2022年11月26日(土)

愚直に、しなやかに

                                                揮毫は田村 博之氏(ユアサ商事社長)

新たなスタートの1年に

フルCGで開かれたDMG森精機のオンライン展示会
ユアサ商事が主催する展示会でパソコンで出展企業と商談する来場者
協働型双腕ロボットを使って、測定工程を自動化
門形MC+知能化技術で自動車金型の面品位向上を実現

 昨年は、米中貿易摩擦の影響を受けて経済が下降局面に入ってまもなく、新型コロナウイルスの感染が拡大。結果、コロナ禍に翻弄される1年になった。世界中で非常事態宣言が発せられ、国際的に移動ができなくなるなど、世界の経済が冷え込み、リーマンショック以来の環境悪化となった。これまでに経験したことがない事態の中で、経営のかじ取りをされたことと思う。

 ウィズコロナ社会の在り方を模索するようになり、ワクチン開発のめどが立ってくると、アフターコロナ社会の在り方も考えるようになってきた。

 働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されていた中の突然のコロナ禍により、これらが一層加速された形だ。5Gのサービスが開始され、今年は各所で本格化するだろう。AIの活用も確実に製造現場に拡がりつつある。

 働き方改革やデジタル化、事業構造の変革、さらにはサプライチェーンの多様化など、コロナ禍によって、将来必要だが、まだ少し先のものとして手を付けずに検討段階にあったことに急いで取り組まなければならなくなった企業も多いのではないだろうか。ニューノーマル(新常態)を模索した1年といえるだろう。企業のしなやかさが試された1年だったのかもしれない。

 一方、コロナ禍により移動や面談が制限されると、デジタル化による効率化を再認識すると同時に、人と人の対面によるリアルな世界の重要性も再確認できたとも考えている。ちょっとした機微や体感、例えば加工時の音や振動、温度変化、仕上がり面などは、やはりリアルでないと確認できない。製造現場における課題も人がいろいろな角度から現物を見て専門家を交えて検討しないと解決できない。ニューノーマルとは、リアルとデジタルの融合なのだろう。

 今年の前半は、まだまだ新型コロナウイルス感染症の影響が継続するものの、後半には新型コロナウイルス感染症への対策も世界レベルで実行され、経済再生への動きが強まっていくと期待している。

 米国のバイデン新大統領が就任すれば、温暖化ガス削減に大きく舵を切ると予想される。日本でも2030年代半ばにガソリン車販売禁止を目指すように、脱炭素化が加速度的に進むのではないだろうか。SDGsの考え方も浸透が加速すると思われる。そして5G、自動化、見える化、リモート、熟練技能者の減少…。産業界は様々な課題に直面している。

 リモートワークやWEBセミナー・展示会の広がり、脱炭素化は半導体関連の需要拡大に繋がり、非対面ニーズの高まりや熟練技能者の減少は自動化関連需要の拡大に繋がっている。5G技術はあらゆる場面で活用されるだろう。

 コロナウイルス対策を講じつつも、機械工具商にとってはまさにビジネスチャンス!

 すでに動き出している企業が多い。多くの課題を解決する商材を見つけ、用意し、提案する。企業の根幹となるような変えるべきではないところは愚直に取り組む。それが信頼を得る。そして状況に応じて変えるべきは変える。あるいは組織的な事も含めて変革する。

 大木は、嵐の中でもどっしり根を張り、堂々としている。一方、細い竹はしなやかに風に反応し、折れることなく、着実に成長を続ける。しかも地下茎を縦横無尽に張り巡らせ、春になるととんでもなく離れたところにタケノコが頭をだし、あっという間に竹に成長してみせる。地味でも不変部分をしっかりと守り、変化にしなやかに対応すれば、新しい芽は必ず出てくる。

 愚直に、そしてしなやかに。新たなスタートの1年にしたいものだ。

日本産機新聞 2021年1月5日

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