2024年11月23日(土)

【Innovation!】エアツール

パワフルでコストパフォーマンスが高く、締付や研削、ブロー、塗装など幅広い分野で活躍するエアツール。作業効率や作業性を高めるため、よりハイパワーで軽量、コンパクト、低振動の新製品が登場している。一方、カーボンニュートラルの実現に向けた動きが製造業で広がる中、エアを効率良く使える省エネタイプも増えている。エアガンやインパクトレンチ、グラインダ、ナッターなど注目の12社のエアツールを紹介する。

作業効率高め、省エネ

PART1:瓜生製作所「高効率、高精度、高耐久性」
PART2:オオサワ&カンパニー「底つき穴の切粉を吸引」
PART3:京都機械工具「狭い作業環境に最適」
PART4:空研「小型・軽量で高回転・高出力」
PART5:日東工器「流量調整できるタガネ」
PART6:日本ニューマチック工業「振動1/3に、作業者の負担軽減」
PART7:不二空機「低騒音・低振動で高い生産性」
PART8:扶桑精機「製造現場向けの低飛散タイプ」
PART9:ベッセル「トルクアップ、高耐久性」
PART10:明治機械製作所「人が中心のデザイン」
PART11:ヨコタ工業「軽量、力強く研削・研磨」
PART12:ロブテックス「工具レス調整が可能」

PART1

瓜生製作所「高効率、高精度、高耐久性」

UATシリーズ

UATシリーズは、高効率、高精度、優れた耐久性の3拍子揃ったオイルパルスレンチ。

チェック弁機構により、締付け時にパルス部内からリリーフバルブを通して流れる高圧パルスオイルを、わずかな量も逃さず正確に捕らえ、適正トルク値に達すると瞬時にシャットオフし、高いトルク制度を誇る。

打撃方法としてドライビングブレードにローラブレードを組み込んでおり、締付時に起こるパルス部内の摺動摩擦を大幅に改善させ、50%以上のめざましいパワーウェイトレーシオ(製品質量に占める能力比率)を実現。従来品に比べドライビングブレードの摩耗も少なく、メンテナンスコスト削減にも貢献する。

シール方法として主軸に隔壁を設け、独自のシール材であるSUリングを組み込み、同社の従来製品と比較してメンテナンスサイクルを60%以上延ばした。

トリガ荷重を削減できるフェザータッチトリガ機構とコンパクトなグリップ設計。連続作業でも指・手・腕などへかかる負荷が少なく、作業者の負担も大幅に軽減する。

PART2

オオサワ&カンパニー「底つき穴の切粉を吸引」

ワンダーガン 深穴タイプ「W101-Ⅱ・W301-Ⅱ」

バキュームガンは、吸込口から一定距離離れた切粉やゴミを吸引できない。タップ加工した細い穴に残った切粉などは、吸込口が届かずエアーブローに頼るほかない。そのため、ゴミが飛散し工場の作業環境が悪くなる。

切削加工を手掛ける多くのユーザーが抱えるそんな問題を、エアーブローと吸引を同時にすることによって解決したのが、オオサワ&カンパニーの「ワンダーガン 深穴タイプW101-Ⅱ・W301-Ⅱ」だ。

エアーバルブを押すと噴射ノズルの先端からエアーを噴射し、タップ穴の中の切粉を宙に浮かす。それと同時に吸込ノズルで切粉を吸い込む。これにより穴の中をきれいに清掃できる。エアーブローによる切粉の飛散や、別の穴にゴミが入り込むことなども防げる。

ガンは全長235㎜、重量435gで、ダクトホース(2m)や集塵袋、ホースバンドとセットで販売。噴射ノズルや吸込ノズルは形状の変更も可能。細いタップ穴にも対応する細穴噴射ノズルはオプションで販売している。デモ機の貸出もしている。

PART3

京都機械工具「狭い作業環境に最適」

12.7sq.インパクトレンチ「JAP418」

従来、エアーツールのハイパワー化は実現されていたが、全長が長く、狭小スペースでの使用が困難な状況で、全長をコンパクト化しつつ、ハイパワーとの両立が大きな課題となっていた。

