AIの普及に伴うデータセンター需要の拡大に加え、航空機、防衛、造船など幅広い分野で追い風が吹く国内の製造業。一方、イラン情勢を背景とした原油価格や原材料の高騰、供給不安など、経営環境には不透明感も漂う。変化の波をどう捉え […]
冨士精密・和田 眞孝社長「品質力武器に欧州市場開拓」【特集:メーカートップインタビュー】
ゆるみ止めの課題解決企業へ

–現在の状況は。
今期は回復基調に転じ、8月の決算月を残した時点で年間目標を達成する見込みだ。市場全体の先行きは不透明だが、半導体製造装置向けの需要も動き始め、装置やロボット向けの「FINE U‐NUT」が伸長し、「U‐NUT」も安定している。
一方、ユーザーからは試験データや性能評価を求める声が増えており、テクニカルセンターでの評価試験や技術対応の重要性は一段と高まった。品質を客観的なデータで証明することが、企業価値の向上につながる。
–来年度の取り組みは。
人手不足や材料費の上昇など製造業を取り巻く環境は厳しく、売上拡大以上に利益を確保できる体質づくりが重要。特に製造現場では自動化・省人化を進めながら品質を維持、向上させることが課題だ。AIを活用した外観検査の導入を進め、めっき製品の検査精度向上やトレーサビリティ強化を図りたい。さらに、サプライチェーンでは協力会社の後継者不足なども課題。内製化率を高めながら安定した生産体
制を構築していく考えだ。
–販売戦略について。
海外営業部を立ち上げると共に、「FINE U‐NUT」の販売強化プロジェクトを進めている。国内で培った高品質を武器に、欧州市場を重点的に開拓したい。日本のロボットメーカーで採用されている実績も強みで、品質を重視する海外ユーザーへ提案する。展示会の出展やオンラインでの情報発信に加え、海外代理店との連携も強化する。
–今後の製品開発は。
「U‐NUT」は半世紀以上にわたり支持されてきた完成度の高い製品である一方、対応が難しい用途も存在する。その課題を補う新たな製品として、特長であるフリクションリングを使用しない新しいゆるみ止め機能を検討中だ。現在は試験とデータ取得を重ねながら実用化を進めている段階。将来は「冨士精密といえばU‐NUT」ではなく、「ゆるみ止めの課題解決なら冨士精密」と評価される企業を目指す。
日本産機新聞2026年9月20日号
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