2019年12月6日(金)

卸商社 投資を加速
M&A IT 物流 拠点

 卸商社が成長に向けて、投資を増やしている。山善は5年間でM&A(合併・買収)や事業承継支援、物流整備などに600億円の投資枠を設定。ユアサ商事は純利益の3分の1をIT投資などに振り向けている。トラスコ中山は2019年に、物流などに200億円超を投資する計画だ。日伝は年300回以上展示会を開くなどユーザーと接点拡大に投資し、Cominixは22年までに、国内外合わせて20拠点の開設を目指す。投資を加速させることで、機能強化を図り、持続的な成長につなげる。

機能強化で持続的成長

 山善は21年度を最終年度とする新中期経営計画で、5年間で総額600億円の投資枠を設けると発表した。基幹システム刷新の初期費用として100億円、物流整備などに300億円を充てる。成長分野を取り込むために、戦略的M&Aなど事業投資枠として200億円の枠を設定。特徴的なのは、そのうち中小企業の事業承継の支援に100億円充てること。販売店の後継者育成・社内体制の整備、事業資産の承継などを支援する。

 ユアサ商事は2年前から、当期純利益の3分の1を投資に回している。すでに、昨年開始した情報発信プラットフォーム「GrowingNavi」や、社内インフラに投資してきた。田村博之社長は「今後も成長に向け、積極的にM&Aや、新規事業開発に投資していく」と話している。

 トラスコ中山は無借金経営を続けてきたが、17年に100億円の銀行借り入れを行い、投資を加速。17年は144億円、18年には171億円を物流などに投資した。今年は約200億円を計画し、ユーザー直送体制の仕組みづくりを急いでいる。

 日伝は西部物流センター新築に向け土地を購入したほか、独自の研修プログラムを開発し、人への投資を増やしている。展示会への投資強化もトレンドだ。日伝はユーザーとの接点を増やし、販売店と共に提案を強化するため、昨年は自社展や外部の展示会も含め、年300回以上開催。ジーネットやNaITOも機械加工の周辺や計測、環境など成長分野を取り込むため、展示会を積極的に開いている。

 Cominixは投資額を明らかにしていないが、拠点を一気に増やす。22年の売上高目標345億円達成に向け、国・内外で各10か所に拠点を設置する。22年3月末までの計画だが、柳川重昌社長は「できるだけ早く達成したい」と話す。また、昨年モンゴルに拠点を設け、レアメタルの調達を始めるなど、新規事業を立ち上げている。

 卸商各社が投資を増やしているのは、外部環境の変化も背景にある。労働人口の減少で、自動化や省力化は不可欠だが、エンジニアリング機能が欠かせない。ネット通販の増加で物流問題が深刻化し、効率的な物流機能の確立が必要になっている。働き方改革で、営業効率の向上も不可避だ。こうした課題に対し、投資を積み増すことで、機能を強化し、持続的な成長につなげる。

日本産機新聞 2019年6月20日

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