12.7sq.インパクトレンチ(フラットノーズタイプ)「JAP418」は狭い作業環境に合わせ、コンパクト化を視野に開発。ハンマーケースとハウジングの一体化構造を図り、一般的なインパクトレンチより全長を短く、コンパクト化を実現した。さらに、ハンマーを大型化することで、最大トルクを10%向上させ、製品のコンパクト化とハイパワーの両立を図り、狭小スペースでの作業の時短、効率化を可能にしている。

また、フラットノーズタイプで、狭所作業でも周りの部品に干渉せず作業が行えるほか、トリガーの引き具合で回転を調整できるティージングスロットルを採用するなど機能性も充実している。

主な用途は自動車整備工場や農業関係など狭小スペースでの作業が多い場所に最適で、ボルト類の緩め作業も簡単に行うことができる。

PART4

空研「小型・軽量で高回転・高出力」

エアーインパクトレンチ「KW-1600proZ」

「KW-1600proZ」は、小型乗用ホイールナットの脱着作業や建機組立生産ラインに開発された12.7角ドライブN型エアーインパクトレンチ。

全長175㎜、全高179㎜、重量1.5㎏(いずれも付属品なしの場合)と小型・軽量でありながら、同社独自のN型クラッチ機構を採用したことで、高回転・高出力を誇る。作業者の負担を軽減し、生産性を向上させる。また、本体には視認性や本体保護のプロテクタを採用している。

打撃最大トルクは520N.m。5段階のパワーレギュレータを内蔵しており、操作性も高い。

ソケットや継手などの付属品も充実しており、それらを用いることで乗用車や軽自動車のタイヤ脱着からエンジンや足まわり等の分解・組立、橋梁・鉄骨の組立、建設機械・ブルドーザーの分解組立など、さまざまな場面で活躍する。

実用トルク範囲は100~350N.m、騒音レベルは 79dB(A)。無負荷回転速度は9600rpm、空気消費量は0.30㎥(Normal)/min。

PART5

日東工器「流量調整できるタガネ」

ジェットタガネ「JT-10」

工具が不要で、簡単に手元で流量が調整できるジェットタガネ。細かな打撃力の調整が可能なため、幅広い作業に適している。スプリングによってニードルを引き戻す機構ではなく、ニードルの往復にエアを使っているため、消耗部品が少ないのも特長だ。

本体重量は500g、グリップ径もφ21.5と小型軽量で、女性など力の弱い作業者でも使用でき、作業負担の軽減つながる。打撃力の調整が可能なため、ワークへの傷や打痕を抑制できるほか、φ1.6の小径ニードルで局所的な作業もでき、ニードル交換に工具もいらない。

採用できる現場は幅広い。鉄工所での溶接スケールやスラグの除去のほか、ワークに傷を付けたくない部位や、局所的な狭い部位のはくり(さび取りや塗装はがし)、アルミダイカストのバリ取りなどに適している。

また、溶接ビード内で打痕が少なく、ワークを傷つけにくいほか、枠組みで溶接されたワークの隅など、これまでのジェットタガネでは難しかった狭い部位のはくり作業ができる。

PART6

日本ニューマチック工業「振動1/3に、作業者の負担軽減」

防振エアチッパ「VFAA-3SP」

土木や解体現場、鋳造工場などでのはつり作業で、チッパの振動が作業者への負担となり振動障害を及ぼすことがある。それを解消するのが、日本ニューマチック工業の防振エアチッパ「VFAA-3SP」だ。

本体に内蔵したバネで振動を吸収する防振構造を採用。3軸合成値と呼ばれる振動値を従来機の15.3から5.1へと約67%軽減した。さらに騒音値も約40%減らした(101.7/112.7→97・1/108.1)。

これによりピストンの振動による作業者への負担を大幅に軽減、振動障害の発生を減らす。また振動工具を使用する際、振動障害を防ぐために作業者が1日に使用できる時間が定められているが、「VFAA-3SP」は3軸合成値が7以下のため1日に4時間まで使用できる。

