2026年10月17日(土)

〜生産現場を訪ねて〜
冨士精密(大阪府豊中市)
1秒に7.1個生産 愛される高品質の秘密

 バイクなど二輪車や四輪車、造船、建機、産業機械、プラント、土木・建築、ロボットなど様々なジャンルの締結部品として使用されている冨士精密の「U-ナット」。年月や振動などの使用環境で「ゆるむことは仕方がない」といわれたボルトナットを、1962年に業界で初めて「メタルリングゆるみ止め機能」を導入したU-ナットを開発し、ボルトナット業界に変革を起こした。それから約半世紀、顧客ニーズに応じたサイズや形状、耐久性や耐振動性など性能向上に努め、年間2億4000万個生産し、世界23か国で使われている。その理由は「日本一の品質基準を世界の品質基準へ」をテーマに高品質を追求する製造現場が支えていた。

世界の品質基準へ

和田眞孝社長
和田眞孝社長

業界初のゆるみ止め機能

 U-ナットはナット上面にフリクションリング(特殊バネ)をカシメ加工で一体成型した「メタルリングゆるみ止め機能」が特長。通常のナットは振動などでゆるみが生じてくるが、U-ナットは締付けていくと、フリクションリングがボルトねじ山に沿ってたわみ始める。フリクションリングの弾性により生じる摩擦トルク(プリベリングトルク)が働くことでボルトナットのゆるみ止め作用になる構造だ。このゆるまない機能は二輪や四輪、造船、建機、産業機械、プラント、土木・建築、ロボットなど20ジャンル以上という幅広い産業で愛用され、商品点数はU-ナットとファイン U-ナット(産業機械などで使用)併せて1780アイテムを数える。

年産2億4000万個

U-ナット
U-ナット
 U-ナットを製造するのは同社製造会社のファインテックス(兵庫県尼崎市)。主に8㎜、10㎜、12㎜サイズをプレス機などで量産体制を確立。14㎜以上のサイズはNC工作機械を使った切削加工が中心。製造工程は4工程で、線材(SS400、SUS304)を冷間圧造機に投入し、5種類の金型を使って成形し、ナットの元形状を作る。次にネジ切り工程で、タッピングマシンで加工。ナットがパーツフィーダーで次々と機械に投入されタップ加工されていく。この2工程で製品には油が付着しているため、3工程目は洗浄と乾燥を行う。最終工程は自社製プレス機(4台)とカシメ金型を使用し、上から練り込むようなイメージでナットにフリクションリングをカシメると、U-ナットが完成する。同工場の山本茂晴部長は「しっかりカシメているかが良否を分ける。その寸法公差は企業秘密」と笑顔。生産拠点は同工場含む国内2拠点と海外2拠点。U-ナットは年間2億4000万個生産されている。これは、1秒間に7.1個作られている計算だ。

製造風景
製造風景

日本一の品質を世界へ

 現場で最もこだわるのは品質だ。現場では1時間ごとに各工程で計測など検査が行われているほか、完成後に最終検査を行う。これは目視による全数検査だ。外観にキズがないか1つ1つを作業者が確認する。山本部長は「大量生産では、どこで問題が起きるか分からない。だからこそ、キズや異形などがないか確認することが重要」と言う。さらに、冨士精密でも出荷前検査を行い、ダブルチェック、トリプルチェックと徹底した検査で安全な良品が出荷されている。

ファインテックス工場
ファインテックス工場

 今後の見通しについて同社の和田眞孝社長は「国内は土木・建築など2020年以後の案件が入り始めている。一方、主力のバイクなど2輪関係は海外展開が加速。インドネシアやインド、ブラジルなど、当社もグローバル戦略を進めていく。そのためには商品の品質と安全性をキーワードに、日本一の品質基準を世界の品質基準にしていくことが次の目標」と語った。

日本産機新聞 平成30年(2018年)4月5日号

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