回転させながら部分ごとにブラスト処理を行い、外周全体を均一に仕上げる

もう一つの例は、ツーリングメーカーからの依頼で設計した多品種対応の自動化装置。テーブルにセットしたワークのサイズをセンサーで計測し、その情報を制御装置へ送る。9本のブラストノズルが最適な軌道を自動で描くため、作業者はワークを載せてボタンを押すだけで処理が完了する。段取り替えを抑えつつ均一な仕上がりを実現した。

多品種対応型のブラスト装置。キャビネット入口のセンサーでワークの高さを測定し、その情報に基づいてブラストノズルの位置を自動調整することで最適な処理を実現する

厚地鉄工は創業から89年経つが、半世紀前より自動化提案に力を入れてきた。そして時代とともに顧客ニーズは多様化し、3次元CADの発達も相まって設計の自由度も大きくなったという。

ただ、特注機だけに最初から全てが上手く作動するとは限らない。改良が必要になることもあるが、その度に次の設計へ活かしてきた。「見たこともない機械を作らなければいけないことも多い。そして不具合が起きたらそれを治してノウハウにしてきた」(同社担当者)。

現場で積み重ねた試行錯誤の繰り返しが、一品一様の自動化設備を支える厚地鉄工の設計力となっている。

日本産機新聞2026年7月5日号

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