2025年11月10日(月)

【Innovation!】コンプレッサ・周辺機器

省エネ対策で電力費削減

工場内の電力量の3割近くを占めると言われるコンプレッサ。電力量の使用量を減らすには、省エネ仕様の機種や効率的な運用が欠かせない。こうしたニーズに対応すべく、インバータ搭載の省エネ機種、環境負荷を低減するオイルフリー機種、IoT監視による最適な稼働運用ができる機能などが登場。配管のエア漏れチェックや、ドレンを効率よく処理できる装置など周辺機器でも省エネ対応製品が増えている。コンプレッサや周辺機器の新製品の特長を紹介する。

フクハラ 油水分離とCO2を同時に回収

「ドレンデストロイヤーCO2

「ドレンデストロイヤーCO2」は、コンプレッサードレンの清水化と二酸化炭素(CO2)の回収が同時に処理できる画期的な装置で、電源を必要とせず(一部機種を除く)、特殊フィルターのみでドレン水の油分濃度3㎎/L以下に処理ができ(水質汚濁防止法では5㎎/L以下と定められている)、多数納入実績は1〜2㎎/L。清水化と同時にCO2を回収する能力も持っており、2024年度のCO2全回収量は約340㎏でドレン処理にかかるコストを削減できる。一例を挙げると、75kWコンプレッサーの場合では、年間約67.3万円の削減が可能(同社調査)。使用済みフィルター槽を焼却処分する時に発生するCO2の一部に対してカーボンオフセットを適用済であり、CO2排出削減にも貢献している。全19機種を用意し、75kW〜1100kWまでのエアーコンプレッサーに対応が可能…など。

三井精機工業 省エネと高効率を両立

水潤滑インバータオイルフリーコンプレッサ「i-14000X」

空気圧縮工程の潤滑媒体に水を採用し、水シールによる冷却、シール、潤滑を実現した水潤滑インバータオイルフリーコンプレッサ。「高効率」、「省メンテナンス性」、「環境負荷低減」に貢献する。機種によって異なるが、最大年間20tの二酸化炭素削減に貢献する。

オイルフリーエアーを供給するにはドライ方式による圧縮が一般的。しかし、水潤滑式が登場したことで、油潤滑式同様に高効率でありながら、廃油処理を不要にし、省エネ性と環境負荷低減の両立を可能にした。

工作機械メーカーのノウハウを生かし、スクリューロータとブレード摺動部の形状最適化を追求した「Zスクリュー」をステンレス製に置き換えた。これにより高耐久性・高耐摩耗性を兼ね備えた高効率・高性能の圧縮機を実現した。

AIRMAN 高い省エネ効果を発揮

スクリュコンプレッサ

AIRMANが手掛けるスクリュコンプレッサはインバータ制御をはじめとするさまざまな容量制御方式、屋内設置/屋外設置、油冷式/オイルフリー式と組み合わせのバリエーションが幅広く、ラインアップが豊富。多様なユーザーに対応できる。

インバータ制御仕様は高い省エネ効果を得ることができ、オイルフリー式は食品や医療品製造業、精密機械などの産業分野の使用に適している。また、屋外設置型は配管の短縮化による圧力損失の抑制や、エア漏れリスクの低減などの利点があるほか、導入コストの削減にもつながる。

同社は今年4月に社名を製品のブランド名である「AIRMAN(エアマン)」に変更した。ブランド名と社名を統一することで、認知度やブランド価値のさらなる向上を目指す。

JFEアドバンテック 簡単手軽にエア漏れ検知

エアリークビュアー「MK-770A」

超音波センサーでエア漏れを検知し、その位置を画面上に表示する仕組みで、直感的な操作性が特長。最大30m先までのエア漏れを検知できるため、手の届かない高所や複雑に入り組んだ配管の点検にも威力を発揮する。

従来、エア漏れの点検作業は工場の終業後に行われることが一般的で、作業者の聴覚に頼ったり、石けん水を使って確めていたが、同製品は、超音波によってエア漏れを可視化するため、気体の種類に左右されず、工場が稼働中の騒音下でも点検が可能になる。

