2022年12月6日(火)

【特集】事業承継に向けて課題とすべきこと 都機工 長橋 初社長に聞く

都機工(千葉県松戸市、047・348・8112)は1966年に長橋護会長が創業した機械工具商社。2011年に長男である長橋初社長に承継し、この約10年間で売上高を2倍近くまで伸ばした。現在は国内に6拠点を構え、千葉を中心に茨城、埼玉、東京で営業展開を進める。成長を続ける同社はどのように事業承継を成功させたのか。長橋社長に聞いた。

支店立ち上げが大きな自信に

ながはし・はじめ
1970年生まれ、東京都出身。大学卒業後、日伝に入社し、直需と卸の営業に3年間従事。アメリカ留学を経て、99年都機工に入社。京葉支店の立ち上げなどに携わり、2007年事業部長、11年社長に就任し、現在に至る。

コミュニケーションを重視

11年、現会長の父から会社を引き継ぎ、社長に就任しました。40歳の時です。

幼い頃から父に「後を継げ」と言われていましたが、学生時代まで本気で考えたことはありませんでした。それが変わったのは、ある家族会議です。テーマは「社屋と自宅のどちらを新築するか」。その話し合いでは、自分たちが今あるのは社員の方々のおかげで、家族の新居よりも会社を新築した方が全社員も喜ぶという内容でした。その後、自分の意識は明らかに変化していきました。

伝導機商社での勤務やアメリカ留学などを経て、当社に入社したのは29歳の時です。入ってすぐ感じたのは、「良い会社だな」ということ。社内に一体感があって、皆が生き生きと働いている。この会社をさらに成長させなくてはならないと強い使命感を覚えました。

入社後は一般社員として勤務していたのですが、33歳の時に父から支店の立ち上げを任されたことが大きな転機となりました。出店する場所の検討から始め、自らで市場調査を行い、最終的に現在の京葉支店(千葉県習志野市)を設立しました。

顧客が1件もないところからのスタートでしたので、毎日飛び込みで営業し、新規開拓に駆け回りました。苦労も多く大変でしたが、ここでの経験が今に生きています。顧客を作ること、採用、組織運営など、経営に必要な多くの要素を学ぶことができました。初年度から黒字化でき、この成功は自信にも社員からの信頼にも繋がりました。

その後、私が35歳の時に父が全社員会議で「5年後に社長交代する」と宣言します。自分も周囲も驚きましたが、それによって交代に向けての覚悟と準備ができました。

会社を継ぐに当たって考えたのは、私には創業者である父のようなカリスマ性はありませんので、皆の知恵を借り全社員の協力を得ながら、総合力で戦う会社づくりを目指すことでした。

そのために組織体系や教育方法などを見直し、一人ひとりが自発的に考え、主役になれるような仕組みを作りました。その一つがグループ長制です。若手社員にもより多くの責任と権限ある仕事を経験させ、経営者意識を持った社員を育成することに繋がりました。

また、社員とのコミュニケーションも大事にしました。誕生会などの社員との交流や面談システムの構築、人間力を高める勉強会など、社員のエンゲージメントを高められるように努めています。

今後についてはまだこれからですが、少なくとも継ぎたいと思える会社にしたいと考えています。そのためには会社も社員も成長し続けることが必要ですし、働き甲斐があり自ら誇れる会社でないといけません。そうした会社を皆で作り上げ、次代に繋げていきたいです。

日本産機新聞 2022年8月10日

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