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「わからない」と言える勇気 情報を隠さず一緒に乗り切る ー仕事考ー
前例の無い時代
世の中、何が起こるかわからない時だからこそ求められるものがある。
新型コロナウイルスの感染拡大は、全く初めての出来事で、今も仕事も家庭も大きな影響を受けている。未だにその終息がどうなるのかはっきりしない。思い起こせば、バブル崩壊やリーマンショック、阪神淡路大震災、東日本大震災、ロシアのウクライナ侵攻、そして地球温暖化など前例のないことが多発している。
過去に似たような事例があれば、その時の対応を参考にしながら少しカスタマイズして対応すれば、何とか乗り越えられるかも知れない。「賢者は歴史に学ぶ」と言う通りである。
ところが、新型コロナウイルスは、最初はそれがどんなものかさえわからなかった。各国様々の対応は、どの国が正解だったかはまだわからない。全く初めての事で、答えが分からないというのが正直なところ。考えられるあらゆる手を打っても思うように行かない場合もある。
何が起きているのかもわからない状況は、「自分も確かな答えを持っていない」ということを認めれば良い。あたかも「自分は答えを知っている」と思わせるような言動をする方が無責任であり間違った判断につながる。経営者だから、上司だから何でも答えを知っていると考えるのは他人事に過ぎない。それがプライドだと考えれば捨てる勇気が必要だ。情報を隠さず、「実は、私も答えが分からない。皆の知恵を借りたい。どう思うか」と問いかける方が正直であり合理的である。
情報を隠さないと言っても、悪い情報は伝えにくいものだ。しかし、根拠のない楽観主義も、異常に暗い雰囲気を醸し出す必要もない。
「今回のコロナ禍で、当社の業績は、〇〇まで悪化している。我々に何ができるかを考えて欲しい」と語りかけ、皆の団結を図る方が自然体である。新入社員も含め皆の知恵を否定せずに聞き、取捨選択して対策を練る。現場は若手の方がよく知っている。皆が貢献しているという意識にも繋がる。上司も部下も対等な人として、視点の異なる知見や知恵を集めることで打開になる。
だからこそ「わからない」と言える勇気、「自分は不安だし、みんなも不安だろうが、この苦難を一緒に力を合わせて乗り切る」。全員経営者意識をこのチャンスを生かし育成していきたい。
日本産機新聞 2022年10月5日
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