2025年2月14日(金)

事業の再構築進む
半導体、医療、EVに参入増

投資や需要先に変化

新分野の開拓や業容転換など事業再構築を進めるユーザーが増えている。「事業再構築補助金」の採択企業をみると、成長が続く半導体製造装置、小ロットの製品が多い医療機器、そして自動車の電動化に関連する分野への参入組が目立つ。事業再構築に伴う動きは、単なる設備投資の増加だけでなく、「機械の需要先や投資の中身も変化している」(ある機械商社)という。さらに、カーボンニュートラル(CN)への対応で省エネ投資も加速するなど、投資内容や投資先が変化しつつある。

昨年新設したロボコム・アンド・エフエイコムの南相馬工場

20年度の補正予算で1兆1485億円が計上された「事業再構築補助金」。すでに4回目の公募を終え、約3万5000件が採択され、そのうち、製造業は2~3割を占めている。

では、どんな分野に参入しようとしているのか。多かった一つが半導体製造装置分野だ。約550社が同分野への事業転換を掲げている。半導体製造装置は右肩上がりの成長分野。10年前に1兆規模だった市場が、22年度には3兆円を超える見込みで、数年後には4兆円を視野に入れている。

医療機器関連も多く、採択企業は約500社に上る。同分野も成長が続く。国内の医療機器市場は19年度には4兆円近くまで拡大した。少量生産の部品が多いことから、中小企業での参入が多いのも特徴だ。

電動化やCASEなど次世代自動車に関連する企業も多い。民生品がメインだった部品メーカーは昨年、電池関連の部品を受注した。成長が確実視されている分野で、25年までに数十億円を投資することが決定しているという。

こうした事業再構築の動きに対し、ある商社幹部は「設備投資の増加につながるだけでなく、設備先や設備内容が変化している」と指摘する。

半導体製造装置部品に参入するプレス部品メーカーは補助金を使い、大型のサーボプレスを導入した。「メインだった自動車部品向けのプレス機では、対応できなかったからだ」という。ある金型メーカーでは補助金を活用し、特殊なレーザー加工機を導入するという。「新たな部品や加工の受託を狙いたい」と話す。

事業再構築に加え、CNに対応する省エネ投資も加速しつつある。ある自動車部品メーカーでは「CN対策に投資を積み増す。様々な提案を期待したい」という。事業再構築やCNなどの大きな変化によって起きる、需要先や投資の変化もおさえておきたい。

事業再構築補助金は21年度の補正予算でも6123億円が計上された。3月末から6回目の公募が開始される見込みで、22年度は3回の公募を予定している。申請要件の緩和や、政府が指定する「グリーン成長戦略」の14分野に課題解決につながる「グリーン成長枠」も新たに設けられる。

日本産機新聞 2022年3月20日

[ ニュース ][ 日本産機新聞 ][ 機械工具業界の出来事 ] カテゴリの関連記事

菱和 ECサイト武器に強みを磨く

研磨材のドクターに 研磨材専門商社の菱和(大阪市西区、06・6538・0271)は昨年6月、ECサイト「R-GEAR」を立ち上げ、販売店の利便性向上と業務効率の改善を加速させている。同サイトは研磨材関連に特化しているのが […]

カワタテック 外段取りで自動化促進【特集:工程短縮】

パレットチャンジャ「SP4770G」 変種変量生産にも対応 25年以上前からファナック製ロボドリルに対応するパレットチェンジャを2機種(SP3970G・SP3950G)揃え、国内外で2000台の納入実績を持つ。 今回、新 […]

オーエスジー 切削だけで樹脂鏡面仕上げ【特集:工程短縮】

「ディスクカッタ+単結晶ダイヤモンド」 バフ研磨不要で大幅時間短縮 オーエスジーはディスクカッタ「PFDC」に単結晶ダイヤモンドインサート「DM001」を追加、11月20日から販売開始した。 切削加工だけでアルミニウム合 […]

トピックス

関連サイト