2026年10月8日(木)

三叉路

 ○…そのユーザーは40年前、マシニングセンタ3台を購入した。自動車の金型を手掛け、従業員は約10人。総額6千万円の投資は夢への切符であり賭けでもあった。しかしバブルが崩壊。新車の開発計画は白紙となり多額の借金が残った。会社は倒産、社長は行方をくらませた。

 ○…ある機械商社の社長が苦い思い出を話してくれた。疑う余地のない好景気。未来への投資は当然だった。けれど会社の規模や身の丈に合っていない過剰投資とも感じた。今思うのは、あの時思いとどめるように勧めていれば、という後悔だ。

 ○…ユーザーは命を懸けて機械を買う—。それからはこの言葉を胸にユーザーに向き合う。自動化やIT化。そんな時代の流行を求めてもオーバースペックは提案しない。事業内容や財務体質をしっかりと見極め、堅実に前に進むように二人三脚で寄り添う。

 ○…新型コロナの影響で受注は大幅に減った。それでも無謀な新規開拓や安売りはしない。今やるべきコスト削減の手法を勧めるなど、ユーザーのためを思う。なぜか。「良い時も悪い時もユーザーの命に寄り添う。それが商社の役割であり、将来、互いの成長へとつながるのだから」。

日本産機新聞 2020年7月3日

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