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ロボット加工技術研究会 会員8社が語るロボット加工の可能性
技術を結集 市場創出へ
人手不足により製造現場でロボットを活用することは当たり前になっているが、ロボット本体や周辺技術、システムの進化でロボットの活用域が広がっている。中でも注目されているのがロボットによる切削加工、いわゆる『ロボット加工』だ。昨年、ロボット加工技術研究会が名古屋に発足し、Slerをはじめ、ロボットメーカー、切削工具メーカーほか、ソフトウェアやミスト装置、測定機器など8社が参画し、ロボット加工の技術向上と市場開拓に向けて動き始めている。そこで、進化するロボット加工の魅力、課題、今後についてロボット加工技術研究会のメンバーと座談会を開き、同研究会会長であるトライエンジニアリングの岡丈晴専務を中心に、各社の取り組みや今後の展望を聞いた。
出席メーカー

イワタツール
代表取締役社長
岩田 昌尚氏
ジェービーエムエンジニアリング
ロボット営業部 統括部長
鹿取 稔氏


田野井製作所
ドクターセールス統括部 部長
吉川 雅也氏
トライエンジニアリング
専務取締役
岡 丈晴氏


ファナック
ロボットアプリケーション技術本部
自動車・レーザ技術部長
久保田 裕昭氏
フジBC技研
セミドライチーム 開発
井上 勤氏


安川電機
ロボット技術部 次長
伊藤 毅氏
レニショー
シニアアプリケーションエンジニア
梁谷 大氏

航空、宇宙、鉄道、造船…活躍の領域広がる
司会 本日はロボット加工技術研究会メンバーにお集まり頂き、ロボット加工の特長や強み、今後についてお聞きします。まずは一昨年発足した『ロボット加工技術研究会』について岡丈晴会長にお聞きします。
岡(トライエンジニアリング) ロボット加工とは切削加工をメインとするシステムです。従来、工作機械がその役割を担いましたが、6軸多関節の産業用ロボットのアーム先端に加工用主軸を持たせ、工作機械のような動きで加工するのがロボット加工です。異なる点は、ロボットは汎用性が高く活用するメリットも多いため、ロボット加工の技術向上及び認知向上、市場の創出を目的に立ち上げました。
司会 高い汎用性とは。
岡 工作機械は3軸から5軸へ性能アップを図るのは大変ですが、ロボットは元々6軸多関節で加工の自由度が高く、加工ワークが変っても柔軟に対応できる。加工以外にも搬送、計測など様々な用途に活用できるので汎用性が高いです。
司会 現在の市場は。
岡 自動車や航空・宇宙、造船、鉄道など大型ワーク加工で採用されるケースが増えています。ロボット加工のメリットは大型ワーク加工に対し、工作機械だと機械サイズや価格など制約が大きくなる一方、ロボットは走行軸を設けるなどワークサイズに制限無く加工できますので、比較的大きなワークに対してメリットが出しやすく、レイアウトなどのカスタマイズもしやすいです。
司会 なるほど。そこでロボット加工の能力を高めるために様々なメーカーが協力し技術開発に取り組むことが重要になりますね。では研究会の加盟企業を紹介します。まずは切削工具から。
岩田(イワタツール) 当初、ロボット加工は難しいと感じていましたが、トライエンジニアリングさんのロボットマシニングを見て実用化できると感じ、どのような工具がロボット加工に向いているのか、基本概念を研究しています。
司会 ロボット加工が難しいと感じた理由は。
岩田 基本はロボットの剛性のなさで、高剛性ロボットの開発が重要になります。ただ、ロボットも工作機械と同様に、サーボモータが各軸に付いてNC制御し加工する。その定義だと工作機械は機械加工に最適化したロボットと表現することもできます。なので、ロボットの剛性や精度が必要十分であれば、工作機械では加工しにくい領域に対し、ロボットが切削加工の領域を広げてくれると感じました。
司会 切削工具に求められる条件は。
