2024年6月22日(土)

【新春販売店座談会】第2部 魅力ある業界にするため必要なこと①

 若手経営者4人にお集まり頂いた新春座談会の2回目は、近年よく言われる「コト売り」について議論をして頂いた。機械工具販売店のコト売りの代表例として、展示会や、IoT関連の提案、人や仕事のマッチングなどが挙げられた。しかし、それを収益化する本当の意味での「コト売り」までつなげることが重要との指摘も出た。最後の議論のテーマは「魅力ある業界にしていくために必要なこと」。今後何十年も業界で活躍される若手経営者だからこそ、市場を拡げる努力や、緊密なコミュニケーション、人事評価など多様な視点からの業界の活性化策が出された。

コト提案でなくコト売りを

司会 お客様が何をアウトプットとして求めているのかまで理解し、提案することが必要ということでしょうか。

淵本 そうですね。お客様もリソースが限られている中で、我々がそういう機能を請け負っていくというスタンスは絶対必要ですよね。どこまで踏み込むかで、企業の在り方はガラッと変わってくるのではないかと思います。

市場広げる努力必要

司会 生産技術代行と言いますか、そこまで機械工具商が請け負えるような体制になっていくのでしょうか。

藤生 お客様に求められたら、期待には応えたいじゃないですか。ただ、それを極めるとお客様の効率が上がる半面、私達の工数も上がってしまうと思います。しかし、付加価値のある物件を掴むためには、営業効率は落ちるかもしれませんが、そこに踏み込むことで自社の利益が上がるように動くことは大切だと感じます。もちろんバランスは重要ですが。

淵本 利益とのバランスですね。突っ込みすぎると大変だと思います。そのあたりは少し冷静に計算しなければいけません。特にロボットは大変なことが多いと思うので、発生するリスクもすべて踏まえて、どこまで踏み込むかについては見極める必要があると思います。

司会 貢献と収益の両立は普遍的な課題かもしれないですね。比例していけばいいのですが。

藤生 お客様も人がたくさんいて右肩上がりの時代なら、そういう課題は少なかったと思うんです。今の時代ならではの選択と提案が必要ですね。

司会 話は変わりますが、冒頭で井口社長も話されていましたが、「モノ売りからコト売りへ」が、キーワードのように言われています。コト売りをどう考えていますか。

淵本 極端なことを言うと、コト売りの理想はコンサルティング業ですね。年間契約で毎月何十万かの費用を頂く感じです。「人一人を生産技術代行として張り付けるから、その代わりに毎月契約させてください」といった具合で。難しいですが、本来は目指すべき姿なのかもしれません。

司会 そうなると、結果に対するリスクも発生しますね。

淵本 そうですが、それぐらいのことをしている場合もあるわけです。ロボット販売はリスクを負いますし、本来はそれに見合った請求をしてもいいと思いますし、我々の仕事は本来もっと価値が高い仕事だと思うんです。収益性が高くてもいいビジネスのはずなのに、どうしても、業態上、薄利の商売を余儀なくされているのが現状ですよね。

定性的評価をどうするか

藤生 私はコト売りというのは、付加価値を高め、利益性の改善に繋がったり、今まで注文が来ていなかったような、新しい分野の注文が来るようになったりするためのアプローチだと思います。それをしなければ、面白みのない商売になってしまう気がします。これだけ頑張ったのに利益が出なかったと嘆くより、お客様に喜んでもらって、自分も頑張って、これだけの利益につながったという形にしていかないといけないと思います。お客様にその価値をわかってもらう努力も必要だと感じました。なかなか認められづらいですが、諦めてはだめなのかなと思いました。

司会 価値を伝えるという意味では、新たな分野は顧客も未知なので利益も確保しやすいように思うのですが。

淵本 そうですね。お客様が未知の領域であればあるほど、付加価値が高まると思います。ただ我々はお客様の未知の分野などを紹介する「コト提案」はできていても、提案を「売り」=「価値」につなげられていない。まさにそこだと思います。その価値を我々が表現できていないのか、お客様が天秤にかけているのかは分かりませんが。

司会 根岸社長はコト売りについてどうお考えですか。

根岸 これまでしてきたことが、全くのモノ売りだけだったわけではないと思うんです。デモなどの色んな体験や効果を実際に見せることで、販売していたわけですから、コトを提供していた部分もあります。とはいえ、淵本社長が言われたように、提案で留まってる側面もあると思います。なので、当社では4年前から自社展を開催するようにしました。商社と協力しながら、常にユーザーが求める『旬』なものを集めるようにしているほか、実際に触ってもらったり、体験してもらったりすることで、コト売りにつなげていくようにしています。

司会 なるほど。確かに「コト提案」はできていても、「コト売り」は出来ていないのかもしれないですね。最近ではIoTの活用提案などがそれにあたると思うのですが、どうでしょうか。

井口 積極的に取り組めているとはいまだ言えないですが、そうだと思います。最近感じるのですが、意外とお客様もなんとなく分かっているけど手が付けられてないんですね。お客様も未知の世界なので、今後ビジネスチャンスがあると思います。ソフトウェアもパッケージ基本にありますが、お客様が保有する機会の内容や、やりたいことによってはカタログだけで勝負できない部分もあるので、ソフトやIoTはチャンスがあるのかなと思います。

根岸 IoTは商機になりそうですが、社外はもちろん、社内でも個々の理解の温度差があるのが課題でしょうか。言葉は理解していても、工場内でどんな設備につながっていくのか、理解の温度差がある。社外についても、お客さんも上司から「何かやれ」と言われているものの、どうしていいのか分からないということが多いのだと思います。じゃあ、それにつながる機器や問題点を提示できるのか、効率化があるのか。頭の中でつなげられるようにならないと、相談を受けても意味が無い。稼働監視や予兆保全などをキーワードとしながら、どういうメーカーや製品があって、お客様の課題に合うものを見つけることができるのか。それにはもっと勉強が必要ですね。

司会 その教育はどうしていますか。

根岸 卸商社にサポートして頂くなどして、月に2、3回勉強会を開いています。あらゆることを一気に学ぶのは難しいので、シリーズでテーマを絞って取り組んでいます。理解していくことから始めていく。お客様との日常の会話の中で、IoTやロボットなどそうしたキーワードは飛び交っているので、まずはそのワードを、各自がどうつなげていけるかが重要だと思っています。

続きは2月3日更新

日本産機新聞 2020年1月20日

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