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トクピ製作所 森合 勇介取締役部長【この人に聞く2026】
ポンプ起点のソリューションを深化 高圧クーラントで切削加工の可能性拡大
トクピ製作所は2007年に前身の特殊ピストン製作所から社名を変更後、超高圧プランジャーポンプをてこに自社ブランドのユニット装置の展開にも力を入れてきた。そして、15年前からは「高圧クーラント技術」を提唱し、切削加工の効率化提案も進めている。「お客さんのお困りごとを解決するソリューション企業でありたい」と力を込める森合勇介取締役部長に、自社のビジネスモデルの在り方や高圧クーラント技術の今までとこれからを聞いた。

自社のビジネスモデルやポンプメーカーとしての強みをどう考えますか。
当社のポンプはセラミックプランジャーを採用し、安定した高い圧力を誇ることから、公共施設での暑熱対策や農産物の栽培で使われるミスト装置のほか、洗車機など意外と身近な場面で活用されている。
そうした用途以外にも、近年はエネルギー開発での引き合いもあり、アンモニアやエタノールといった特殊な流体仕様の依頼も増えてきた。流体の性質に合わせてシーリングや内部機構の材質を検証し、仕様を変更することで、実質的なオーダーメイドの体制を整えている。大手のポンプメーカーと違い、生産ラインを持たない中小企業だからこそ、柔軟に対応できる点が強みだ。
お客さんも他のポンプメーカーに断られたお願いをうちに持ってきてくれているのに「できません」とは言いたくない。社内でもそうした意識づけを行なっている。
15年前からはポンプの技術を軸にした高圧クーラント技術を切削加工の市場に提案しています。
高圧クーラントの仕組みは、最大30MPa(メガパスカル)の圧力で刃先にクーラントを当て、冷却効果を高めるというもの。さらに、クーラントの液圧がチップブレーカーの役割を果たし、切りくずを分断することで、自動化も進めやすくなる。加工後のワークに吹き付けることで、バリ取りも効率化できる。
また、研削砥石の表面に高圧クーラントを吐出することで目詰まりを解消し、ダイヤドレスの回数を大幅に削減できる効果もあり、こちらも注目を集めている。
市場への浸透具合はいかがでしょうか。
発展途上の段階だ。ただ、今回出展した「メカトロテックジャパン2025」でも濃厚な相談が多く、潜在的なニーズはまだまだあると感じた。ユーザー自身が課題と認識していなくても、高圧クーラントで生産性を上げれるケースもあり、訴求の余地は十分にある。
その為に取り組むことは。
まず、高圧クーラントの装置を導入するだけで、簡単に加工が効率化できるわけではないということは言っておきたい。刃先へのクーラントの当て方、ノズルの構造、工作機械内部での通水の仕方といった諸々の条件調整が必要になる。
高圧クーラントを手軽に導入いただくために我々が直接ユーザーを訪問し、レクチャーすることも多い。製品ではなく加工技術を売っているとも言えるだろう。
機械工具商に対しては。
現状はまず、ユーザーから直接問い合わせをいただき、その間に商社が入るというケースがほとんど。商社経由の引き合いもあるが、営業マンの個人ベースでの受注になる。
会社レベルで製品理解を深めていただくためにも、商社向けの勉強会を積極的に開催している。そうすることで受注が続くことも実際にあったので、精力的に続けていきたい。
今後はどのように提案を進めていきますか。
高圧クーラントは航空機や半導体関連で使われる難削材をはじめ、あらゆる材料の切削加工に効果が期待できる。それを裏付けるためにも、産学連携で技術論文を発表してきた。テスト加工も受け付けているので、30MPaの世界を試していただきたい。
高圧クーラントを必要とするユーザーであれば、20〜30台をまとめて導入するケースもあるが、切削加工の市場全体を見渡すとそうしたユーザーは少数。だからこそ分野にこだわらず、それぞれに散らばるニーズをまめに拾うことで裾野を広げる。自動車産業も景気こそ良くないが、仕事は確実にあるので、その中での潜在的なニーズを掘り起こしていく。

兵庫県神戸市出身、40歳。大学卒業後、自動車修理工場での勤務を経てトクピ製作所に旋盤工として入社。「昼夜を惜しまず機械加工の勉強に没頭」した結果、父である森合主税社長に加工ノウハウを評価されたことを、入社後一番嬉しかった経験に挙げる。「何でも楽しむ」をモットーに、現在は取締役部長を務める。趣味はマリンスポーツ。
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