2026年7月3日(金)

【特集】原口機工 大橋 正彦社長に聞く 事業承継に向け課題とすべきこと

機械工具販売店の事業承継で、血縁のない後継者に引き継ぐケースは多くない。原口機工の大橋正彦社長は、牛田幸吉会長の学生時代の親友の長男。実子のいない牛田会長(当時社長)からオファーを受けて入社し、2019年社長に就任した。同族ではないがゆえに心掛けてきたこと、将来目指す目標は。大橋社長に聞いた。

不易流行、100年企業に

おおはし・まさひこ
1983年生まれ、大阪市出身。2005年京都産業大学卒、高圧ガス工業入社。10年父の学友・牛田幸吉社長(現会長)にオファーを受け、11年原口機工に。13年営業課長、15年常務、19年に社長に就任。「100年企業」を目指す。

目標へ急いではいけない

牛田会長からオファーを受けたのは27歳の時。私は当時、ガスや関連機器を手掛ける高圧ガス工業に勤めていました。広島の営業拠点に赴任し尊敬する上司に刺激を受けました。仕事が面白く、いつか役員、トップになりたいと思っていました。

順風満帆。しかしお誘いを受けたのは「ハイリスクだがハイリターン。会社のトップとしてそのかじ取りができる」ことでした。何事においても1番を目指したい。それが現実になる。半年思案し新たな道を選びました。

入社からこれまで心掛けてきたのは、何事も我慢し、そしてガムシャラに取り組むこと。血縁ではないがゆえに甘えがあってはいけないと仕事に向き合ってきました。

私は機械工具の営業をするのは初めて。それでも立てた目標から逆算しするべきことを考え、知恵を絞り、粘り強く、注文を増やしました。そうして日々取り組む中で少しずつ取引先から信頼されるようになりました。

3年目に営業課長、5年目に常務となりましたが、現場での営業は続けました。お客様のニーズ、営業の最前線での取り組み、仕入先との信頼関係。それを常に肌で感じられることが、トップとして事業の采配を振る立場になってとても役立っていると感じています。

私は3代目。初代が会社を創り、2代目がその事業を発展させる。そして3代目は初代と2代目が築いたものを受け継ぎ、変えるべきものを変え、事業を続けていくことが役割だと感じています。

変えるべきこと。それは時流に応じて最適なものを選ぶこと。業務の効率化やDX、働き方改革。機械工具販売店を取り巻く環境は大きく変化しています。その中でより良い仕組み、制度、ツール、考え方を取り入れていく。既成概念にとらわれず柔軟に変えていくべきです。

一方変えてはいけないこと。それは創業から73年で築いてきたお得意先や仕入れ先との信頼関係。お得意先や仕入れ先のお役に立ち、社員に喜ばれ、社会に貢献するために誠実、謙虚に仕事に励むこと。それはこれから先も変えてはいけない。

将来目指すのが100年企業。会社に魅力がなければ100年も続かない。逆に100年続くのは魅力があるから。そのためにお得意先や仕入れ先により信頼され、時代の変化に対応していく。そして販売店の魅力の最大の源である人の力を高めていきたい。

ただ、社長に就任してこの約2年半で感じるのは「急がないこと」。将来の目標とそのためのメソッドはイメージできている。しかし突然それに向かおうとしても会社はそちらに向かわない。この2年半、理想になかなか近づかず、頭を打ちました。ですから、焦らず、実現へとじっくり取り組んでいきたい。

日本産機新聞 2022年8月5日

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