角込と丸込の差込形状のチゼルを使える。ホースニップルやチゼルスプリングは標準付属品。オプション品としてフラットチゼルやチスチゼル、ワイドチゼル(スプリング付)なども販売している。

PART7

不二空機「低騒音・低振動で高い生産性」

FLT*3シリーズ

FLT*3シリーズは、メンテナンスコストの大幅な低減と生産性向上を実現し、各種ボルトやナットのトルク制御締付作業に最適なメカニカルシャットオフオイルパルスレンチ。

シャットオフバルブによってシャットオフを安定させており、高次元のトルク繰り返し精度を実現。連続使用などが原因となって起こるオイル温度上昇の影響による膨張分を、アキュムレータ内に取り込む「アキュムレータ機構」によってトルクのバラツキを最小化。また、パルス発生に合わせてプランジャーに油圧が掛かる通路を設け、トルク伝達効率をアップさせる「プランジャー機構」によってトルク精度を向上させている。

新開発のオイルパルスユニットを搭載しており、同社の従来製品と比べて約3倍のメンテナンスサイクルを誇る。本体のデザインも理想的な重量バランスを追求しており、作業時の身体的負担を大幅に低減する。グリップ部分を最小化することで、手への負担も更に軽減。ツールを小型化することで、騒音や振動も大幅な低下している。

PART8

扶桑精機「製造現場向けの低飛散タイプ」

ルミナ自動スプレーガン「ST-6-1.0X」

従来のスプレー機器は、微粒化して飛散するため、製造現場で使うには課題があった。そこで低圧霧化によって、粗くソフトに吹ける「低飛散型スプレーガン」を目指して開発された。

ノズル口径やスプレー形状のラインアップが豊富なため、金属加工油や防錆油、離型剤、コーティング剤など液体の種類を問わず、また様々な液体粘度、ワーク形状に対応できる。

低圧霧化を目的とした設計のため、エア消費の低さも特長の一つ。同社の塗装用スプレーガン「MK-3」と同条件で吹いた場合、エア消費量を6分の1に抑えることができる。エアコンプレッサの容量を消費しないため、省エネ、省電力を実現できる。

また、バリエーション豊富なロングノズルを付けることで、スペースのない製造現場のすきまにロングノズルだけを通して塗布を行ったり、筒状成型品の内面塗装を行ったりすることができる。自動車部品工場や建材製造工場のプレス成型ラインで板材への塗油に使用される他、様々な用途に対応する。

PART9

ベッセル「トルクアップ、高耐久性」

エアーインパクトレンチ「SP-390DX」

春や秋に大型トラックのタイヤを交換する際、融雪剤による錆びや長期間の使用でホイールナットが緩みにくくなることがある。それを解消するのが、ベッセルが発売したエアーインパクトレンチ「SP390-DX」(25.4㎜角)だ。

アンビルの長さを6インチに短くし(従来機は8インチ)、ねじれによるトルク損失を軽減。また、アンビルの内部を中空構造にして軽量化し、手に
持った時の重量のバランスが最適になるようにした。

エアーモーターのエンドプレートの表面処理やローターブレードの素材を見直し、焼き付きを防ぎ、スムーズな回転を実現。供給エアーの通路も内径を増やしてトルクアップ。ツインドッグハンマー、オイルバスを採用し修理しやすいようにした。

同社は25.4㎜角エアーインパクトレンチへの要望について大型自動車の整備工場にヒアリングを実施。「重量のバランスが悪い」「トルクが弱い」などの声を参考に従来機を改良。耐久性に優れ、操作性に優れた新型をこのほど完成した。

PART10

明治機械製作所「人が中心のデザイン」

自補修専用ハンドスプレーガン「Finer-force」

微粒化・扱いやすさ・緻密に、力強さ・ダイナミック、伝統の繊細さを加えたスプレーガン。美しい流線形ボディに引金も機能性とデザイン性を両立、手にフィットする握りやすい形状を確立。さらに、塗装カップを取り付けた状態を想定し、グリップ部を太く、重心を後方に設置することで、カップの回転モーメントを打ち消す方向に作用する最適なボディバランスを実現。

