2026年10月17日(土)

【特集】機械工具商社トップインタビュー 変わる商社、コロナで加速

コロナ禍が商社の変革を加速させている。コロナの影響で面談が難しくなり、ウェブ会議などのデジタル対応が不可避になったり、非接触ニーズで自動化が加速したり、本来取り組むべき課題が早まったためだ。さらに、カーボンニュートラルへの対応や、SDGs(持続可能な開発目標)といった新たな社会課題が登場し、そちらへの対応も必要になっている。卸商社はこうした変化に対しどう動くのか。商社トップインタビューから商社の変革を探る。

「DX」「自動化」「脱炭素」「SDGs」 社会課題への対応必要

コロナ禍は機械工具業界に様々な変化を迫った。その一つが、面談が難しくなったことで、ウェブ会議システムの活用やテレワークへの対応などデジタル対応が加速したことだ。ウェブセミナーやウェブ会議システムの活用は当たり前になった。

ただ、変化の本質はこうしたツールの活用ではない。情報伝達のあり方が変わったこと。面談せずに情報を届けることが可能になり、動画などのほうが伝わりやすい情報もある。今後は、どう使いこなすかが重要になる。山善の長尾雄次社長も「リモートとリアルを使いこなすハイブリッドな営業を実践する」という。

デジタル化はビジネスモデルの変革を迫る。ウェブ受注を強化したり、社内の業務効率化に取り組んだりとアプローチは多岐にわたるが、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるとする商社は多い。

その一つとして、人工知能(AI)の採用も広がる。山善やユアサ商事は昨年AI企業と提携。トラスコ中山も6月にAI企業と提携した。中山哲也社長は「需要を先読みして納品仕組みを構築したい」という。

ロボットによる自動化やIoTの活用などもコロナが加速させた。これまでも、人手不足や生産性向上のために自動化の需要は大きくなっていたが、「非接触が必要になり自動化ニーズはさらに高まる」(ユアサ商事高知尾敏之常務)とみる。こうした動きを好機ととらえ、エンジニアリング力を強化する商社も多いほか「ロボットやマテハンに注力する」(大喜産業森口博之社長)という。

さらに、新たな社会課題への対応も必要になっている。その一つがカーボンニュートラルだ。昨秋の政府のカーボンニュートラル宣言以降、自動車をはじめ多くのユーザー業界で取り組みが加速している。業界でも配送の効率化や環境に関する事業部を設置するなど、二酸化炭素削減に注力する商社が増えている。

脱炭素は環境面だけでなく、ビジネスでも不可欠な視点になっている。鳥羽洋行の鳥羽重良社長は「二酸化炭素削減の提案だと話を聞いてもらえた」とし、関連する提案を強化するという。

SDGsも脱炭素と同様に不可避の流れだ。「中小企業でもSDGsへの配慮が必要」(前田伝導機耕善一郎社長)という声が多く、事業活動をSDGsの枠組みで考える商社が増えている。企業は収益を上げるだけでなく、これまで以上に、社会的責任を果たす役割が重要になってきている。

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日本産機新聞 2021年7月20日

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