〜生産現場を訪ねて〜
ユキワ精工（新潟県小千谷市）
技術力向上、自社製設備競争力高い製品づくり

2018年9月5日

ドリルチャックや円テーブル、ツーリングシステムなどを手掛けるユキワ精工（新潟県小千谷市、0258・82・1800）は新潟県内に本社工場と貝之沢工場（長岡市）の2つの製造拠点を持つ。昨年7月に就任した酒巻弘和社長は「誇れる人財」「誇れる工場」「誇れる製品」の3つを基本指針に掲げ、作業者の技能向上や自社製設備や自動化などによって競争力の高い製品づくりを進めている。「今後も新潟でのものづくりにこだわり、ユーザーが喜ぶ製品をつくりたい」（酒巻社長）という同社の本社工場を取材した。

ユーザーが喜ぶ製品づくり

　 1946年に創業後、ドリルチャックの製造から始まり、コレットチャックや円テーブル、ツーリングシステムと製品を広げてきた。新潟県内に2つの製造拠点を持ち、本社工場でドリルチャックとコレットチャック、ツーリングシステム、貝之沢工場で円テーブルや割出台などを手掛けている。

同社の特長は生産に必要な多くの社内設備を内製していることだ。製品化した円テーブルやコレットチャックは、ドリルチャックを製造するために内製化したのが始まり。社内設備の設計・組立を手掛ける専門部隊を設けており、全自動加工機や組み立て検査ラインを構築するなど高い生産技術力が強みだ。最近では「マシニングセンタや研削盤などにロボットを取り付けた自動化設備も社内で手掛けている」（酒巻社長）という。

　酒巻社長が就任以来、積極的に取り組んでいるのが、「誇れる人財」「誇れる工場」「誇れる製品」の3つだ。「誇れる人財」では、従業員のレベルアップを図っている。「品質向上が大きな目的」（酒巻社長）と従業員には国家技能資格を取得させることで、技術レベルの底上げを目指す。合格者には報奨金を与えるなど積極的に推進し、現在2級以上の保有者は1級が15人、2級が50人。「全従業員が資格を保有するのが目標」（酒巻社長）。

また、「誇れる工場」では、自社製設備や自動化による低コスト化や効率化に加え、工場のショールーム化に取り組んでいる。「顧客から信頼を得るには綺麗な工場であることが重要。汚い工場で良い製品はできない」（酒巻社長）。5S活動（整理・整頓・清掃・清潔・躾）を徹底し、顧客に見せられる工場を目指している。

こうした人財と工場によって生み出されるのが「誇れる製品」だ。特にここ数年同社の製品の中でもユーザーからの評価が高いツーリングシステム「スーパーG1チャック」に力を入れる。総合振れ精度5μmという高い精度は限りなくゼロに近い公差を狙った作り込みと、独自の試験機で全数検査して出荷するという徹底した品質管理により実現している。

この振れ精度の高さによって加工中のビビりが抑えられ、工具寿命や加工面品位が向上する。ここ数年、高い性能が評価され、売上が増加。昨年は前年比25%増となり、今年はさらに上回る見通しだ。こうした需要増に対応するために、積極的な投資を行い、設備や人員を増強している。また、工場内にはマシニングセンタを3台設置。「スーパーG1チャック」を使ったデモ加工や試験加工が可能で、「実際に効果や性能を体感してもらいたい」（酒巻社長）。

　「まずはこの3つの基本指針を全従業員に浸透させて、会社全体で取り組むことが何よりも重要だ。その先に会社としてのさらなる成長があると考えている」（酒巻社長）。今後も「メイド・イン・新潟」にこだわり、ユーザーが喜ぶ製品を作り続けていく。