2026年6月19日(金)

【Innovation!】耐熱合金用工具 航空・医療分野の需要に応える各社の切削工具を紹介

近年、需要が高まる航空機部品や医療部品向けでは、インコネルやハステロイ、チタンなど耐熱合金の採用が増えている。耐熱合金は非常に削りにくい難削材であり、加工時に高温になりやすい、切削抵抗が大きい、工具摩耗が激しいなどの特徴を持つ。切削工具メーカーは耐熱性や耐摩耗性に優れ、かつ欠損しにくい靭性を兼ね備えた耐熱合金用工具の開発を進める。各メーカーが開発に力を入れる中、最新の耐熱合金用工具を紹介する。

オーエスジー 超硬防振型エンドミル「AE-VMシリーズ」

工具集約でコスト低減にも効果

炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼から航空機部品に多用されるチタン合金、Ni基合金まで幅広い被削材、高難度の加工分野に対応。工具集約を可能にし、高い仕上げ面精度を確保しながら、機械加工時間の削減、コスト低減にもつながる。

工具剛性と切りくず排出性を両立した溝フォームにより安定加工を実現し、バリを抑制。直角コーナの加工が可能なライトアングルタイプは、精密加工に対応する。溝加工、側面加工、ヘリカル加工、ランピング加工など多彩な加工方法に対応可能で、耐熱合金の削り出し加工にも威力を発揮する。豊富なコーナRのバリエーションを備えたラジアスタイプもラインナップしている。

製造時CO2排出量を低減したGtagも追加し、環境に配慮して製造された低炭素型製品も選択できる。

サンドビック・コロマント 耐熱合金用旋削チップ「GC1205/GC1210」

高速加工にも対応

航空宇宙エンジンなど難削材加工の増加で、生産性向上ニーズへの対応、要求品質の高度化を背景に耐熱合金加工に特化した耐熱合金(HRSA)用旋削加工向け新PVDコーティング超硬材種。

GC1205は最終加工段階(LSM)加工用推奨材種。ナノ粒子専用TiAlN PVDコーティングと超微粒子超硬母材で高い摩耗性とコーティング密着性を両立し、高速加工と長寿命に対応。

GC1210は中間加工段階(ISM)加工用推奨材種で、TiAlCrN多層PVDコーティングを採用。優れた耐クレーター摩耗性で安定加工と長寿命を実現し、部品あたりのコスト低減、生産性向上、工具消費量の削減に貢献。既存材種に比べ、耐逃げ面摩耗性・耐境界摩耗性、工具寿命の向上で、従来比約2~5倍の長寿命化した事例もある。

ダイジェット工業「SKS-GⅡ09タイプ SKG-09形」

大幅な加工コストの削減に貢献

耐熱合金やチタン合金などの難削材を高能率加工できるカッタで、難削材加工において大幅な寿命延長を実現する。インコネルなどの耐熱合金やチタン合金、ステンレス鋼の平面削り、ポケット加工、曲面加工、ヘリカル加工、突き加工に対応。

切れ味に優れる研削級インサートをはじめ、外周研削直線刃形や強アキシャルの本体設計で切削抵抗を下げ、難削材加工で安定した加工を実現。3種類のコーティングを用意し、被削材に最適なものを選択することでインサートの長寿命化にもつながる。加工時間の短縮とインサートの長寿命化により、大幅な加工コスト削減に貢献する。

インサートは10種類をラインナップ。従来品よりも小さく、多刃仕様とした。同製品は「難削材加工で切削条件を上げ、工具寿命も伸ばしたい」というユーザーの声を形にするため開発された。

タンガロイ 肩削りカッタ「TungForceRec」

高い耐欠損性を実現

直角肩削りや3次元加工に最適なカッタ。「高い加工安定性で高能率加工を行える肩削り工具」をコンセプトに、独自形状のインサートを開発し、高剛性で多刃な工具設計を可能にした。

独自開発インサートは、底面にV字形状を採用し、ボディの心厚とバックメタルを増加させた。この特長により高剛性化と多刃化および不等ピッチを実現し、多い刃数でも安定した高能率な加工を可能にした。また、インサート逃げ面には「逆ポジ逃げ面」を採用。切れ刃の断面積を最大化することで、良好な切れ味と優れた耐欠損性を両立する。

これらの特長により、耐熱合金など加工負荷が大きく、加工能率の向上が困難な難削材加工でも、高能率化・長寿命化を実現し、加工コストを削減できる。

日進「NISSIN FALCON ホワイトエンドミル」

30番加工機でも難削材を高能率に加工

耐熱合金や高剛性ステンレス合金など、切削抵抗の大きい難削材の高速加工に対応するエンドミル。従来比2〜3倍の切削速度を実現し、「難削材は慎重に加工するもの」という概念を変えるべく、難削材加工の常識に挑戦し続けるメーカー・日進が市場に提案する。

工場面積が限られ、大型設備の導入が難しい町工場特有の課題に着目。30番加工機でも難削材の高能率加工を可能にし、小規模設備でも高付加価値加工への参入を後押し。

独自の刃形状により切削抵抗を低減し、30番加工機でもフル溝加工や高送り加工を安定して行えるのが特長。工具寿命と高能率を高い次元で両立し、荒加工から仕上げ加工まで1本で対応する。

剛性を高めた設計により加工音も静かで、重切削時も高い安定性を発揮。航空・半導体・医療など成長が期待される分野の加工ニーズに応える。

不二越「SGスパイラルタップ 難削材・チタン合金用」

チタンに安定したタップ

チタン合金にめねじを安定、長寿命で加工できるタップ。ワークロスや修復などのトラブルを抑制できる。航空機部品や医療部品のチタン合金の加工に適している。

チタン合金は耐熱性が高い反面、熱伝導が小さく工具摩耗が早かったり、刃先に被削材が溶着しやすかったりするため、タップによるめねじ加工が難しい。数穴で工具が破損することもあるという。

同製品は耐摩耗性に優れたSGコートと、高級粉末ハイスにより工具寿命を改善。弱いねじれ溝により、切れ刃の鋭角を減らし耐欠損性を向上させたほか、突発的に加工時のトルクが大きくなった場合でも折損しないように太い心厚を採用した。

また、ねじ部の逃げ角を大きくしたことで、スプリングバックによるねじ部の擦れを低減。加工トルクを抑制し、安定しためねじ加工を実現した。

日本産機新聞2026年6月5日号

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