2021年10月21日(木)

4つのテーマで振り返る
メカトロテックジャパン2017総集編

各社の多彩な最新技術

 少子高齢化による労働力不足の解消や、生産性向上の追求など、高度化する製造業の課題に対し、生産財メーカーは多彩な最新技術で解決策を示している。近年ではIT技術の進化に伴い、設備の稼働状況などを見える化し、収集したデータをネットワークでつなげることで、効率的な設備や工場の運用につなげる動きも加速。さらに、ロボットを活用した自動化や、付加価値の高い精密加工、高能率な加工などでユーザーの競争力強化を支援している。10月18日から名古屋で開かれ、9万人超が来場したメカトロテックジャパン2017では、こうした製造業の課題の解決策や、生産性向上に関する手法が数多く紹介された。本紙では、同展を「自動化・工程集約」、「見える化」、「高能率加工」、「微細精密加工」の4つのテーマを中心に取材した。

自動化・工程集約

ロボット活用が顕著
労働力不足解消へ

MECT 自動化・工程集約

 労働力不足の解消が喫緊の課題となっていることから、ロボットやITを活用した自動化提案がひときわ目立った。工程短縮や集約に関する出展が多かったのも特徴的だ。

 なかでもロボットによる自動化が顕著だったのが計測分野。ミツトヨはインライン計測機などに多関節ロボットを組み合わせて展示したほか、ロボットに表面粗さ計を取付けた計測を披露した。東京精密も三次元測定機「Duramax」と多関節ロボットを組み合わせ、自動化を提案した。カールツァイスはロボットによる車体計測を実演。「CZ-AI」センサを取付けたシステムでは、±0.1㎜の繰り返し精度で寸法や穴径を検査できるという。

 工作機械でも自動化提案は目立つ。岡本工作機械製作所は自動研削システム「MUJIN」を搭載した平面研削盤にロボットと洗浄システムをあわせて展示。研削、洗浄、ワーク外しまでの完全自動化を提案した。丸栄機械製作所はロボットを取り付けた円筒研削盤2台を展示し、ワーク搬送や段取りの自動化を訴えた。

 複合機や5軸機による工程集約をPRする機械メーカーも多い。OKKは5軸立形マシニングセンタ2機種を出品。ギアなど航空機部品のワークを展示、段取り替えが減らせるなど、工程集約の利点を強調した。三井ハイテックも5軸制御の平面研削盤を出品。円錐形などの金型部品をワンチャッキングで±1μmの精度で加工できるという。

 熟練技能者を中心に人手不足に対応する展示が増えたのも特徴的で、バリ取りや磨きでも自動化が進んだのもその流れだ。ジーベックテクノロジーやNaITOでは多関節ロボットを使って自動化を提案。ヤマシタワークス、柳瀬でもそれぞれの装置や機器をロボットと組み合わせ、磨きやバリ取りの自動化を紹介した。

 三和製作所は、ハイスのスローアウェイチップを展示。ハイスバイトの刃を研げる技術者が減っていることから注目を集めた。

見える化

生産性など向上に寄与
センサ・システムが進歩

MECT 見える化

 モノの「見える化」が進んでいる。各種センサや独自システムを用いて設備稼働状況や工具・機器の様々な情報を可視化することで、従来発見できなかった課題を見つけ、生産性、品質、コストなどの向上につなげるほか、顧客へのトレーサビリティに役立つ。センサで可視化できる情報は、部品の摩耗、振動、主軸の負荷、潤滑剤の消耗などがあり、情報をグラフや表で可視化する。

 DMG森精機は1台の機械に60個のセンサで、スピンドルモータの負荷など様々な情報を可視化。碌々産業は機械主軸、スケール、鋳物にセンサを付け、機械の状態を見える化し、イグスはケーブル保護管にセンサを付け、メンテナンス時期を知らせる「スマートプラスチック」で機械停止を最小限に抑える。三菱電機はロボットに力覚センサを付け、穴位置を検知し、適正な位置修正を行うデモを披露。大昭和精機やZOLLER Japanはツールプリセッタで得た情報を登録し、取得ミス防止や段取り時間短縮に貢献する。

