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迫る需要の山 ボーイング・エアバスが予測
先月16日、インテックス大阪で開催の「INTERMOLD2014」の基調講演で、世界2大航空機メーカーの1社、欧州のエアバス・ジャパン、コミュニケーション・ディレクター野坂孝博氏が「今後20年間の航空機年間成長率は平均4.7%、必要となる航空機数は現在の2倍強、3万3651機が予測され、金額にすると市場規模は約4兆ドルになる」と、満席の300人を超す聴講者に需要見通しを語った。同様にもう1社の米国・ボーイング社は今年2月、「今後20年間で新造民間航空機需要は機数ベースで3万5000機超し、金額ベースで4兆8000億ドル、年間成長率は5%」とした。この両社の需要見通しは、今後の市場変化、大きな事故がない限り「市場は拡大する」方向を示唆した。一方で、航空機産業は、今後、国際共同開発が主流になる方向で、需要の拡大と技術開発(低燃費、軽量化)、コスト競争はますます厳しさを増す。日本の航空機産業のシェアの現状と今後を予測した。
エアバス・ジャパンの野坂ディレクターは、需要の見通しと航空機産業に参画するためのアドバイスを説明した。
まず、今年3月末時点の受注、引き渡し状況は、同社のベスト機、A320ファミリー、A330/(A340)ファミリー、A350ファミリー、A380ファミリー、(A300/310ファミリー)の受注機数は1万3918機、引き渡し機数が8397機、運行機数が7726機とし、目の前に需要の山があることを示した。うち人気のA320の受注機数は1万257機にのぼる。
また、エアバスとボーイングの2013年受注機数は、エアバスが再び巻き返し1619機(51%)、ボーイングが1531機(49%)になったと語った。1995年当時、ボーイングが81%を占め、エアバスが19%の時代から見れば隔世の感がある。近年はシェアが拮抗している。
野坂氏は他に総2階建キャビンを備える超大型機A380に参画した日本企業の分担を航空機図で示した。
それによると、実に17社が参画している。主だった企業と部位を紹介すると、東レ・東邦デナックは中弾性炭素繊維、新日本住金は純チタンシート、富士重工業は垂直尾翼前縁・後縁、垂直尾翼端及びフェアリング、ジャムコが垂直尾翼用構造部材、2階席用フロアクロスビーム、ギャレー(厨房設備)、三菱重工業が前部貨物ドア、後部貨物ドア、住友精密工業が主翼脚のギア引き込み固定装置など、日本企業は多くの部位で参画している。
また、エンジン・プログラムは、IAE社のV2500、PW1100G‐JM、RR社のTrent700、900、XWB、XWB‐97、P&WのPW4000に日本の航空機エンジンメーカーが参画しているとした。そして、日本からIAEのV2500のエンジンやA380の参画などを含む調達額は「約1000億ドル」にのぼるとしている。
売れる独自技術を持て
今後、日本企業に期待することとして野坂氏は①グローバルな航空産業戦略思考を育てる②他ではできない売れる独自技術を持つ③日本企業の良さである高品質管理、器用さ、真面目さ、職人気質を生かして技術開発する④世界の航空機産業での存在感を高める⑤英語力も含め交渉力を高める⑥資本力を高める⑦企業の責任と役割分担を明確にする⑧Tier2以下で参画することもひとつの方法…を聴講者に訴えた。航空機産業に大きな需要の山があると同時に、航空機産業に参入を希望する企業に適切なアドバイス贈った。
一方、ボーイング民間航空機部門のマーケティング担当バイス・プレジデント、ランディティンゼス氏は、「既存機の月間製造率を高めている他に、777X、787‐10Xといった新型機開発にも投資をしている」とした。
また、次世代737型機や今後の737MAXが中心となる単通路市場が全体予測を牽引し、「今後も継続して成長が望める」としている。この需要は、今後20年間で2万4670機の新造機が必要になると試算している。
この他、747‐8型機、777型機、787ドリームライナーなどのワイドボディ機市場は、今後、「大きな要素を含んでいる」と見ており、各航空会社が進める旧型機から新型でより効率性の高い航空機への代替需要の新造機が8590機必要になると予測している。
ボーイングは、新造機デリバリー機数(2013年~2032年)を、以下のように見ている。
リージョナル機(90席以下)2020機、800億ドル、単通路機(90~230席)2万4670機、2億2900億ドル、小型ワイドボディ(200~300席)4530機、1億100億ドル、中型ワイドボディ(300~400席)3300機、1兆900億ドル、大型ワイドボディ(400席以上)760機、2800億ドルの計3万5280機、4兆8400億ドル。
なお、ティンゼス氏は「航空会社はネットワークの拡大、新素材の使用、新型機への投資に焦点を当て、より効率性の高い、運航コストが低い、環境性能に優れ、客室の快適性など特性を持つ航空機需要が高まる」と、需要拡大を裏付ける。
日本産機新聞 平成26年(2014年)5月15日号
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