2025年3月31日(月)

SIer団体が発足 ロボの活用を促進

 ロボットや自動化のシステムを構築するシステムインテグレータ(SIer)の団体「FA・ロボットシステムインテグレータ協会」が7月13日、正式に発足した。会長には静岡県の三明機工の久保田和雄社長が就き、SIer会員123社、電機メーカーなど協力会員21社の計144社でスタートした。協会内に設置する分科会活動を通じ、全国的なネットワークの構築やSIerの経営基盤の強化、専門性の高度化などを図り、ロボットの利活用や市場拡大につなげる。

機械工具商社も参加

ロボット産業を盛り上げたいという新会長に就いた久保田氏

 日本ロボット工業会(橋本康彦会長・川崎重工業常務執行役員)によると、2018年の受注額は前年比16.4%増の1兆1000億円を見込むなど、右肩上がりでの成長が続いている。一方で、システムを構築するSIerの不足がロボット拡大の課題ともいわれてきた。政府はSI人材を20年に16年に比べ、約2倍となる3万人に増やす目標を掲げており、18年には2万6000人まで増加している。

 こうした状況を受け、日本ロボット工業会などが昨年11月からSIerを中心とした団体設立に向け、準備を進めていた。

 設立した「FA・ロボットシステムインテグレータ協会」は日本ロボット工業会の内部に置くが、予算の独立性と一定の裁量を確保した。会長には三明機工(静岡市清水区)の久保田和雄社長が就任し、副会長にはバイナス(愛知県稲沢市)の渡辺亙社長が就いた。

 会員企業はSIer会員123社、電機メーカーなどの協力会員21社の144社でスタートするが「年内に200社を超えるのではないか」(久保田会長)というほどで、継続して参加企業を募っている。機械工具業界からも、SIer会員として山善やダイドーなどが参加。協力会員はSI事業に協力する企業で構成するため、機械工具業界からも参画できる。

 協会の中心となるのが、分科会活動だ。企画・運営、広報、経営基盤強化、地域連携、技術調査・標準化、人事育成、IoT・AIなど7つの分科会を設置。これらの分科会の活動を通じ、SIerを中心としたFA・ロボット業界のネットワークの構築、SIerの事業基盤の強化、システムインテグレーションに対する専門性の高度化につなげる。また、今年度中に中長期ビジョンも策定する予定で、業界団体としての方向性を示す。

 久保田会長は「少子高齢化が進む中、自動化やロボットの活用は喫緊の課題。こうした課題を解決し、ものづくりの競争力を維持するには、SIerが一致団結することが必要だ。競争はするが、協調できるところは協調し、ものづくりに加え、食品やサービスなどにも広げ、日本のロボット産業を盛り上げたい」としている。

日本産機新聞 平成30年(2018年)7月20日号

[ ニュース ][ 日本産機新聞 ][ 機械工具業界の出来事 ] カテゴリの関連記事

タナカ善 新本社でリクルート強化 【京都特集】

デジタル人材の開発へ 『工作機械から切削工具までのトータルアドバイザー』として高い専門性を活かした営業活動を展開するタナカ善(京都市伏見区)は2020年に本社を移転。働きやすい環境を整えつつ、工作機械や切削工具のテスト加 […]

三光機工 成果主義と現場裁量のバランス【京都特集】

顧客の役に立つ営業を 軸受・伝導機器から油空圧・制御・計測機器、省力機器までモノづくりに必要な機器を販売する三光機工(京都市南区)は2022年、手狭になりつつあった本社を移転。伸び伸びとした環境下で成果主義と現場裁量のバ […]

三共精機 柔軟な空間が生み出す創造性【京都特集】

グローバル視点で未来を拓く 三共精機(京都市南区)は多様性を尊重し、働きやすく人が集まる環境づくりを進めることで、創造性あふれる経営を目指している。 その一例が、社内レイアウトの刷新。オフィスにはバーカウンタ—を併設し、 […]

トピックス

関連サイト