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特集 微細精密切削加工PART2:現場を訪ねて ー愛工舎 (名古屋市)
肉眼では見えない加工
φ0.03㎜の微細切削 刃物を自作する職人技
微細精密切削加工を手掛ける愛工舎(名古屋市昭和区)は集積回路を作る工程内で電気を流し、通電検査するために必要なコンタクトプローブに用いる微細な金属ピンを加工する専門メーカー。加工部品の90%は半導体検査や基板検査向けで、早川史洋社長は「コロナ禍でパソコンやタブレット端末、Web会議サービスなどが普及し、さらに追い風になっている」と市場の拡大に備える。
得意とする加工はφ0.03㎜クラスの丸物の微細旋盤加工。工場は岐阜県七宗町にあり、120台以上のCNC自動旋盤を保有。ワーク材質はパラジウム合金や銅合金、真鍮、チタン、ステンレスで、コンタクトプローブピンや構成部品のプランジャー、パイプに微細な加工を行う。
例えば、長さ6.27㎜のパイプ材にφ0.02~φ0.04㎜の異なる径の加工や、長さ2.945㎜のピン先端をφ0.076㎜と極細の加工を実現。加えて、φ1.0㎜以下のワーク先端にクラウン形状の加工ほか、深穴、絞り、多スリ割り、多ポイント加工など様々な形状にも加工できる。もちろん、ワーク形状は肉眼では確認できない微細なものだ。「刃物が触れるか、触れないかの世界」と秋元正悟常務は表現する。近年は検査治具の製作用に微細加工用マシニングセンタを導入。樹脂のPEEKにφ0.1㎜(約1000穴)の多穴樹脂加工にも取り組んでいる。
驚きなのは各機械オペレータが加工プログラムや工具の刃先研磨を担う技能を持っていることだ。特に刃先の研磨は重要で、加工音や振動、油の状況を見ながら、刃物の逃げ角、すくい角を調整する。「1人前になるには3年かかる。当社の加工は素材の応力、密度の変化でサブミクロン台の調整が求められるため、最初は何度も失敗するが、挫けず、挑戦しようと説いている」と秋元常務は話す。
同社が目指すのは微細切削加工のスペシャルカンパニー。「極限の細さを追求し、最小φ0.015㎜からφ0.025㎜の加工技術で顧客に貢献し、100年以上続く企業にしたい」と早川社長は思いを語る。第4工場が年内に完成する予定で、旺盛な需要に対応しながら技術の強化を進める。
会社概要
- 本社:名古屋市昭和区滝川町112‐1
- 電話:052・715・9977
- 代表者:早川史洋社長
- 創業:1934年
- 従業員:84人
- 事業内容:半導体通電検査/基盤検査用コンタクトプローブ用部品の加工やMC加工品など。
日本産機新聞 2022年7月5日
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