岩田 ロボットの剛性不足をカバーするために『低抵抗』で振動を発生させにくい形状(構造)です。そうすれば、工作機械に近い効果が得られると考えています。
司会 田野井製作所さんはどうでしょう。
吉川(田野井製作所) 私も最初は懐疑的でしたが、大型ワークを加工するために超大型のマシニングセンタを導入するのは現実的でなく、ロボット加工が実用化されれば面白くなると考え参加しました。
ねじ穴はボルトが入れば良いわけではなく、緩まず締め付けできないと意味がありません。現状のラインアップにフレームやバッテリーケースの加工に適した低抵抗で給油環境を向上させやすい製品があり、ロボット加工にも適用できました。ロボットのオープンな環境で何が足りないかを考えると、周辺技術との組み合わせが重要です。
司会 安定した加工の実現にロボットの剛性や周辺技術という意見が出ましたが、ロボットメーカーの視点は。
久保田(ファナック)ロボットメーカーも剛性をテーマに考えていますが、工作機械並みの剛性となると難しい部分もあります。
なので、研究会に参加し、剛性を高める、精度を高める、加工速度を上げる研究を行っています。ユーザーの求めるロボット加工精度を実現するには工具や計測などトータルで解決しないとロボット加工の普及にはつながらないでしょう。将来、夢のようなロボットが誕生し、工作機械の性能を凌ぐようなことが出来る可能性もありますが、現状は難しいので総合的な対策が必要と考えます。
司会 切削工具メーカーさんは当初、懐疑的ということですが、ロボットメーカーから見ると。
久保田 もちろん懐疑的でしたが、高い加工精度を必要としないならば、適材適所でロボットの優位性を活かせると思います。高精度や能率を高めるためにロボットをどこまで造り込めるかが問われます。
伊藤(安川電機)ロボット化で産業が育ち、商機が出てくることが開発のモチベーションです。先ほどの大型ワークの加工もロボットで対応できれば、産業が育つ可能性があります。
司会 剛性の課題は。
伊藤 ロボット加工で工作機械と同レベルの加工精度を得るためには、加工姿勢での手先位置の精度を保つ必要があり、アームの弾性変形への対策が必要になります。アーム自身の高剛性設計に加え、機能的な補正や、そもそもの加工抵抗の低減も必要です。
司会 だから、低抵抗工具がキーワードですね。
伊藤 そういう工具側の機能があれば、ロボットによる実現がしやすくなります。逆にいうと、ロボットだけで解決しようとすると、ロボットは極端に高剛性な機械構造をとる一方で、作業範囲は小さいでしょう。そこで各社の技術を結集し最適なモノを作れば、世の中の課題解決につながります。これだけ難しい技術だと他産業への転用も可能で、アイデアや経験も次につながるでしょう。
司会 ソフトウェアの視点では。
鹿取(ジェービーエムエンジニアリング)当社はCAD/CAMソフトに30数年前から携わっており、10年ほど前からロボットのオフラインティーチングソフトも販売しています。昨今、ロボット加工においてニーズが多いのはバリ取りですが、ワークが大型になるほどロボットを利用した加工に優位性があると考えています。
当社のロボット加工における役割はCAD/CAMで出力した工具軌跡(座標値)をロボットのオフラインティーチングにインポートし、ティーチングラインとして利用できる仕組み作りであり、これにより、全体の作業工程を短縮できます。
司会 ロボットの動きもCAD/CAMで作るのが前提ですか。
鹿取 全てのワーク形状においてではないですが、複雑形状になればなるほどCAD/CAMと連携した方が作業は楽です。研究会でもパス生成の手法の面で関わっています。
司会 フジBC技研さんはどんな役割を。
井上(フジBC技研) ロボット加工はオープンな環境下なので、通常ドライ加工が優先されますが、ドライ加工で難しい場合は我々に相談が来ます。
当社は30数年ほど前からアルミダイカストや低圧鋳造の湯口の切断やバリ取りではセミドライによるロボット加工に取り組んできました。

司会 加工油で加工性能は変わりますか。
