2026年10月22日(木)

―機械工具業界の今年を振り返る―
  機械が好調、補助金追い風

好調ゆえに改革

物流整備や専門性強化

 2015年の機械工具業界は好調に推移した。補助金の追い風にも乗り、工作機械の10月までの累計内需受注額は5000億円弱で24%増加した。超硬切削工具の1―9月の累計生産額も9・7%増の1953億円となり、好調な水準を維持。上場商社9社の第2四半期決算でも全社が増収を記録した。好調だった2015年だが、ネット通販の台頭やユーザーの一括購買、流通チャネル多様化など業界には課題も山積している。好調だからこそ、商社は物流網を整備したり、販売店は専門性を高めたり、独自のやり方で改革を進めている。

補助金が追い風

 機械工具業界にとって2015年は補助金がかなりの追い風となった。4月には900億円にも上る省エネ補助金、春、夏2次にわたるものづくり補助金の影響が色濃く出た。省エネ補助金の締め切り前は「毎夜残業で申請書類を作成した」(ある機械商社)ほどだ。その甲斐もあって、山善の第二四半期決算の工作機械部門では、前年同期比で4割近く増加している。
 工作機械ほどではないにせよ、足元の稼働率に近い切削工具も堅調を維持した。超硬切削工具は1―9月累計の生産額は9・7%増の1953億円。切削に強いNaITOや大阪工機の第2四半期決算でも同程度伸びている。
 補助金の追い風があったとはいえ、好調に推移した機械工具業界だが、危機感も強い。業界構造の変化に伴う課題が山積しているからだ。

流通チャネルが多様化

 今夏に実施した全日本機械工具連合会のアンケートでもそれは顕著に出ている。例えば流通チャネルの多様化。「直需商社のメーカーからの直接仕入れの増加」や「卸商社の直販」を懸念する意見が目立った。さらに、ミスミやMonotaro、アマゾンなどネット通販の存在感も大きくなってきている。
 そうした課題に対して、卸商社や販売店は機能強化を図っている。卸商社では、ユアサ商事や山善、日伝が物流機能を強化。また、多店舗化や専門化、海外展開を加速するなど、各社独自の戦略を進めている。

付加価値高め販売強化

 販売店も自らの強みを磨く。先のアンケートでは、「地域密着を図る」企業や「高度化、専門化した技術や知識を提供する」とした意見が目立った。さらに、取扱品や分野の拡大を図る「水平多角化」や、加工や工事までを行う「垂直多角化」を志向している。ある販売店社長は「製品を売るだけでは差別化にならない。いかに独自のサービスを付加して売るかだ」と売り方を工夫する。別の販売店では「据え付けや電気工事できるまでの技能習得を図っている」と付加価値を高めた販売を強化している。
 2015年の景況は総じて好調だったと言える。しかし、機械工具業界は、変革がさらに進化した年にもなった。

日本産機新聞 平成27年(2015年)12月5日号

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