2025年8月13日(水)

ミツトヨ 新たに2部署を設立

ミツトヨ(神奈川県川崎市、044・813・8201)は今年1月、ノギスなどの測定工具のデジタル化を推進する「流通商品ビジネス部」と、三次元測定機などの測定機器類を拡販する「機器商品ビジネス部」を立ち上げた。2029年度を最終年度とする中期経営計画では、測定工具で1.4倍、測定機器で1.6倍の売上高を目指すという。機器商品ビジネス部の古賀章祐部長と流通商品ビジネス部の栗田英生部長に部を新設した狙いや具体的な取り組みなどを聞いた。

機器商品ビジネス部 古賀  章祐部長「測定機器の販売を強化」

古賀  章祐部長

機器商品ビジネス部の役割は。

顧客のさまざまな計測ニーズへの対応や課題解決のために、三次元測定機など測定機器を中心に提案、拡販する。全国各地で機器の営業技術を手掛ける「ソリューション課」と、市場や業界ごとの計測ニーズの収集や拡販戦略を担う「市場戦略課」、商品を軸とした戦略を立案する「商品戦略課」の3つの課で構成する。全体としては約50人の体制になる。

狙いや背景は。

近年、測定機を検査室だけではなく、現場やインラインで使いたいというニーズが増えている。さらに、人手不足が加速している中で、自動化や省人化、全数保証したいなどの顧客の声は多い。 

こうした状況は測定機が計測機器にとどまらず、生産性を上げることができる「生産財」なる好機だと思う。そのために「これだけ生産性が上がりますよ」と言うことを3つの課で連携し訴求していく必要がある。

具体的な取り組みは。

全国に6カ所あるショールーム「M3(エムキューブ)」や、一昨年より地方営業所に新しく併設したミニショールームの積極活用。半日や数時間単位でもいいので、販売店様と共同でミニ展示会などを頻繁に開きたい。

販売店様向けの講習会も増やす。単なる製品の機能説明ではなく、弊社の測定機器を使用するシーンやその効果をイメージしやすいように、業界や業種別などを意識した講習会やソリューション事例のご紹介を行っていく。併せて販売店様の重点顧客での展示会や講習会なども積極的に行う。

販売店に期待することは。

測定機器を生産財にしていくためには、我々がもっとお客様を知り効果的なソリューションをご提案する必要がある。そして、何よりお客様を最も知るのが販売店様。我々がお客様を知る機会をともに作っていただくとともに、すでに知っている顧客の課題や声を投げかけて欲しい。我々としてはその貴重な声を聞くだけではなく、しっかりとお応えしお客様や販売店様にとって価値ある存在となることが使命だと考えている。

流通商品ビジネス部 栗田  英生部長「工具のデジタル化を推進」

栗田  英生部長

流通商品ビジネス部の役目は。

ノギスやマイクロメータなどの測定工具のデジタル化を推進していくことに加え、測定工具の販売戦略を全国で一本化し、測定工具の拡販を進める。

組織的には代理店向けの測定工具の営業を担当する「地域営業課」と、営業技術を担う「測器技術課」の2つの課からなる。地域営業課は全国の営業所と連携し、代理店や特約店を訪問し、測定工具の拡販を担当する。測器技術課は測定工具の営業技術がメインで、ユーザーでのマーケティング活動を実施しながら、デジタル化や、ユーザー現場での測定工具に関する課題解決を提案する。

部設立の狙いや背景は。

人手不足に加え、品質保証やトレーサビリティが重視される中で、デジタル化は欠かせない。しかし、国内の測定工具のデジタル化率は5割以下にとどまっている。今も測定したデータを手書きで書き写しているユーザーもいる。測定工具をデジタル化することで、こうした作業を減らし、生産性向上や省人化、効率化に貢献するとともに、測定工具の市場拡大につなげていく。

具体的な取り組みは。

デジタル化の利点をユーザーに広く知ってもらうために、販売店にデジタル化を広めてもらう「インフルエンサー」を育てていく。そのために、必要な知識や情報を提供する講習会も行う。

また、既存の工具に取り付けることで、測定データをワイヤレス通信できるシステム「U‐WaveFit」などをパッケージ化したデモキットを用意し、ユーザーにアピールして頂くようにする。

販売店に対して一言。

測定工具は成熟製品という印象が強いと思う。しかし、デジタル化するには、ユーザーの現場に入り、ニーズを聞き、最適な方法を提案しなくてはならない。販売店にとっても提案型の商材になり得ると思う。

あるユーザーでは、工場全体の測定工具をデジタル化することで数千万円の売上になったこともある。販売店とともに、デジタル化を推進することで需要を拡大し、5年後に測定工具の売上高を現在の1・4倍まで引き上げたい。

日本産機新聞 2025年8月5日号

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