井上 有る無しで結果は大きく異なります。課題として主軸をセンタースルー仕様にしたいなどの希望があります。前回のJIMTOFではトライエンジニアリングさんのロボットマシニングで、ファナックさんの高剛性ロボットと安川電機さんのアームロボットを使い、クーラントの位置調整ができる仕様を披露しました。精密なクーラントシステムを構築できれば、加工領域も広げられます。
岡 ただ、ロボットは主軸サイズが大きくなる場合や大量のノズルを付けた場合、ロボットの自由度が制限される懸念もあります。ウェット加工だと周辺機器も工作機械と変わらないため、ドライやセミドライ加工が推奨されています。
司会 レニショーさんはワーク測定ということになるのでしょうか。
梁谷(レニショー) 誰もが自動化=ロボットと思いますが、現場のティーチングや動作設定は全部手作業で、先端の位置合わせも属人化し、専任者がいなくなったらどうするかという問題を抱えています。オペレータが3人いて、同じ作業をしても同じ数値にならず能力差が出ます。ロボットを上手く使うために、誰でも簡単に設定できるように、タッチプローブを使って座標系の設定を支援するのが我々の取り組みです。
司会 手作業で行うとはどういうことですか。
岡 ロボット加工の大切なポイントですが、ロボットはティーチングプレイバック(人がティーチングペンダントを用いてロボットに実際の位置や角度など動作を教示・記録し、記録された動きを自動で再現すること)で進化してきました。
工作機械は絶対座標をきっちりトレースすることで高精度な加工を実現していますが、ロボットの繰り返し精度は高くなく、現場も手作業でキャリブレーションしてきたので、タッチプローブで得られる精度を必要としてこなかった。ですが、ロボット加工では高い精度を求められるようになります。
司会 従来のロボットは多少ズレても動作できますが、ロボット加工は精度が求められるので、目視や人の手ではなく正確な数値が必要だと。
岡 基本は加工物が正の状態で置かれた時に、それに対して絶対空間座標を作って、ロボットが動くことが基本です。加工物の位置が変わっても、カメラで計測フィードバックすることでフレキシブルに対応できることがロボットの特長でもありますが、それには基準となる位置に対し正確な3次元座標を構築することが大切で、適切に計測し、そのままロボットの座標系構築に活かすことが必要です。
梁谷 ロボットを活用するユーザーもすごく悩まれていますね。今は優秀なオペレータがいるからこそ実現していますが、素人では削れません。我々の製品はそこにフォーカスしています。現状、現物のロボットとテーブルの相関関係がズレているので、オペレータが必ず現物合わせで確認します。これを設定で合わせ込みができれば確認工数を減らせます。
岡 これは今後のデジタルツインにも必須です。リアル空間で様々なロボットや周辺機器との相対関係をきっちり計測してバーチャル空間にフィードバックさせ、両方の動きを一致させることが絶対条件。デジタルツインが高度化すれば加工の話だけではなく、デジタルとリアルを一致させるための設定フィードバックの自動化がより大切です。
伊藤 自動化の現場を作る時に人のノウハウがどこにあるのか、そこを技術で対処しないと自動化の普及にはつながりません。機械加工は位置精度が肝ですから、位置精度が出ていないと現場の自動化は実現できない。これまで加工技術に長けた人材がいましたが、ロボットで自動化を図るには、その手前の属人化された技術を機能で置き換えることが必要です。
梁谷 また、経年変化によるロボットの状態診断も課題です。当社ではロボットの状態診断で定量的にロボットの見える化を図ろうと思います。ロボットの保全作業は現状手作業で、ガタやグリスの色など保全者の判断に委ねられます。ISO規格も明確に定義されていないので、ロボットの状態を判断出来ません。いつまでにメンテナンスが必要かを数値的に判断することで計画的な保全と精度維持が可能になり、当社は導入前後のサポートも行っていきたいと考えています。