 情報を集約し可視化するシステムに力を入れるファナックは稼働監視アプリ「iPMA」などを紹介し、オークマも稼働実績・加工記録を見える化する「ConnectPlan」を披露したほか、ゼネテックは「GC遠隔稼働監視ソリューションシステム」を見せた。モニタリング機能では、日研工作所が円テーブルから温度や振動などの情報を取得する「CNCモニタリングシステム」(参考出品)を、マーポスはセンサで主軸負荷や工具摩耗を常時監視しモニタリングする「Artis」を提案。測定機メーカーの東京精密/カールツァイスは「PiWeb」、ミツトヨは「メジャーリンク」で測定データを一元管理できるネットワークを展示した。ブルーム-ノボテストは「AUTO COMP」を使って機上計測した結果の見える化を披露。そのほか、ロボットやSMCのエア機器をはじめ、周辺機器の見える化も進んでいる。

高能率加工

切削加工、高能率化進む
時短、コスト削減化

MECT 高能率加工

 リードタイム短縮やコストを削減するために、加工の高能率化は常に求められる。今展示でも、送りの大きい加工が可能な工具や取り代の多い加工ができる工具など、高能率化をテーマにした切削工具が披露された。

 三菱マテリアルが展示したのは、新製品の多機能カッタ「VPXシリーズ」。縦置きインサートによってホルダ剛性を高め、送り量を従来比1.5倍まで上げることができ、今まで以上の高速加工が可能となった。

 日本特殊陶業も切削速度(vc)1000m/minの高速加工が可能な鋳物加工用カッタを出品。また、アルミボディで軽量化した超多刃カッタ「HFC」を展示し、アルミ部品加工の高能率化を提案した。

 オーエスジーは、ワンレボリューションスレッドミル「AT-1」を出品。左ねじれ、不等分割・不等リードによってビビりを抑制し、今まで2~3回必要だった加工を1パスで可能にした。京セラは、すくい角を変化させてビビりを抑制する徐変エンドミルを展示。大阪工機でも切りくず排出性を高め、高能率加工にも対応する防振エンドミルを展示した。

 菱高精機は、傾斜面でも下穴なしで穴加工ができる「ハンガーミル」を出品した。特殊な溝形状を採用し切りくず排出性を高めたほか、フラットな形状の切刃で加工段差を抑える。

 難削材加工でも高能率化は進む。三菱マテリアルや三菱日立ツールでは、5枚、6枚刃など刃数を増やし、一刃あたりの送りを上げてチタン合金や焼入れ鋼を高速加工できるエンドミルを展示した。

 また、ダイジェット工業では高送りカッタ「SKS‐GⅡ」を展示。従来品比で最大2倍の加工能率が向上でき、高硬度材やチタン合金などの難削材の加工にも対応できる。

微細精密加工

PCDや超硬で鏡面
中大物金型向け5軸

MECT 微細精密加工

 自動化や高能率化の技術が脚光を浴びる一方で、ひときわ注目を集めたのが微細な加工ができる切削工具や工作機械。高硬度材に深穴をあけるドリルや、中大物の鍛造金型に精密な加工ができるマシニングセンタなど個性豊かな新技術が登場した。

 高硬度材に深穴をあけるドリルを出品したのはイワタツール。HRC40~72の鋼材を加工できる「トグロンハードロングドリル」で、SKD11(HRC60)の焼入れ鋼にφ1㎜、深さ4㎜の貫通穴の加工を披露した。

 サイトウ製作所は、超高精度の小径ドリルの新製品を出品した。加工時の振れ精度が0.5μmで、金属部品に精密な穴をあけることができる。

 日進工具や三菱日立ツールは、PCDやCBN、超硬工具やそれによる微細加工技術を披露した。

 日進工具は、PCD工具を上手に使うためのキットを展示。超硬、CBN、PCDの工具3本とHRC60程度の鋼材、CAMデータの3点セットで、ユーザーは指定された条件で加工する。

 日進工具は、加工物を検査し、ユーザーが持つ機械の最も適した加工条件を提案する。ユーザーはPCDと超硬やCBNの使い方の違いや特性を体験できる。

 三菱日立ツールが出品したのは、独自開発したTH3コーティングを採用し耐摩耗性を高めた超硬エンドミル。Ra0.022μmの高精度加工が可能で、鏡面に仕上げたワークサンプルを展示した。

 小物の金型や部品の加工に適用することができ、CBNとは別の微細精密加工の選択肢として来場者にアピールした。

 一方、安田工業は、マシニングセンタ「YMC650」の5軸機「YMC650+のRT」を発表した。最大φ330㎜のワークの加工ができる。歯車の鍛造金型や自動車のヘッドランプの中大物金型向けの需要を開拓する考えだ。

日本産機新聞 平成29年(2017年)11月5日号

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