また、多段階に整流されたエアを効率よく先端に送り、薄肉形状からの微粒化により低圧力下での微粒子化を促進する独自の微粒化技術MMFTの確立やボディ回路の最適設計、高耐久設計など差別化技術で顧客の利益創出に貢献する。

同製品は塗装スタイルに合わせ、厚膜光沢のソリッド塗装に最適な「Finer-force B」、薄膜高微粒化でメタリックパール塗装向けの「Finer-force T」、ソリッドからメタリックまでオールラウンドに対応できる「Finer-force R」、ウォーターベース専用「Finer-force WB」の4つを用意。

PART11

ヨコタ工業「軽量、力強く研削・研磨」

アングルグラインダ「G400Hシリーズ」

造船や橋梁建設では、鋼板を溶接した後、そのビードを研削、研磨して仕上げる。その作業をより効率良く、快適にできるのがヨコタ工業のアングルグラインダ「G400Hシリーズ」だ。

ケーシング部やモーター部の基礎設計を根本から見直したことにより従来機と比べて質量を約20%ダウン。さらにヘッドの高さは13㎜低くした。一方、出力を5%アップした。

これにより軽量、コンパクトで操作しやすく、力強く研削、研磨作業ができる。作業中の騒音はサイレンサレス仕様で従来機と比べて10%軽減した。

オフセット砥石(φ100~105㎜)やワイヤブラシを装着して使える(※オプションで切断砥石やサンディングペーパーも使用可能)。スピンドルロック機構を採用しており、容易に砥石を交換できる。

造船や橋梁建設で重研削用グラインダによる研削、研磨は作業者にとって身体的な負荷が大きい。ヨコタ工業はそうした現場のニーズに応え、2019年、新型グラインダとして発売した。

PART12

ロブテックス「工具レス調整が可能」

エアーナッター「N1A2」

使用される様々な現場を想定し、従来からあるエアーナッターを、「より速く」「より使いやすく」「よりパワフルに」をコンセプトに開発。

従来製品ではストローク(サイズ)調整に工具を必要としたが、工具を使わなくても簡単に調整ができる仕様に変更した。さらに、従来機よりトルクを約40%向上させたことで、使用できるエビナット(ブラインドナット)サイズも従来のM10からM12まで対応可能。作業スピードも従来品より40%向上させたほか、重量も約20%軽量化し、使い勝手の良さを追求した重量バランスで長時間使用しても疲れにくい。

そのほか、エビナットをマンドレルに押し付けるだけの簡単ナット取り込み、かしめ不足防止機構、ワンタッチ逆転ボタンなど機能性も充実しており、自動車、家電、住宅建材などあらゆる製造工場での生産性向上や品質の安定化に貢献することができる。

日本産機新聞 2022年9月20日

[ 作業工具 ][ 日本産機新聞 ][ 製品 ] カテゴリの関連記事

【連載企画:イノフィス、次なる戦略②】折原  大吾社長インタビュー
作業や業界に特化した製品開発

イノフィス(東京都新宿区)は今年8月、腰補助用装着型アシストスーツ「マッスルスーツ」の新しいモデル「GS-BACK」を発売した。既存モデルの「Every」に比べ、軽量で動きやすく、これまで以上に幅広い現場での活用が期待さ […]

TONE 本社を河内長野工場に移転

TONEは、本社を同社最大拠点である河内長野工場に統合、移転した。9月26日から業務を開始した。 今回の統合により、開発、製造、営業企画、品質保証、管理の各部門と経営を一体化。部門間のコミュニケーション向上を図り、一層綿 […]

エヌティーツール 福岡県筑紫野市に九州事務所を開設

ツーリングメーカーのエヌティーツール(愛知県高浜市、0566-54-0101)は福岡県筑紫野市に九州事務所を開設し、九州地域での迅速かつ細やかなサービスを提供することで顧客の課題解決に応えていく。住所は福岡県筑紫野市原田 […]

トピックス

関連サイト