司会 ロボットとはいえ、中身は属人化の課題を抱えているのですね。Slerの観点からはどうでしょう。
岡 当社はロボットアームの先端に取り付けたローラーを鉄板に押し付けて曲げるヘミング加工を開発し、自動車など幅広く採用されています。これはローラーの加圧力に対する反力を受けながらロボットを正確に動作させる技術となります。切削加工も加工反力を受けることは共通で、ロボットによる切削加工技術を追求することは単にロボット加工の領域拡大ほか、研削や摩擦攪拌接合など他の加工にも活用できる可能性を秘めています。
ギガキャストでも少ない投資で効率良く加工ができる
司会 ロボット加工システムの開発はいつから。
岡 2013年頃にユーザーから汎用ボール盤を改造した専用機の代わりにロボット加工システムを作ってくれないかと依頼されたのがきっかけです。当初は失敗の連続でしたが、今では軽切削から重切削まで幅広い加工に対応するシステムを確立しています。様々なユーザーから受注し、2025年末時点で累計50台販売しました。
司会 主な需要先は。
岡 一つはギガキャストの車体部品の加工で、成形した部品に穴あけ、タップ、バリ取りなどを加工します。ギガキャストの特長は①超大型②薄肉③求められる精度は0・1㎜台で、従来のセオリーだとMCで加工しますが、超大型部品を載せるテーブルが課題です。加えて、部品より機械剛性が強すぎるため、切削条件を落とさないと薄肉を加工できず、加工性能もオーバースペックになっています。
司会 工作機械ではミスマッチですね。
岡 それに比べ、ロボット加工は①アームを動かし大きな部品を加工できる②剛性や精度が求められない③工作機械に比べ投資費用が抑えられるなど、ロボット加工とギガキャストは相性が良い。
加工以外にも溶接や搬送、研磨など様々な作業ができる汎用性もあり、複数のロボットで同時に部品を加工すれば、タクトタイムや生産コストも大きく改善できます。
司会 自動車以外にも活かせる分野は。
岡 航空・宇宙、鉄道、造船、鉄鋼などの分野で実績があり、航空機はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の機体部品加工に採用されました。鉄道車両も溶接や研磨など人の手による加工が多い分野で、ミクロン台の加工精度を必要としない箇所にロボット加工が注目されています。
近年ニーズが高まっているのが造船で、船舶は鋼板を切断し、その端面をV字などに開先加工し、それを溶接して繋ぎ合わせて作ります。切断した鋼板は5m×5mになり、自由曲面も多く、今なお人がグラインダーで加工しています。ロボット加工なら開先加工、3Dカメラによる形状・寸法の認識や測定で自由曲面の加工も実現できるので、人手不足に貢献できます。
司会 やはり大型ワークほどメリットが大きい。
岡 確かに小さな部品を速く大量に生産するにはMCが優れていますが、部品は切削だけでなく、バリ取り、測定、洗浄など複数工程を経て完成するので、複数工程を集約できるロボットの強みを活かせます。他にも荒加工をロボット加工、仕上げ加工をMCに分担すれば投資コストも抑えられます。
岩田 ロボット加工は未踏の技術です。課題もまだまだありそうで、工具メーカーとして挑戦することでロボット加工用工具の開発に加え、ロボット加工により新しく発生した他分野の工具開発にも繋がると期待しています。

司会 特長を活かせば幅広く活躍できますね。
岡 ただ、切削加工は奥が深く、ロボットの技術だけで解決できることは限られます。
だからこそ、ロボット加工技術研究会を立ち上げ、ロボットや切削工具、測定機、ソフトウェア、セミドライ装置など、それぞれのエキスパートと連携し、課題解決に取り組んでいます。
司会 ロボットメーカーさんから今後どのような課題に取り組むかをお聞きします。
伊藤 ロボット加工はどういった分野で活躍できるか。そこにおけるニーズは何か。それを実現するための課題と解決方法は何か。そうしたことを研究会で探り、把握し、研究したいと思います。
