2025年12月29日(月)

キトー独自資本に

コネクレーンズ社から全株買い戻し

製品の相互供給は継続

 キトーはこのほど、産業用クレーン世界最大手のコネクレーンズ社(フィンランド)との業務・資本提携を解消すると発表した。コネクレーンズ社の子会社を通じ、全株式(595万株)を54億円で買い戻した。資本関係は解消するものの、両社間での製品の相互供給体制は継続するため、製品やサービス体制は変わらない。

 キトーは、2003年に米投資会社のカーライル・グループの支援によるMBO(経営陣による株式の買い取り)を選択し、同年10月に非上場化。経営基盤の強化を経て、07年に東証一部に再上場した。10年には、グローバル戦略を強化するため、コネクレーンズ社と資本・業務提携し、製品の相互供給とアジアや欧州で販路を補完、事業拡大を進めてきた。

 この資本提携によってキトーは、ワイヤロープホイストの製品供給を受け、自社ブランドで「RK形ホイスト」として国内市場を中心に展開。一方、コネクレーンズ社にはチェーンブロック製品を供給していた。

 しかし今年8月、コネクレーンズ社は建機大手テレックス社(米)のマテハン・港湾荷役事業の買収を当局に承認されると同時に、子会社でワイヤロープホイストや、中・小型クレーンの老舗メーカーSTAHL社(独)の売却を決定。一方で、欧州市場の拡大や、製品ラインアップを強化したいキトーは、すでに一部製品を取り扱い、販売実績のあるSTAHL社の買収に動き出しており、両社間で提携解消の合意に至った。

 提携解消後も、両社間での製品の相互供給体制は継続するため、「RK形ホイスト」の販売体制や、メンテナンスなどのサービス体制は従来との変更はない。

 キトーは今年、20年度までの新中期経営計画をスタート。「あらゆる市場で最も信頼される巻上げ(反重力)機器メーカーを目指す」というビジョンを掲げ、買収を進めている。14年のチェーンメーカーのピアレス社(米)、今年2月にチェーンや吊り具などの周辺機器メーカーのバイセンフェルス社(伊)、さらに4月にはホイストやチェーンなどを手掛けるPWBアンカー社(豪)を買収し、ホイストだけでなく、その周辺機器の品ぞろえを強化し、ソリューションの幅を広げている。

日本産機新聞 平成28年(2016年)10月5日号

[ ニュース ][ 日本産機新聞 ][ 機械工具業界の出来事 ] カテゴリの関連記事

山善・山本猛夫記念奨学基金 今年は4名を認定

山善は、経済的な理由等により、修学困難な学生をサポートすることを目的として、「公益信託山本猛夫記念奨学基金」を1992年に設立し、委託者として支援。今年度は新たに4名の学生が新規奨学生として認定され、11月17日に認定書 […]

大澤科学技術振興財団 25年度は助成9491万円

研究開発33課題、国際交流7件 大澤科学技術振興財団(理事長・大澤伸朗オーエスジー社長)は、2025年度の研究助成テーマを決定。11月7日にホテルアソシア豊橋(愛知県豊橋市)で贈呈式を執り行った。  今年度は、33件の研 […]

工作機械・切削工具メーカーが各地でプラショーやカンファレンスを開催

オークマ「オークマ・マシンフェア2025」 オークマは11月12日から14日までの3日間、愛知本社で「オークマ・マシンフェア2025」を開催した。 人手不足や熟練作業者不足などの課題を解決する同社の最新技術を披露した。5 […]

トピックス

関連サイト