本体のシャッターボタンを押すだけで、エア漏れしている箇所を画像や動画として記録することができる。さらに、気体の単価や設備の稼働時間を設定すれば、エア漏れによる年間の損失額を自動で算出。圧縮空気を使用するすべての現場で、点検活動の効率化を実現する一台。

富士コンプレッサー製作所 エアドライヤ搭載で水分除去

NLP-WAI-75PRD(インバータ搭載形コンプレッサ)

近年、水分、油分、粉塵などのない高品質なクリーンエアに対する要求が高まっており、特に水分は錆びの原因になり、塗装などに影響を及ぼす。

同製品は圧縮空気中の水分を除去するエアドライヤを搭載。TUBE IN TUBE方式を採用しドライエアを安定供給できるほか、空気タンク内蔵の縦長スリム設計で省スペース化を図った。防音を吸収するラバー(防音材)と防振のための振動吸収ベース採用で静音と低振動を実現した。

また、起動電流の低減による省エネ効果や圧力一定運転もON-OFFのスイッチで容易に切り替えも可能だ。耐久性や安全性にも優れ、メンテンナンスも簡単。塗装及び一般工場、住宅隣接地域などの作業環境、精密機械の制御や自動車整備工場、ガソリンスタンドなど狭い作業場にも最適。

明治機械製作所 電動パワーユニットを搭載

軽便式電動パワーコンプレッサ「GEPシリーズ」

業界初の本田技研工業製の電動パワーユニットe-GXを搭載した電動パワーコンプレッサ「GEPシリーズ」は従来のガソリンエンジンタイプに比べ、バッテリーによる電動化で低騒音・低振動で、室内や車内の作業場所・環境を選ばず安全に作業ができ、作業環境の改善やSDGsに貢献。

主な特長は①電動化でランニングコストを低減②ボタン1つで簡単操作(冬場などリコイル・チョークなど操作不要)③ガソリン・エンジンオイルの補給や交換が不要④回転速度調整が可能(1800~3600回転/分)⑤GEPKタイプはACEコントローラで連続運転・断続運転の切り替えが可能⑥2Lタイプは延長コード2m付きで、バッテリーは急速充電に対応しており、1時間で80%、1.5時間で満充電することができる。

コベルコ・コンプレッサ 三品業界にも対応する高機能圧縮機

オイルフリーコンプレッサ Emeraude ES

小型スクロールコンプレッサに、22kWと30kWの中型モデルを新たにラインアップした。オイルフリーでありながら高機能と省エネルギーを両立したことで食品・化学・医薬品など厳しい衛生基準が求められる分野でも活用が見込まれる。

本体はシンプルな構造で高い耐久性を誇り、メンテナンスも容易。液晶コントローラーを搭載し、稼働状況の視認性も高めた。22kWモデルには3.7kWの圧縮機を6台、30kWモデルには同8台を搭載し、高効率な運転を可能にしている。

また、複数の圧縮機の一部が故障しても、他のユニットが自動的にバックアップ運転を行う機能を備えており、圧縮空気の供給停止リスクを低減。スクロール方式により低騒音・低振動性にも優れる。

日立産機システム 高温の環境で使用可能

新型オイルフリーコンプレッサ「Gシリーズ」

高い温度下で使用できるオイルフリースクロールコンプレッサ。1.5/2.2/3.7kWをシリーズ化した。省スペース化を実現し、省エネ性能を高めた。

独自の冷却技術を採用し、周辺温度が45℃の高温下での使用が可能。自動で圧力を調整するモードを使えば50℃でも使うことができる。

新型パッケージを採用し、省スペース化を実現。これまで設置時に右側面以外にスペースを設ける必要があったが、右側面と背面を隙間なく壁につけることができる「2面壁ピタ設置」とし、設置スペースを大幅削減した。

新機能のECOモードでは、空気消費量が少ない場合に圧力を段階的に下げることで消費電力を従来比で8%削減可能。高圧空気が不要な際に、0.1か、0.2Mpaの圧力低減ができる低圧シフトモードを搭載した。

日本産機新聞2025年11月20日

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