というのもロボット加工の技術はまだ黎明期で、確立された技術、いわゆる技術の「型」がありません。どうすれば精度が高まるか、時間短縮できるかの定石はなく、ギガキャストの車体部品との相性もここ数年で分かったことで、他の用途についても未知数です。
まずはニーズを探り、研究会のメンバーで解決策を探求する。その中で当社はロボットというポジションから課題解決に取り組んでいきたいです。
久保田 確かに課題の1つは剛性や精度ですが、例えば、構造の強化、駆動部制御の改善、動的精度を向上する機構の採用、振動の抑制機能の向上など改善策は多数あります。
しかし、剛性や精度だけ追求するとロボットは巨大になり、実用化における機能性や操作性とのバランスが取れません。
もう一つの課題は使いやすさ。加工プログラムを作成しやすく、知識や経験が浅くても高精度な加工ができる。そうした使いやすさを追求したい。こうした課題はロボット単体では解決できませんので連携して技術開発に取り組みます。
司会 切削工具メーカーの取り組みは。
岩田 1つは工具の開発です。今のところロボット加工用工具が市場で販売を伸ばすことより、研究の知見で既存工具の性能アップに役立っていることの方が大きいです。
ロボット加工は、これまでの加工と全く異なる条件を前提に研究しなければならない。その中にはこれまでの常識の範疇を超えることが起こり、切削加工の原理原則を新たな角度から照らし出すこともあります。それをヒントに既存工具の性能アップにも役立てたい。

司会 ロボット加工に取り組むことで従来工具の改良にもつながると。
岩田 ロボット加工は未踏の技術です。課題もまだまだありそうで、工具メーカーとして挑戦することでロボット加工用工具の開発に加え、ロボット加工により新しく発生した他分野の工具開発にも繋がると期待しています。
2つ目はユーザーへのロボット加工用工具の推奨です。これまでにない加工技術なのでユーザーはどの工具を選べば良いか判断に困ると思います。そこで当社や田野井製作所さん、他社メーカーを含めロボット加工に最適な工具を選んで推奨し、国内初のロボット加工用工具専用カタログを作りたいと思います。
吉川 当社もロボット加工に対応できる工具の開発に力を入れています。ロボット加工では場合によって上を向いて加工するなどMC加工とは異なる動作をする可能性もあります。
タップ加工ではワークと噛み合う際の接触面が非常に広く、摩擦熱で溶着したり折れたりすることもあります。MCでは大量のクーラントを使用できますが、ロボット加工はオープンな環境なので、クーラントの周囲への飛散防止や加工ポイントに的中させることも含め、ロボットの加工環境を理解し、適応する工具とその使い方を開発することが課題です。
司会 フジBC技研さんはどう考えますか。
井上 ロボットはオープンな環境なので大量のクーラントを使用できず、セミドライ加工で同等の加工品質を実現させることに取り組んでいます。これに取り組むことはMCで加工するユーザーの新たなニーズに応える技術開発にもつながります。
例えば、「ワークが大きすぎて洗浄できない、洗浄しなくても良いようにしたい」「加工後に乾き、後工程がスムーズに進むようにしたい」などです。これらのニーズにはロボット加工の研究開発が非常に役立っています。開発した技術はMCだけでなく、ロボット加工にもフィードバックして役立てていきたいですね。
司会 技術の転用によりMC加工にも活きるということですが、ジェービーエムエンジニアリングさんは。
鹿取 進めているのがロボット加工に適した制御プログラムソフトや操作しやすい技術の開発で、1つはロボットの制御に最適なソフトウェアです。当社は工作機械向けのCAD/CAMを手掛けていますが、工作機械と同じ精度でロボット加工用制御プログラムを作ると情報量(制御点)が多すぎてロボットがスムーズに動きません。そこでロボットが対応できるように情報量を減らし、ロボット加工に求められる精度で動く編集ソフトも開発しています。
