2025年10月18日(土)

タンガロイの挑戦-TUNGFORCEの本質-
若手技術者に聞く③

挑戦に終わりなく

技術本部材料開発部 CVD開発グループ 佐藤 博之氏

 形状の進化もさることながら、切削工具のイノベーションは素材やコーティングなど材料技術による部分も少なくない。1000点超のTUNGFORCEでも、多くの新材種や新たなコーティングが採用されている。3回目のインタビューはCVDコーティングの開発技術者の佐藤博之氏に取り組みや、こだわりを聞いた。

「使える被膜」にこだわる

佐藤博之氏
 2003年タンガロイに入社し、CVD開発に取り組む。09年~12年にイスラエル本社に出向。37歳。
 佐藤氏が開発を担当したのは、鋳鉄の高速加工に特化したCVDコーティング材種「T515」。こだわった一つが「使える加工」だ。鋳鉄は調達先によって材料特性にバラつきが多いため、切削条件を厳しくする必要がある。「ありえないような加工テストや、実加工に近い条件でテストし『使える』加工にこだわった」。

 もちろんTUNGFORCEのコンセプト「倍速加工」も突き詰めた。「鋳鉄は削りやすいから、逆に加工速度を上げるのは難しい。アルミナ層を従来の1・7倍にするなど徹底した倍速を追求した」。もうひとつ気を付けたのはバランスだ。「『倍速加工』=摩耗しないイメージがあるかもしれないが、使い勝手も重要」という。だから「耐摩耗性に加え、耐欠損性を両立させる工具としてのバランスを重視した」。

 これだけこだわった「T515」もすでに次のステージに移る。今回の技術を応用し、ミーリング工具へも採用される予定だという。自身も「新たな開発に挑戦したい」と未来に目を向ける。

 佐藤氏はタンガロイがIMCグループに参画してイスラエル本社に出向した初めての技術者。当初は「外国人技術者の発想の違いに驚いた」。それでも、3年後の帰国前には様々な部署から引き留められていたそう。今後については「製品もCVDも進化し続けている。それに負けないように、エンドレスに新しいことにトライする技術者でいたい」。

日本産機新聞 平成28年(2016年)9月5日号

[ インタビュー ][ メーカー ][ 日本産機新聞 ] カテゴリの関連記事

開幕まで1週間 各展示館の見どころを紹介【特集:MECT2025】

人手不足や効率化提案 過去最大規模となる「メカトロテックジャパン2025」。工作機械や切削工具、工作機器、測定機器、ソフトウェアなどの最先端技術が一堂に集まる。人手不足への対策が喫緊となる中、自動化や省人化、工程集約など […]

注目の出展製品 工作機械・切削工具編【特集:MECT2025】

オークマ 第1展示館  1F03 主な出展製品 小型横形マシニングセンタ「MS-320H」(新)、複合加工機+ビルトインロボット「MULTUS B250Ⅱ ARMROID」、CNC円筒研削盤+移動式協働ロボット「GP26 […]

注目の出展製品 工作機器編【特集:MECT2025】

イマオコーポレーション 第3展示館  3E08 主な出展製品 IMGバイス(アイエムジーバイス)(新)、ワンタッチクランプ、ナットランナー治具ほか。 特長・見どころ IMGバイスは、5軸加工対応バイスで、センタ […]

トピックス

関連サイト