2026年10月16日(金)

新ジャンルに挑戦

キーワード(ヒント)に恵まれた年

 産業界は、様々なキーワードを増殖している。自動化、IoT、AI、5G、ロボット、自動車業界のCASE、キャッシュレス、シェアリング、IR、働き方改革、SDGs、そして、人手不足、2025年問題などなど。パッと思いつくだけでも両手で足りない。まさに製造現場や生活様式が変わろうとしている。それは、事業環境が変わることに他ならない。

スチールをロボットで加工

 変化の根底にある要因の一つ、人手不足に自動化やロボットが注目されている。人口減少により人手を確保することが難しい、団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題に象徴されるように熟練者が実戦から離れていく、働き方改革関連法の施行…等に対応するため製造業も商社も、あらゆる企業は省人と1日24時間を如何に有効に使うかを考えている。

エンジン部品の測定もロボットで自動化

 製造業において、自動化やロボットの活用は、その手段のひとつ。日頃の消耗品で深い関係にある機械工具商は、生産技術部門を持たない中小製造業の自動化・ロボット導入をサポートできる立場にいる。人材がいないと言う前に、どうすればできるか、SIerとうまくチームを組めるか、或いは人材を育成できるかを考えたい。

スマートグラスで機械の稼働状況を把握

 IoTやAIは、生産現場の工数を削減すると共に、機械停止時間の最小限化や品質の安定化などに貢献するだろう。超高速・大容量の通信を可能にする5Gは、機械の遠隔操作・制御や複雑作業の自動化を実現できる。上手な活用方法と併せて中小製造業とのビジネスに繋げられるのではないか。

異種材の金属積層で金型の寿命を3倍に

 自動車業界のCASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)やMaas(Mobility as a Service)は、新たな移動システム構築を示唆している。電動化については、国内では当面はHVが主役となりそうだ。FCV・EVへの移行を見据えたビジネスプランが必要だ。一方で自動運転は、5Gの普及と共に実用化が近づいている。これらはコネクタほかの電子部品、高効率モータや電池などの需要増に繋がり金型や部品加工に波及する。

工具の振動をセンサーで検知して見える化

 また、キャッシュレスの普及は、情報リスクが高いものの、若い人たちを中心に広まりを見せている。カードやICチップ、認識装置などの製造への好影響が期待される。

 IR(統合型リゾート)は、カジノばかりが取り沙汰されるが、ホテルや劇場・展示場、ショッピングモールなどが集まった巨大な複合施設であり、建設はもちろん、多様な需要が望める。この芽を摘むことはない。

 そして、SDGs(持続可能な開発目標)。2015年の国連サミットで採択され、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間に達成する目標を掲げた。17の大きな目標と、それを達成するための169のターゲットから構成されている。事業を通じてSDGsに貢献し、企業価値を向上しようという考え方が増えるだろう。中でも、エネルギー問題や環境問題は、機械工具業界が大いに貢献できる分野だ。

 足下の受注環境を見ると、工作機械受注額は、前年を30~40%下回り、切削工具の生産額は前年比5~10%減といったところだが、測定機器は自動化ニーズ等を背景に堅調に推移し、一部半導体業界に回復の兆しが見えはじめ、中国市場の底打ち感、欧米との貿易協定などもあり、市場に明るさが戻る気配が感じられるようになった。

 前述の勝手な予測は、読者の皆さんもとっくにご承知だと思う。いつの時代も真剣に考えると難しくなる。だが、受注が落ち着いている今だからこそ、産業構造の大きな変化を前提に、狙うキーワードを決めて果敢にチャレンジする時ではないだろうか。人材を見つけることができなければ育てるしかない。新しいアイデアを絞り出すことは人間の得意技であり、強みだ。こんなに多くのキーワード(ヒント)に恵まれるのは、またとないチャンスである。得意分野にさらに磨きをかけつつ、社員全員「One Team」で新たな挑戦に取り組む年にしたい。

日本産機新聞 2019年1月5日

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