2つ目は現物ティーチングすると同時に、そのデジタルデータを生成する技術です。これまでのティーチングはロボットに動作を教示し、プログラムを記憶させていましたが、この技術はリアルタイムで教示できるのでロボットのダウンタイムを大幅に減らせます。
司会 AIも関わってくるのでしょうか。
鹿取 CAD/CAMもAI活用がどんどん増えています。例えば、製品の3次元データをクラウドにアップロードし、ワーク素材や工具仕様を設定すると、加工工程と加工パスを自動で生成してくれるソフトも扱っています。100%の加工パスは作れませんが、70~80%までAIが作成しますので、工数削減・省人化の実現に寄与します。今後AIは進化しますので、その技術をロボット加工にも活かしたいです。
司会 デジタル面でいうとレニショーさんは。
梁谷 座標・数値によるロボット制御の有効性をユーザーやロボットメーカー、Slerに普及させたいと思います。
司会 その理由は。
梁谷 ロボット加工はXYZの座標軸と数値でロボットの動きを制御しますが、溶接や搬送など主たるアプリケーションでは人の手でロボットにティーチングを行っています。ロボットに携わる人にも座標・数値制御技術を使うメリットを知ってもらいたい。これまで手作業で動作設定してきた方々に座標を設定する有効性を丁寧に説明し、マインドチェンジしてもらえるように取り組みます。

司会 ロボット加工の現在地は。
岡 まだまだ技術は進化の途上です。確かに様々な分野で多様な材質を加工できるようになりましたが、これからも加工性能の向上を追求し、工作機械の加工精度に近づけたいと思います。
ただ、ロボットの魅力であるスリムさ、汎用性の高さ、低コストを損なわず実現することが重要です。それには低抵抗の工具、バックラッシュのないロボット、セミドライ加工など研究会メンバーの持つ技術を融合させることがカギです。
さらに、多品種少量生産や部品加工のプロセスの中で工作機械と組み合わせて効率化を図る技術の開発にも着手します。
司会 昨年の国際ロボット展ではロボットがワークを掴み、地面に固定した加工用主軸にワークを当てて加工する新たな方法も披露しましたが、それも技術の一例ですね。
岡 ロボットがワークを掴んで加工するメリットは①段取り替えを減らす②より最適な条件で加工できる事などです。部品加工には必ず切削や研削、測定など複数工程があります。ロボットにスピンドルを持たせると工程を進める度にワークの移動・段取り替えが必要ですが、ロボットがワークを掴んで加工すれば、次の工程に進みやすい。
もう1つはMCだと主軸の交換はできませんが、ロボットは加工内容に応じて適した主軸を選んで加工できます。これは国際ロボット展でも大きな注目を浴びましたが、ロボットがワークを掴むのはSler業界では当たり前で、柔軟に発想すれば多様な方法があります。
司会 今後、会員を増やすことは。
岡 もちろん会員さんを増やしたいです。2月に切削工具とスピンドルメーカー、大学の先生の2社と1名が正式に加盟しました。研究会の目的はロボット加工の市場拡大です。関連する工具や機器、Slerに入会してもらい、市場を広げていきたいですね。
司会 ロボット加工を拡大させる上で、機械工具商社に望むことは。
岡 もっとユーザーにアピールしてもらいたい。ロボット加工も少しずつ認知されるようになりましたが、まだまだ少ない。現状、工作機械を使うユーザーが設備投資を検討する際、ロボット加工が検討対象に入ることはないですし、ロボット加工に不安を感じるユーザーも多いでしょう。商社や販売店がユーザーと接し、ロボット加工という技術があること、技術が進化していることを広く伝えてもらいたいです。
司会 市場ニーズを背景にロボット加工の普及に向けた技術開発、取り組みがさらに加速しそうですね。本日はありがとうございました。
日本産機新聞2026年2月20日号
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