2026年4月13日(月)

創造と実行の年

急いては事を仕損じる

揮毫
揮亳は小川修一氏(オーマット社長、東京都機械工具商業協同組合)
 変化に乗り遅れまいと慌てて飛び乗る必要はない1年ではないだろうか。その布石は、2016年にあった。振り返ると、世界的に驚きの多い年だった。日本がオリンピック会場の選定や爆買いする観光客の平和的な対応をしているうちに、英国はEU離脱を決め、米国トランプ氏が大方の予想を覆して次期大統領に選出された。韓国の朴槿恵大統領の弾劾訴追、OPEC等の原油減産合意、中東の泥沼化、中国の領土拡大、年末には日ロによる北方4島における共同経済活動への合意、思いがけないのは熊本や島根、福島の震災があった。世界が変化を始めている。英国のEU離脱と米国大統領選出は、隠れていた保護主義の声が表に噴出したとも言える。為替が変動し、株高の進行は、「何がどうなっているのか」という感覚になる。想定外の変化を感じる一年だった。

 2017年はどうか。トランプ新大統領の政策展開が気になる。欧州は選挙が相次ぐ。為替相場は?原油価格は?…など先行き不透明なままスタートすることになる。おそらく、世の中はめまぐるしく変化するだろう。日本では少子高齢化も変化要因のひとつだ。働き方が変わる。生き残っていくには、その変化に対応し、自ら変わっていかなければならない。

精度・操作性が向上し、需要が伸びる5軸機
精度・操作性が向上し、需要が伸びる5軸機
 昨秋、東京ビッグサイトで開催されたJIMTOF2016では、IoTやIndustry4.0、AI、ロボットの活用など、情報技術の進化を体感した。多くの出展メーカーが機械設備をネットワークで繋ぎ、製造業の近未来創造を提案した。以前までのJIMTOFに比べると大きな変化である。だが、設備をネットワーク化して、何を見える化し、どのように活用するのか。膨大な情報を収集して、分析し、トラブルを未然に防ぐために人の手を煩わせずに手を施せたら楽な話である。製造業に革新をもたらすだろう。しかしそれでいいのかと思う。SF映画に出てくるような、人間が作ったロボットに人間が支配されるようなものにならないか。「考える葦」の人間は退化しないか。最後は、シグナルを受けた人間が、その内容を判断し、決断し、対処・処理することによって人材を育成できるのではないだろうか。

人と協働するロボット
人と協働するロボット
 集めた情報を基に、この先どんなことが起きるか、それが起きたらどうなるのかを想像し、とりあえずその場の対応だけでいいのか、或いは恒久対応をしなければならないのか、など合理的な対処療法を考え、手を施す。これは、製造現場の話だが、今を見つめ、遠い未来を多角的に想像しながら、短期の現象予想に対応する。そんな「考える人材」を育てる必要を感じる。

 機械を動かすのも、ロボットを動かすのも、プログラムを組むのも、また得意先と交渉するのも、トラブルが起きた時に対処するのも、問題を起こしたときに謝るのも…すべて人にある。今、事業継続計画つまりBCPが注目されているが、これも人がいなければできない。人が主人公(主役でもいいか)なのである。

稼働状況の見える化で稼働率向上
稼働状況の見える化で稼働率向上
 変化に乗り遅れまいと慌てて飛び乗る必要はない。慌てると行先の違う船に乗ってしまい戻るにしても時間がかかる。船は沈んだら二度と戻れない。誰かが言うから行動を起こす事でもない。あの会社がしたから当社も。というような思い付きに近い思考でなく、その変化を捉え、背景を多角的に分析し、将来を創造しながら、今の課題に対応するようにしたいものだ。同時にそんな人づくりをしたい。

 政府は「働き方改革」を推進している。まず発想改革をしなければいけないようだ。目標を達成するまでは労働時間無視で仕事をするのでなく、「考える葦」であるべきだ。多角的に考えることができる人材が増えたら、自然に仕事の効率も業績も上がるように思うのだが…。

日本産機新聞 平成29年(2017年)1月5日号

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